第8話 私とニーナ
「おはようございます、サラナ」
と言いながら微笑んでいるニーナに対して戸惑いつつも挨拶を返す私であったが、何故彼女が私の部屋に居るのか分からずにいると、
その疑問を察したかのように説明してくれた。
なんでも私が倒れたことを心配してお見舞いに来てくれたそうだ。
それを聞いた途端に申し訳ない気持ちでいっぱいになってきたと同時に嬉しさが込み上げてくると
共に顔が熱くなる感覚を覚えながらお礼を言うと、彼女は優しく微笑みながら頭を撫でてくれながら言った。
「気にしないでください、仲間として当然のことをしただけですから」
そういって微笑む彼女に安心感を覚えた瞬間、何故だか無性に甘えたくなったので思わず抱き着いてしまったのだが、
そんな私を拒むことなく受け入れてくれるばかりか抱き締め返してくれたのだ。
「大丈夫ですよ、サラナは一人じゃないんですから安心してくださいね、
私が傍に居ますから安心して休んで下さいね、ずっと傍に居てあげますから」
と言ってくれている間に、なんだか瞼が重くなってきてしまい、そのまま寝てしまおうかと思っていたら、
そのまま眠りについてしまっていたようで、次に目が覚めたときにはすっかり夜になってしまっていたようで、
隣には寝息を立てて寝ているニーナの姿があった。
それを見て安心した私は再び目を閉じようとした時に、不意に後ろから声を掛けられたので振り返るとそこにはサーニャが立っていた。
一体何の用なのかと思っていると、彼女はそのまま近付いてきて私の手を取ると何処かへ連れて行こうとする。
慌てて付いていくとそこは風呂場だった。
そして、服を脱がされそうになった所でようやく我に返った私は必死になって抵抗すると、渋々諦めてくれたようだった。
その後、身体を洗って湯船に浸かっていると、彼女が尋ねてきた。
その内容とは一体何だったのかと言うと、それは私にとって嬉しいものであったのだが、
同時に不安になるようなものだったりもしたが、それでも断るわけにはいかなかった。
何故なら、彼女の頼みを聞いてあげなければ嫌われてしまうかもしれなかったからだ。
なので、私は覚悟を決めた上で返事をすることにした。
その結果、承諾を得たことで満足したらしい彼女が嬉しそうにしている様子を見ていると私も嬉しくなってきてしまい、思わず笑みが溢れていた。
そうしてしばらくの間、二人で一緒に過ごしていたのだが、その間はずっと手を繋いだままだった。
夕食時、私がフォークを持とうとすると、それを遮るようにして代わりに持ってくれるし、食べさせようとしてくれる。
しかも、口移しだ。
恥ずかしくて拒否しようとしたら、無理やりねじ込まれた挙句、飲み込まされてしまった。
おかげでお腹一杯です。
寝る時も一緒でした。
ベッドに入ると、すかさず潜り込んできます。
もちろん、添い寝です。
暖かい。
でも、何か当たってる気がします。
気にしないフリをしてやり過ごします。
しばらくすると、寝息が聞こえてきました。
どうやら、もう寝たようです。
こうして、私の1日は終わりを告げました。
明日も、いい日になればいいなぁ……。
次の日の朝、目が覚めると、目の前には可愛らしい寝顔があった。
まだ眠っているらしく、スヤスヤと気持ちよさそうに眠っていた為、起こすのは悪いと思って黙って部屋を出て行く事にしたのだった。
それから朝食を食べ終えると、昨日渡された手紙をもう一度確認してみることにしたのだ。
内容は以下の通りである。
お早う御座います。
本日のご予定はどうなさいますか?
もし宜しかったら、お食事の後にお時間がありましたら、私とお出かけしませんこと?
先日の件もありますので、貴方様と親睦を深めたいと思いまして、お誘い申し上げておりますわ。
場所は、街の中心部にある噴水広場にてお待ちしておりますわね。
宜しくお願い致しますですわ。
手紙を読んだ私は、どうしようか悩んだ末に出掛けることにした。
待ち合わせ場所に着くと、既にニーナが居たので声を掛けることにした。
「ごめんなさい、待たせてしまいましたわね?」
そう言いながら近付くと、彼女は笑顔で出迎えてくれ、 開口一番に謝罪の言葉を述べた。
それに対して気にしていない旨を伝えると、ホッとした様子を見せたあとで、
今日の予定について尋ねられたので、素直に答えることにした。
そうすると、何故か嬉しそうな表情をしたので不思議に思っていると、その理由はすぐに分かった。
というのも、何と今日一日中、デートをする事になったからである。
まさか、そんな事を言われるとは思ってもいなかったので、驚いてしまったけれど、
それと同時に嬉しくもあったので、ついニヤけてしまっていたかもしれないと思いながらも、
内心ドキドキしていた事は言うまでもないだろうけれど、それ以上にワクワクしている自分が居た事に驚きつつも、
それを表に出さないように努めていると、ふと視線を感じたような気がしたけれど気のせいだと思う事にしてスルーする事にするのだった。
そんなことを考えているうちに、早速出発することになったので、急いで準備を始めることになった。
といっても大したものは必要無いし、着替えたりするだけなので、すぐ終わるだろうと思ったのだがそうでもなかったようだ。
というのも、下着姿になった際にまじまじと見られてしまったせいで恥ずかしさのあまり動けなくなってしまった上に、
その様子を面白がったニーナがちょっかいを出して来たせいもあって余計に時間を食ってしまったという訳なのだけれども、
そのせいで遅刻する羽目になってしまったのは言うまでも無いことであったのだが、それも仕方のないことだろうと思うしかなかったのである。
そして、それから暫く経って漸く落ち着いた頃を見計らって出発したのであった。
目的地に到着するまでの間も色々な話をしたりしながら楽しく過ごしていたのだが、
そんな中で一つ気になったことがあったので聞いてみることにすると、何やら言い辛そうにしていたので
気を利かせて話題を変えることにした私は当たり障りの無い話を振ることに決めて、
そこからは他愛もない会話を続けていたらあっという間に目的の場所に到着したようである。
そこは、とても綺麗な場所で、まるで別世界に来たかのような気分を味わえそうな所であったので、
感動してしまった私だったのだが、それよりも先に目に飛び込んできた光景によって思考が
停止したまま身動きが取れなくなっていた私に向かって声を掛けてきた人物が居たようだが、
その人物こそが今回招待してくれた張本人であり、待ち合わせをしていた相手でもあるニーナ・アベルである事を認識した時には
既に手遅れの状態となっていたためどうすることも出来ずにただただ茫然と立ち尽くしていると
突然抱き着かれてしまい身動きが取れなくなるだけでなく、完全に拘束された状態で身動ぎすら許されず、
ただされるがままになってしまう私だったのだが、ここで一つの疑問が浮かぶこととなったのだというのは、
そもそもの話として何故このような状況に陥っているのかという事であるのだが、
それについて考えようとする度に頭が真っ白になってしまい何も考えられなくなるのだ。
だがしかし、だからといってこのままで良い筈も無くどうにかして抜け出そうと必死に足掻いてみても、
やはり無駄に終わっただけに過ぎず何の進展もないまま時間だけが過ぎていっただけであった。
やがて体力的にも精神的にも限界を迎えつつあったその時、唐突に解放される事となった事で安堵の溜息を漏らす事となり、
そこで初めて助かったのだという実感を抱く事が出来た直後、脱力感に襲われてその場に
座り込んでしまう形となってしまったものの何とか無事に切り抜けられたのだと安堵した次の瞬間、
背後から聞こえてきた声により一気に現実へと引き戻された事で、ハッと我に返った私が恐る恐る振り返るとそこには案の定と言うべきか、
ニヤニヤとした笑みを浮かべた少女が佇んでいたのが見えたことで、
恐怖を感じた事で身体が震え上がるのを感じたものの逃げる事など出来るはずもなく
その場で固まってしまっている私に近付きながら話し掛けてくる少女に対し、
ぎこちない口調で答えていくことで精一杯の状況にあった私がこの後どうなるのかといった不安に苛まれていた最中、
不意に耳元で囁かれたことで全身が粟立つような感覚に襲われた挙げ句、
力が抜け落ちてしまった私が地面に崩れ落ちそうになったところを抱きかかえられながら運ばれていき
辿り着いた先は彼女の自室のようでベッドに横たえられる形で降ろされた後、
馬乗りになるような体勢になりながらこちらを見下ろしている少女の妖艶な雰囲気に当てられてしまって何も言えずにいると、
徐々に手を伸ばされた瞬間、反射的に目を瞑ってしまうと、そっと頬を撫でられてビクッと反応してしまう。
その反応を楽しまれているのか、クスクスと笑いながらゆっくりと顔を近付けてきて唇を重ねられると、
最初は軽く触れるだけのキスだったが次第に激しくなっていくにつれて頭の中がボーッとしてきて、
何も考えられなくなったところでようやく解放されたと思ったら今度は首筋に吸い付かれて思わず声を上げてしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます