第11話 ジェシックとサラナ➁

すると、次の瞬間、手に取った瞬間に激しい頭痛と共に意識が遠のいていくのを感じた私はその場に倒れ込んでしまうのだった。

目が覚めるとそこはベッドの上だった。

(あれ?  なんで私、ここで寝てるんだろ?)

疑問に思ったところでハッとした私は記憶を辿るように思い出そうとするのだが何も思い出す事が出来なかったばかりか

自分が何者なのかすらも思い出せなくなっていたのだ。

混乱しているところに誰かが入ってくる音が聞こえてきてそちらを見ると、そこには見知った顔があったことから安堵した反面、

自分が誰なのか分からなくて不安になった私が戸惑っていると彼女が話しかけてきたので名前を聞く事になったのだが、

そこで彼女は私に自分の名前を告げてきた瞬間、頭の中で何かが弾け飛ぶような感覚がしたかと思うと記憶が蘇ってきたのである。

「私の名前はジェシック、四大精霊の力を操る妖精騎士だよ」

そう、それが今の私の名前だ。

そして目の前にいる彼女の名はサラナ・エリフェーン、 私と同じ四大精霊の力を使役する事ができるのだ。

だから私達は二人で一人の存在なのである。

そんなことを考えているうちに彼女が口を開いたので耳を傾けると、 彼女は私に謝罪の言葉を口にした上で頭を下げてきたので慌ててしまう私だったが、

そこでふとある事に気付くと彼女に問いかけてみることにした。

それは彼女の口調が変わった事だが答えはすぐに返ってくる事になる。

どうやらもう一人の私が目覚めた時の為に人格を切り替える為にそう言ったらしかったのだが、

「それに、敬語だと距離が遠く感じるし、 今のジェシックとならもっと仲良くなれると思うんだよね」

と言ってウインクしてくる彼女に私は思わずドキッとしてしまうが、同時に少し気恥ずかしくなってしまった。

サラナさんは普段はクールで淡白な感じだが、仕事中はしっかりした感じだけど二人だけになると可愛い所を見せてくれるというか、

そんなギャップがあるところが非常に魅力的だと言えるだろう。

「そっかぁ〜、私達って本当にそっくりなんだね!」

そう言いながら私の手を握り締めてくる彼女を振り払うことなど出来るはずもなくそのままなす術もなく受け入れるしかない私だった。

その後、

「ふぁぁ〜、よく寝たぁ〜」

という声と共にもう一人のジェシックが起きてきたので私達は自己紹介をする事にした。

それからしばらくしてお互いに打ち解けた私達は再び話をする事になったのだが、そこで話題はサラナさんとの関係についてだった。

というのもサラナさんは以前に王城で働いていて、その時に知り合ったらしいのだ。

ただ最初は冷たい態度をとられて嫌われているのだと思っていたが、実際は彼女の不器用さ故の態度だったので段々と彼女の事が気になり始めていき好意を抱くように

なったのだという話を聞いて私は妙に納得してしまった。

何故なら私も全く同じ経験をした事があるからだ。

そんなことを考えているうちに時間は過ぎていき、

「もうそろそろ帰る時間かな」

というサラナさんの言葉をきっかけに解散する事になった私達はそれぞれ帰路につく事にしたのだが、その前に改めて彼女にお礼を言うと握手を交わす。

すると突然、彼女の口から驚くべき言葉が飛び出してきたのだ。

「私が気付かないとでも思ってたの?」

その言葉を聞いてハッとなった私は慌てて取り繕おうとするも時既に遅しといった状況で結局最後まで言い切られてしまった後だった。

(バレてたのか!?)

動揺しつつも誤魔化そうとする私に彼女は追い打ちをかけるかのように言葉を続けるとこう言ってきたのだ。

「ふふっ、大丈夫だよ。ジェシックがサラナの事を好きなのは私も知ってるし、それに私の事も好きでいてくれるならそれで充分だよ」

それを聞いてホッと胸を撫で下ろす私だったが、今度は逆に彼女が質問してくる番だった。

その問い掛けに対して私は素直に答える事にしたのだが、それでも不安な気持ちが拭いきれないのも事実であり、

だからこそ色々と考えてしまうのだろうと思ってしまったりもしたのだがそれは口に出さなかった。

すると彼女はこう言ったのだ。

「大丈夫だって! 私とサラナは一心同体なんだからそんな心配する必要はないんだよ!」

それを聞いた瞬間、確かにそうだと思った私は納得してしまった。

そして私達は改めてお互いに自己紹介をすると握手を交わして別れることにしたのである。

その夜、サラナさんから連絡があった事で会いにいくと彼女は何故か下着姿になっていて私を驚かせたが、

その理由を聞いて納得すると同時にドキドキしてしまう自分がいて何とも言えない気分になってしまったのだった。

その後、暫くの間は平穏な日々が続いていたのだがある時、とんでもない事件が起こる事になるとはこの時は夢にも思わなかった私たちである。

ある日のこと、いつも通りに仕事をしている最中のことだった。

突然地震が起きてしまい、部屋中が大きく揺れ動いたのだ。

そのせいで転倒してしまった私は壁に頭をぶつけてしまい、一瞬気を失いかけたものの何とか持ち堪える事に成功したのだが、

その直後に部屋の明かりが全て消えてしまい真っ暗闇になってしまったのでパニックに陥ってしまった。

(どうしよう、早く明かりをつけないきゃ)

そんなことを考えていた矢先の出来事だった。

突如として背後から何者かの気配を感じたかと思うと口元に布のようなものを押し当てられて意識が遠のいていくのを感じた。

私は抵抗する間もなく意識を手放してしまったのだった。

目が覚めるとそこは見知らぬ場所だったが、部屋の中ではなくて何処かの洞窟内のようだった。

とりあえず起き上がって周囲を確認するとそこにはいくつかの人影があることに気付いたがそれが誰なのかまでは分からない

状況が続いていたのだが、やがて目が慣れてきたことでその姿を見て驚愕することになる。

何故ならそこに居たのは、私以外の全員とも全裸だったからだ。

(えっ!?  なんで私だけ服着てるんだろ?)

と思いながら自分の身体を見てみると、なんと自分も下着姿になっていた事に気付くと恥ずかしさのあまり手で隠そうとしたその時だった。

突然背後から何者かに襲われて手の自由を奪われると同時に猿轡まで噛ませられた私はパニックに陥ってしまうが

それでも必死に抵抗を続ける内に何とか拘束から逃れる事に成功する。

改めて周りを見渡すも誰もおらず完全に孤立している状態だったのだが、

そんな中でも何とか逃げ出す方法を模索していたところ、突然目の前に現れたのは女性でそれも見覚えのある人物だった。

彼女の名はサラナ・エリフェーン、四大精霊を使役する妖精騎士だ。

だがしかし、そこにいたのは彼女一人だけではなく他にも数名いたようで全員が全裸という格好をしていた事で私は恥ずかしさのあまり顔を背けてしまったのだが

そこである事に気付くことになった。

(あれ? それってもしかして私の下着じゃ?)

と思いながら顔を上げるとそこにはニヤニヤしながらこちらを見つめている人物がいてその人物こそがもう一人の私であったことに気付くと

同時に自分の身体へと視線を落としたことで自分が今どんな状況に置かれているのかを知る事となったのだった。

(これは一体どういう事なの!?)

そこで私は、過去の記憶を遡ることにした。

あれは確か、サラナさんが私の服を着ようとしていた時のことだったと思う。

その時はまだ服を着ていたのだが、次の瞬間、急に視界が暗くなっていきそのまま気を失ってしまったのである。

そして目が覚めた時にはこの状態になっていたという事らしいのだが謎は深まるばかりで結局解決の糸口を見つけることは

出来なかったんだけどそんな中で事態は急変することになるのだ。

翌日になって目を覚まし支度を済ませた後で宿舎を出ると、

そこで待ち構えていたかのように大勢の兵士達に取り囲まれてしまったのだった。

(えぇ!?  なんでっ!?)

突然の状況に驚いているとその中の一人に声を掛けられたので振り向くとそこにいたのは意外な人物であった。

その人物は女性で、それも知っている顔だったのだ。

彼女の名はカエラ・オストロ、先の戦いで共に戦った戦友であり友人でもある人物だ。

彼女は私に近付いてくると自己紹介をしてくれた後に謝罪の言葉を口にしてきたのだが、それを聞いた瞬間、私は混乱してしまったのだ。

何故なら彼女も私と同様に全裸になっていたからだからである。

(どういうこと!?)

混乱する思考の中、何とか冷静になろうと試みるもののやはり上手くいかない状態だったものの突然後ろから誰かに

羽交い締めにされてしまったことで我に返った時には既に手遅れの状態になってしまっていたのだがその直後の事であった。

背後から襲ってきた人物の顔を見て私が驚きのあまり固まってしまう中、

その人物は私に向かってこう告げたのである。

その口から出た言葉は、あまりに衝撃的なものだった。

そして、その言葉を聞いた私は驚愕の事実を目の当たりにする事になるのだった。

あの出来事が起きたのが先月の話だったからすっかり忘れてしまっていたのだが、そう言えばあの後どうなったのだろうか?

いや、それよりももっと前に進めないかな……?

そんな事を考えているうちに俺の心に焦燥感が募っていくのを感じた俺は改めて状況を整理してみる事にしたんだ。

まず最初に確認するべき事とは何か、それはやはり俺自身の事についてだろうと考えたわけだよ。

何故かと言うとさ、これ読んでる皆も気になってるはずだしさ。

「だって、こんなの明らかにおかしいもんなぁ……」

思わず声に出してしまった俺だったが、それでも状況は変わらなかった。

いや、寧ろ悪化してしまったと言っても過言では無いだろう。

何故なら今の状態では移動すらままならないからだ。

(どうする?)

俺は悩んだ末に一つの決断を下す事にしたんだ。

それは何かと言うと、まずは現状を打破する事を第一に考えるという方針を取ることにしたんだが

その際に生じる問題についてもしっかりと考える必要があると感じたのでそちらにも思考を向ける事にしたんだよ。

というわけで、俺の方で考えた問題点は以下の通りだな。

1根本的な問題として解決策がない 2つまり何をしても良いかというと不可抗力な部分が発生することもある、

「うわぁ、結構ヤバいじゃん!」

思わず叫んでしまった俺だったが、それは仕方ない事だろうと思う。

だってさ、これだけ状況が整ってるのに何もできないんだぜ?

もう可笑しくなってくるレベルだよな!

そう思いつつも俺は頭を抱え込んでしまうのだった。

そんな時だった。

「なんか様子がおかしいなあ?」

そんな声が聞こえてきたが気のせいだと思ってスルーしようと思った矢先の出来事であった。

次の瞬間、誰かが近付いてくる気配を感じたので顔を上げるとそこにいたのは意外な人物だったわけよ。

その人物の名はマリアと言ってな、俺の友人でもあるんだが彼の後ろには何やら得体の知れない生き物の姿が見えたものだから気になって声をかけてみる事にしたんだわ。

すると驚いた事にそいつの方からも話かけてきたんだな。

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