政府だけが行けるダンジョン&コメント回
「は? 霞が関に向かう?」
「ええ。飯島さんいわく、そこに政府専用のダンジョンがあるようです」
「はん。噂には聞いたことあったが……」
刃馬の車に乗っている最中。
今後の行き先について訊ねたところ、思わぬ回答が返ってきて俺は仰天した。
――政府専用のダンジョン。
あくまで都市伝説的な形で語られているにすぎないが、一般には知られていない極秘アイテムがあったり、危険すぎて封印されているモンスターだったりが、この国のどこかに存在している……。
そんな噂話を時おり耳にすることがあったが、まさか本当に存在していたとはな。
刃馬が《裏アイテム》とかいうきな臭い
「……そのダンジョンに入ることさえできれば、いくら警察官といえども入ることはできません。安全を考えるなら、たしかに飯島さんの意見には一理あるでしょう」
「ああ……そうだな」
なにしろ、さっきから虚ろな目をした暴力団員や警察官があちこちを巡回しているのだ。
俺以外の人間には危害を加えていないようだが、物騒なことこの上ない。
ひとまずは腰を落ち着けられる場所に移動して、今の状況を確認したいところだ。
カーナビに映るテレビもまた、現在の緊急事態を報じていた。
とはいえ今回は警察までもがテロに加担してしまっている始末なので、どう報道すべきなのか、キャスターも困っている様子だった。
おかげで今俺たちの車が走っている場所は、ほとんど人通りがない。
平日の朝なので、いつもなら学生やサラリーマンでごった返しているはずのところだけどな。
つい先日までは神須山組の内部だけで起こっていたトラブルが、全国の国民を危険に晒す形で顕在化してしまった。
「……厄介なことになったな、随分と」
ふうとため息をつく俺に対し、刃馬も
「はは、違いありませんな」
と苦笑した。
「俺も今まで相当の修羅場をくぐってきたと思ってますが、さすがにこれは経験がありません」
そう言いつつも、しれっと煙草の箱を取り出しやがった刃馬。
「……おい、ここで吸いやがったら殺すぞ」
「……っと! すみません、大変失礼致しました」
慌てた様子で刃馬は煙草の箱を懐にしまう。
窓の向こう側では虚ろな目をした連中が幅をきかせているというのに、俺に睨まれた瞬間のほうがよっぽどテンパっていた。
「本当に怜様には敵いませんや。いま俺、全然怖くないですもん。怜様が近くにいらっしゃいますから」
「なに言ってんだ、まったくよ」
ふうとため息をつき、後部座席に深く座り込む俺。
現在は車の通りも少ないので、なかにはこの車の不審さに気づく警察官や暴力団員もいるが――。
「風魔法、ウィンド」
「バァァァァァァァァ⁉」
そんな気配を感じた時には、その警察官は風魔法で遠くへ吹き飛ばしてやるのだった。
★ ★ ★
ルキナオ:1コメ
ノスタル爺:1コメ
ミルド:1コメ
ヴァン:ルキナオ氏、別の動画でも一番乗りで草
ルキナオ:そりゃあ、あの、大桃少年が、映ってるんだからね。これくらい、当たり前
ゆっきー:てか関東では国民保護サイレンが鳴ってるみたいだね。関東民大丈夫?
ばーです:こっちは大丈夫。警察官と暴力団が外うろついてるのが気味悪いけど
むえらん:つかやばくね? 警察なにやってんの?
ばじゃじゃ:日本の終わりのはじまり
れーおん:てか備蓄ない奴はいまのうちになんとかしておけよ。なに起こるかわからんぞ
ヒュース:やだ。もう何も起こってほしくない……。
佐藤:てかこの動画なに? ユリアちゃんじゃなくてまったく別の投稿主?
ふぁ:大桃少年と同じ学校の生徒じゃね、概要欄見ろ
華咲次郎:ほんとに国民保護サイレン鳴ってるな。こぇえ…
さ:⁉
カーリア:は⁉
ルキナオ:嘘?
マイク:暴力団と警察が学校を襲ってる⁉
ヒュース:やばすぎだろ⁉ 関東民も家の電気消して、身を隠しておけよ!
マッド:てかこれ危なすぎね? 大桃少年が強いのわかってるけど、さすがにこれは…
ファムス:え⁉
ピール:おいおい、大桃少年が銃弾を受け止めたぞ⁉
エリアゼロ:つっよ
みくる:やば、ほんとかっこいい大桃くん
カーリア:あっという間に同接10万wwww そりゃあまあ、こうなるよな
ビストリア:やっぱりダンジョン内だけじゃなくて外でも強いんだね……。あっぱれだよ、本当に
ルキナオ:《50000円 チケット》 応援してるヨ、大桃少年。君は、男の中の男だ
レス:《50000円 チケット》 これはお布施せざるをえない
みんと:《50000円 チケット》 投稿主、絶対に大桃くんに渡してねこのお金
ノスタル爺:おおおおおおおおおお! 学校の奴らも参戦!
ヴァット:なかなかやるな、炎上して反省したか
ファイス:みんな大桃くん見て成長したんだね
ガッポ:なにこれ胸熱展開
ビストリア:はははは……これはすごい。暴力団と警察官が、生徒たちに押されてるよ
マイク:国民保護サイレン怖いけど、なんか大丈夫な気がしてきた
ゆーばー:そうだよな、だって大桃少年だって頑張ってるんだもんな
ラッソ:俺たちだけ黙って怯えてるわけにはいかないな
ヒュース:⁉
ファド:え⁉ 大桃少年、それはダンジョン内の力?
ビストリア:どうなってるんだ、大桃少年、剣を振るっただけで警察官たちを吹き飛ばしたよ
ファド:やっぱりダンジョン内の力を発揮してる?
さ:そんなわけねーだろ、ここは学校だぞ
みくる:つまりは大桃くんかっこいいってことでしょ? 細かいことはいいじゃん
ゆっきー:細かいことなのか? これ
レニス:あまりにも暴論すぎて草
ビストリア:《50000円 チケット》 なんだか大桃少年は、本当にこの日本を救ってくれることになりそうだね……。何もできないのが歯がゆいけれど、心から応援しているよ
みくる:は? 細かくないでしょ大桃くんがかっこいいっていうのが嘘だっていうの⁉
朝比奈:大桃くんを侮辱した人は殺すね!
ヒュース:誰も侮辱なんてしてないと思うんですがそれは
―――――――
しばらく更新できず失礼しました。
ある程度は執筆時間を確保できるようになりましたので、どうぞよろしくお願いします!
また新作を始めました!
初めてカクヨムコンに参加しますので、ぜひチェックくださると嬉しいです!!
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