魔神のその先へ
「破壊したものを創造するだって……⁉ そんな馬鹿な!」
俺の能力を目撃した魔神フェグニアが、驚愕を隠せない様子で後ずさる。
「ありえない……! そんな力、大魔神様がお許しになるはずがない!」
「……いちいち吠えるな、クソガキ」
そう告げると、俺は右手を前方に突き出した。
「行けおまえら。本体に分身の力を見せつけてやれ」
こくり、と。
俺の言葉を受けて、分身たちはゆっくりと頷く。
合計で三体ほどの分身がいるので、その数がいっせいに魔神フェグニアへと襲いかかっている形だな。
「ガァァァァァァァアア‼」
「グオァァァァアアアア……!」
獄炎魔法――ブラッドエクスゾーマ。
死風魔法――デススクリーンアロー。
先ほど俺に向けて放たれていた上位魔法の数々が、ひっきりなしに魔神フェグニアに注がれることとなった。
当然、どれも一般人が喰らったら即死するレベルの魔法だからな。
ひっきりなしに大震動が続いたり、あちこちで突風が舞ったり、耳をつんざく大轟音が鳴り響いたり……。
それこそ戦争でも起きているかのような光景が目の前に広がっていた。
「くっ……」
しかしまあ、奴はあれでも異界を束ねる魔神の一柱。
「生意気だよ! 分身のくせに、本物たる僕に刃向かうなんてね!」
それらの猛攻をなんとか躱しつつ、同じく上位魔法で分身たちに反撃を仕掛けた。
もちろんこれだけで分身たちが死ぬことはないが、やはり〝本物〟と〝分身〟では戦闘力が違うからな。これで決着がつくはずもないのは折り込み済みだった。
「がら空きだな。第二魔神さんよ」
「なに……!」
ゆえに俺は、魔神フェグニアの攻撃直後の隙を狙って、すでに奴の懐に潜り込んでいた。
レンディアスの〝破壊の力〟が通じるのは、あくまで格下の敵のみだからな。魔神フェグニアを倒すには純粋に戦うしかないので、今回距離を縮めたのはそのためだ。
「くたばれ……!」
俺はそう呟くや、《世界創生の剣》を横一文字に振り払う。
俺の振ったその剣筋に沿って、光の軌跡が空中を舞った。
続けて右方向に振り切った剣を左方向に薙ぎ、今度は上方向へと切り刻む。形にして星マークとなるように剣を振り払ったのち、同じような図形の光が空中を舞った。
そして――。
ドォォォォォォオオオオン!
「ぬああああああっ……!」
空中に残った光の残滓が大爆発を発するや、魔神フェグニアは勢いよく吹き飛んでいった。
「ふう……。よく馴染むな、この剣は」
まだ前世の記憶は朧げだが、たしかこの《世界創生の剣》は、大魔神から授かったものであるはずだ。
大魔神いわく、理に縛られていない武器ということだが――。
威力も申し分ないし、手にしっかり馴染むことから、前世の俺もよく愛用していたものだ。記憶が一部欠落している関係上、《理に縛られていない》という意味はまだわかりかねるけどな。
「はぁ……はぁ……」
そして。
大爆発を受けた魔神フェグニアは、肩で息をしながら立ち上がった。
さすがに体力が限界なのか、身体中が傷だらけ。
先ほどと違って精神的な余裕もなさそうなので、おそらくはもう――死の手前だろうな。
「いいのかいレンディアス……。僕を倒すということは、大魔神様に逆らうことと同じだ。そうなったら、この地球は――いや、この次元は跡形もなくなる。わかっているのかい?」
「はん。今さらなにを」
しょうもない戯言を無視し、俺はゆっくりと魔神フェグニアに向けて歩み寄る。
「元よりおまえらはこの世界を乗っ取るつもりだった。仮に逃がしてやったところで……また同じことをするだけだろうさ」
「ぐ…………」
「それに、俺はこいつらから教わったからな。一人でなんでも抱え込むなってよ」
「あ…………」
俺の言葉を聞いて、詩織が大きく目を見開いた
「クク……ハハハ……アハハハハハハハハハ‼ まさか大魔神様に逆らうなんて、本当におかしくなってしまったようだね! そこまでするからには――わかっているんだろう⁉ 今回のこの騒動でさえ、もはや序章にしか過ぎないってことがさ‼」
「……はっ、だからうるせえよ」
俺は後頭部を掻きつつ、魔神フェグニアに向けて剣先を向ける。
「俺はもう昔の俺じゃねえ。恨みと憎しみを超えたその先で――必ず光を見出してやるよ」
さっ、と。
俺が《世界創生の剣》を振り払ったのを最期に、魔神フェグニアは帰らぬ者となった。
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