第43話:お誕生日会in城家・
side.
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送られてきた住所を頼りに、スマホのマップ機能を使って目的地に到着する。
「でっけぇ」
見事な一軒家だった。100坪は下らない土地に、マンションかな?と思うくらいの家がそびえ立っている。
庭もこれまた広く、普通にサッカーとかできそうだ。
門には『
これ、名前の読み方知らない人からみたら、かなりシュールな絵面だな。
門をくぐり、玄関横のインターフォンを押す。
応答はないが、ドタドタと走っているような音が聞こえてくる。
そのまま、勢いよくドアが開かれ、城が出てきた。
「はぁはぁ……ふ、ふっきー!いらっ―」
バタン!とドアを閉められる。
「え…何?」
少しして、もう一度、今度はゆっくりドアが開かれ、真っ赤な顔の城が顔を出す。
「あっ」
目が合うと、また閉められる。
何の遊びなの、これ。
もう一度、ドアが開かれ、出てきた城は目を閉じていた。
「い、いらっしゃい……」
「あ、ああ。お邪魔します」
靴を脱ぎ、家へ上がる。
内装もこれまたオシャレだった。和モダンの極みのような家で、建設会社のトップページを飾ってもおかしくない風格がある。
玄関の横には、城一家の写真が飾ってあり、母親と妹と笑う城は幸せそうな顔だ。…にしてもお母さん美人だな。ただ、残念なことに城の母親は出張でいないらしい。
「ふっきー、今日は……その、おしゃれさんだね……」
「え?ああ。まぁお呼ばれしてるし、一応な。やっぱり変かな?」
「ぜ、全然!ぜんぜん変じゃないっ!……か、かこ……カッコ……いい」
どうやら城にも好評らしい。ようやく目を開けて、チラチラとこちらを見ている。
にしても、不木崎くんは本当に恐ろしい。ちょっと整髪料で整えたくらいで、女の子がこんなに取り乱してしまう。
街歩いてる時も大変だったもんな……。視線やら、声掛けやらで着くのが少し遅れそうだった。学校に行くときはやはり普通にしてるくらいがちょうどいい。
リビングへ向かうと、これまた広い部屋だ。
L字のソファーの前に、俺一人など余裕で入れそうなテレビが置いてある。
デカい木を伐りだしたような机の上には料理が所狭しと置かれていて、城の妹がチキンを両手に掴み、むさぼり食っていた。…蛮族かな?
「あ!椿!何で先に食べちゃうの!ふっきー来てからって言ったじゃん!」
「まぁまぁ、こんなにたくさんあるんだからいいじゃーん!って、ふっきー来たの?見たいみた……」
そう言いながら振り返った妹は、表情を全て無くしてしまい、両手に持っていたチキンを床に落とす。
「……え?……
開口一番失礼なやつだ。
このイケメンスマイルを受けて、慄くがいい……ひよっこが…!
「こんにちは椿ちゃん。
「ち、違うやん!ふっきー!誉め言葉やん!」
「お前ら姉妹は取り繕う時に何で似非関西弁になるの?」
城の妹は俺の目の前まで歩いてきて、見上げるような形で俺を観察する。
不躾な奴め…。この際俺も観察させてもらおう。
妹…こと椿ちゃんは、やはりお転婆な大和撫子という印象。八重歯の似合う和風美人だ。
スポーティーで少し緩めのタンクトップに、お尻が見えそうな短いホットパンツと、露出が高い。
そんな快活な印象の割に、前髪はぱっつんに切り揃えられていて、城に似た目元だが目は黒真珠のようで、長いまつ毛はお人形のようだ。
そして、やはり胸は小ぶりである。この世界、胸が大きい人が多いから、何というか新鮮な気持ちだ。
「あ、ふっきー、私のおっぱい見てる~」
俺の視線に気づいた椿ちゃんが、ちらっとゆるゆるのタンクトップを指で捲る。見えそうで見えない、全てが計算された尽くされた角度だ。……はぁ。
「ああ、ごめんごめん」
だが、俺は巨乳派なのだ。悪いがそんな第二次性徴も済んでなさそうなロリっ娘に興味はない。
そんなことより……問題は城だ。
チラリと目線を向ける。
こいつも妹と同じようなタンクトップにホットパンツを履いている。
だが……すべてが違う!
ゆるゆるのつくりであろうはずのタンクトップが悲鳴を上げるように張って、その影響で少しお腹の部分が浮いていて、おへそがこんにちは!しそうである。
ホットパンツからは細いくせにムチムチ感のある太ももがこれまた悲鳴を上げるようにパツンパツンになっている。その太ももからちょっぴり肉がはみ出している感じ……すごくいい!
部屋着のようだが、とにかくエロい。
姉妹で身長も似たようなサイズ感のくせに、なんだこの差は……?
「……ふ、ふっきー……見すぎ」
俺の視線に気づいた城は、恥ずかしそうに身をよじる。
その瞬間、形がとても綺麗なおっぱいも歪み、あまりの破壊力に視線を外した。
「わ、悪い」
咄嗟に目の前を向くと、また椿ちゃんと目が合う。
驚愕の表情で目を見開いており、握った拳が震えていた。
「こ、これが……敗北の味……?」
「あははは!わかったかなぁ椿~これがお姉ちゃんの実力なんだよぉ?」
とても仲の良さそうな姉妹だ。
ソファーに座って、取り皿に好きな料理を取っていく。
全て城が作ったらしく、どれも素人が作ったレベルではない。
こいつ美少女で勉強もできて家事もできるって、マジでハイスペックだな…。
「それじゃー、ふっきーのお誕生日会を始めます!乾杯の挨拶は椿ちゃんが担当しまーす!それじゃ、かんぱーい!」
「「かんぱーい!」」
コップに入れたコーラで乾杯する。
そのままソファーに座るが、2人とも結構距離が近い。ソファーめっちゃデカいんだから、もっと離れてくれない…?
side.
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今日のふっきーはヤバい。
最初に見たときは、一瞬で鼻血が出そうだった。耐性をつけようと何回かに分けて見てみたが、今もなお、鼻はむずむずしている。
そして、そんなヤバい不木崎に反応しているのはもちろん私だけではない。
ソファーで不木崎にあーんをしようとしている妹。
こんのエロガキが……!
結局、妹の抑え込みはできなかった。というか一瞬でバレた。私が金曜日に大量の食材を買い込んできたのを見て、『明日、ふっきー来るでしょ?』と言われた時はおしっこちびりそうになった。
不木崎に触らない、必要以上に近づかない、というルールを決めて妹の出席も許可したが……。
「ほら!ふっきー、この唐揚げ美味しいよっ!あーんっ」
「あ、自分で取るんで大丈夫です」
失敗だったか……!
だが……。
チラリ、とまたも不木崎の視線を感じる。まとわりつくような視線は快感以外の何物でもない。一生懸命見ないようにしている姿がまた愛らしい。
ふふふ、好きなだけ見ていいんだよぉ?ふっきー?
「ふっきー、どう?美味しい?」
視線を意識しながら、私は話しかける。
不木崎は焦ったように、取り皿に視線を戻して、唐揚げを食べた。
「あ、ああ。すっごく美味い。弁当の時から思ってたけど、やっぱり料理上手だな春は」
「そうでしょ、そうでしょ。お姉ちゃんが作る料理は世界一なんだからね!」
横から妹が何故か自慢げに胸を張っているがどうでもいい。
やはり、不木崎に褒められるのは病みつきだ。
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そろそろお腹が満たされた頃合いになってきたので、残りはラップに包んで冷蔵庫へ移動する。夜にでも食べよう。
それと入れ替えるようにケーキを取り出し、蠟燭に火をつける。
妹が電気を消し、私たちは不木崎の元へ歌いながら歩いていった。
蠟燭を吹いて消したのを確認して、電気をつける。
そこには、恥ずかしそうに顔を赤くさせている不木崎がいた。
「あー、なんか思ったより恥ずかしいなこれ」
「この顔見られるなら毎月やってもいいね!お姉ちゃん!」
妹がアホなことを言っているが、激しく同感だ。
ケーキを切り分けて食べる。やはり甘いものは別腹だ。不木崎も美味しそうに食べている。
ケーキまでは流石に間に合わず…というか失敗の可能性もあったので、市販のもだ。
来年こそは手作りケーキを作りたい……!
―――ただ、私は今反省に時間を割いている場合ではない。
さて、ケーキを食べた後にやることは一つ。
この瞬間が来た。
そう、プレゼントを渡す瞬間が。
ふぅ、と一息ついてコーラを飲んでいる不木崎に対面する。
「ふ、ふっきー。プレゼント用意したんだけど、ここじゃ渡せなくって……」
「え!私用意してなーい!ズルい!お姉ちゃん!」
プレゼント、という言葉に妹がブーイングしてくる。
「つ、椿はここで待ってて!絶対ついてきちゃダメ!」
「ちぇー、わかったよーだ!」
プイッと首を横に振って、椿は残りのケーキを食べ始める。
まさか、あの量を全部食べないよね…?
「お、プレゼントか!めっちゃ嬉しい。どこに行けばいい?」
不木崎はプレゼントと聞いてノリノリだ。
あ、やめて!そんなに期待しないで……!
薄汚れた打算がある分、その純粋な目は心にくる。
「えっと、私の部屋」
「おっけー。行こうか!」
神様…お願いします。どうか、ドン引きされませんように……!
挿絵 第43話:お誕生日会in城家 挑発するロリ
https://kakuyomu.jp/users/hirame_kin/news/16817330662753756777
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