怠惰な陰キャ、組長扱いされる

 いま俺の視界には、見慣れたステータス画面が視界いっぱいに表示されている。


――――


大桃 怜 17歳 レベル9999


 物理攻撃力:99999

 物理防御力:99999

 魔法攻撃力:99999

 魔法防御力:99999

 俊敏性  :99999


 使用可能なスキル

 ・炎属性魔法 ALL

 ・水属性魔法 ALL

 ・氷属性魔法 ALL

 ・風属性魔法 ALL

 ・土魔法属性 ALL

 ・闇属性魔法 ALL

 ・光属性魔法 ALL


 使用可能なエクストラスキル

 ・瞬間移動

 ・魔法反射


――――


 ぼっちな学校生活と引き換えに手に入れた、カンストしたステータス。


 目の前には銃を携えた警察官が大勢いて、普通なら恐怖心を覚えるような状態ではあるが――。

 このステータスを適用させられるなら、もう怖いものはなにもない。


 Sランクモンスターの攻撃さえ、レベルカンストした今なら痛くも痒くもないのだから。


「お、大桃さん……。やっぱり、俺たちも戦いますよ。いくら大桃さんが強くたって、さすがにこの状況では……!」


 隣にいた生徒が、なおも不安そうな瞳で問いかけてくる。


「はっ、だから必要ねえって言っただろ」


 勝ち気な笑みを浮かべながら、俺は堂々と警官たちに歩み寄っていく。


「今はな――あいつらをどう処理しようか考えていたところだ。さすがに全員を殺しちゃまずいことになりそうだからな」


「へ……」


 生徒が目を見開いた、その瞬間。

 俺はカンストした俊敏性に物を言わせ、一瞬にして警察官たちと距離を詰めた。


 炎魔法で焼き尽くしてやるか、水魔法で蹂躙してやるか、闇魔法で絶望を味わわせてやるか――。


 どう相手してやろうかと色々模索した結果、シンプルに殴るのが強いと判断した。


 ここはダンジョンと違って、学校の敷地内だからな。もしでっかい魔法を使用して、周囲に甚大な被害を残してしまってはまずい。


「喰らえクソ野郎ども‼」


 ――――轟‼

 ステータス画面から出現させた剣を振り払うと、それだけで強烈な衝撃波が発生し。


 その勢いに飲まれ、警察官たちは無様に後方へと転がっていった。


 例えるならば、まさしくドミノ倒し。


 剣で直接斬りつられけたわけでもないのに、ただの衝撃だけで9割方の警察官が動かなくなった。もちろん殺してしまっては厄介なことになるので、気絶させるに留めているけどな。


「え……」

「なにこれ、映画……?」


 さすがに驚いたか、後ろで待機していた生徒たちは目を丸くして突っ立っているままだ。


「ク、クソ……」


 そして衝撃波の範囲から運よく逃れた警察官が数名、俺に厳しい表情を向けていた。


「ウ、ウゴクナ。ウゴケバウツ」


 ホルダーから拳銃を取り出し、なんの躊躇もなく俺に向けている。


 やはりこれも薬物の効果だよな。今の日本では、銃を人に向けるなんてそうそうできないはずなのに。


「はん。そうか、動けば撃つんだな」


 俺はニヤニヤ笑いつつも、そのまま堂々と警察官に向けて歩を進めていく。


「オ、オイ……!」


「どうした? なにを驚いてんだよ。早く撃てばいいだろうが」


「バカガ……! コウカイスルナヨ……‼」


 そしてそのまま、数名の警察官が俺に銃弾を放ってきたが――。


 もちろん、こんなクソしょぼい攻撃が効くわけがない。


 Sランクモンスターの攻撃のほうが百倍痛いくらいだ。


 銃弾を受けて上方向に沿った顎を戻し、俺は引き続き不敵な笑みを崩さない。


「なんだよ、これでしまいか? たいしたことないな」


「ナ、ナンダト……⁉」


「そろそろ目障りなんでね。そこらへんで這いつくばっとけ」


「クッ、カクナルウエハ、ツギノ……!」


「あ~はいはい、もう飽きたんで素直に倒れといてね~」


 俺はひらひらと手を振ると、その小さな動作だけでも軽い衝撃波が生じ。


「これで掃除完了だ。さすがにもうしばらくは安全だろ」


 近くにいた生徒にそう話しかけた時には、

「カッ……! バカナ……!」

 これにて無事、第二陣も制圧することができたのだった。





「す、すげぇ……!」

「大桃さん、マジですごいじゃないっすか!」

「どうやったんすか⁉ 今の、どう考えても常人の動きじゃなかったんすけど!」


 護月院高校に訪れた、束の間の平和。

 生徒たちは俺を取り囲み、なかば興奮した様子で話しかけてくる。


「あ~、えっとな……」


 こいつらに助けられたのは事実だし、ちょっとくらい相手してもいいんだけどな。


 だがこの後、俺はダンジョン管理省の事務次官――飯島慎二に呼ばれてる身だ。ここに長居することはできないので、俺はくるりと身を翻してから言う。


「すまんが、次に行く場所があるんでね。俺さえいなくなりゃ、もうここは大丈夫だろう」


「えっ、行く場所って……?」


「色々あんだよ。いちいち詮索するな、めんどくせえから」


「わ、わかりました。大桃さんがそう言うなら……」


 生徒が頷いたのを確認し、俺は刃馬の車に乗る。


 一応刃馬も空気を読んでるのか、ここではあまり声を出さないな。生徒たちが不思議そうに刃馬を見つめているが、うまく顔バレしないように隠れている。


 俺は窓から顔を出すと、生徒一同を見渡しながら言った。


「じゃあな。おまえらのこと、今回の件で少しは見直したぞ……って、おい」


 なんだこいつら。

 理由はよくわからないが、一列に固まって俺を見送ろうとしてるんだが。


「……なにしてるんだおまえら。軍隊の物真似かよ」


「いやいや、俺たち思ったんすよ。最近ネットで話題になってる《血濡れの沈黙者》に、大桃さんがそっくりだなって」


「は……?」


「だから極道式のやり方で大桃さんを見送ろうとしてるんです。大桃さんが俺らのリーダー……つまり組長ってことですよ」


「……アホかおまえら。なにが組長だよ」


 ぷぷっ、と。

 隣の刃馬がいきなり吹きだしたので、とりあえず容赦なく足を踏んでおいた。


「頑張ってきてください大桃さん。なにをしようとしてるのか、俺らにはわかりませんけど……。またお会いするの、楽しみに待ってますから」


「ああ……またな」


 生徒たちに見送られ、俺は護月院高校を後にするのだった。


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