出会い(2)

 「死んだ?」


 立ち上がりゆっくりと確認しようとした考えたがすぐに考えを改め直しまずは耳を澄ませ集中する。


 呼吸は徐々に浅く小さくなっていくがまだ辛うじて生きている。

 虫の息だ。


 さらに集中すると心音も聞こえてくるがその動きも最早活発ではない。


 「あっ止まった。」


 おれはこの時始めて動物の死に直面したが思ったよりもあっけなく精神的に何かを感じることもなかった。

 それは、あのイノシシに襲われて敵対していたからかもしれないが今の体は自分のものであっても再構築されたという別物である。

 そう考えてしまうと怖くて仕方が無くなった。


 考え出すと止まらなくなりそうだと余計な事は考えるなと振り払う、しりもちをつくのは何度目だろう?


 そう考えると昨日からずっとしりもちをついている。


 冷静さを取り戻すとポケットの中のリジーはどうしたかと気になり確認する。激しく揺れたりもあったと思うが上から覗き込むと寝ているようだ。


 死んでしまったんじゃないかと耳を澄ませると確かに寝息が聞こえている。


 周囲の安全を確認するために一度立ち上がるとあたりを見回す。

特に何かの気配や、変わっているところは目の前に倒れるそれだけでほかに変わったところはない。

 それにしてもさっきの音は何だったんだろう?

 聞いたことはない音だったが銃声に聞こえた。

 この世界には重火器などが存在するというのだろうか?


 考えていても仕方がないのでイノシシをストレージに収納できないものかと近づこうと歩き出した瞬間。

 

 左方向から何かが飛んでくるのを感じ上体を後ろにそらす。

 

 《ターン》と先ほどと同じ音がしそのまま鼻先を掠めていく。

 それがどれほどの速度で通り過ぎたか分からなかったが、確かに銃弾のように見えた。


 気が付いてすぐに後ろへ飛びのくと射線から隠れられるよう大木の影へと身をひそめる。

 

 _______銃?撃たれた?なにが起きた?


 内心焦りながらも目を閉じて先ほどより集中して耳に全神経を研ぎ澄ます。

 先ほどは聞こえなかった足音が聞こえるがどのくらいかがわからない。


 __________人の足音?足音は二つ…走った!


 「ぐあっ」


 そう思った瞬間に顎に衝撃が走り体が宙へと舞う、


 そのままゴロゴロと転がり倒れた。

 顎の痛みはそこまでないが頭が揺れたのかくらくらする。


 このままではその襲撃者に殺されるかもしれないと頭を押さえながら立ち上がろうとした瞬間目の前に大きな影ができていた。


 それは熊のように多きいと感じたが明らかに人だ。

 ちょうど太陽を背にする形で立っているのでこちらからは表情が読めない。


 そして大きなライフルを持っている。

 もしもここが今までいた日本であればそれがモデルガンであると思うがここは異世界で先ほどイノシシは倒れている。


 それがいま突き付けられているそれが偽物でないことを物語っている。


 「はぉ、大したやつだな。あの蹴りで気絶もせず立ち上がろうとするとはな。」


 「おい、こいつを縛り上げろ」


 男が声をあげるともう一人男が出てくる身長は大男と変わらないがかなりひょろりとしている。大男と比べると余計に細く見える。


 「あきおさん今腕縛るくらいしかひもがないんすけどどうします?」


 そう言っている間に両腕を背中側で抑えつけられているが振りほどけないほどの力ではない。


 「はぁお前はどうして俺の名前を呼ぶんだ。」


 あきおと呼ばれた男は俺の前で自分の名前を呼んだことが腹立たしいようだが、毎度の事なのかあきれている。


 さらに銃を下してしまった。


 「もういい離してやれ。お前じゃ抑えつけておくのは無理だ。」


 その言葉に口答えもせず男は従いすぐに離してくれた。

 腕を締め上げられていたため右手で左手をさすろうとした瞬間だ。


 「おい。誰が自由にしていいと言った。お前が縄で腕をしばりつけたところで逃げられるだけだがこいつには勝てるのか?」


 ゆっくりと話したあきおはゆっくりと話すとこちらに銃を向けてきた。


------------------------------


最後までお読みいただきありがとうございます。

応援やフォロー大変励みになります。

良ければ簡単な感想コメント批評もお待ちしております。

誤字、脱字には気を付けておりますが教えていただけますとうれしいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る