第四章『桂馬登場』

【斎藤】

 堂々咲邸を出て三十分ほど走った頃、斎藤の携帯にメールが入った。

 斎藤は前方を見つつ、受信したメールを確認する。

「…なるほどね」

 そう呟きつつ、口元がかすかに笑った。

「お嬢様とそのメイドが、不審な男が運転するタクシーに乗り込んだ…と」

 また少しだけ速度を上げるリムジン。

「これは、私が助けに行かなければな…」

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