第23話 凛の想いと獅童の想い
月がとっても綺麗な夜だった。
城の南門を抜けた二人は、南の森へゆっくり歩いて行く。
「お前に見せたいものがある」
湖面には月が映っていて、周りには蛍のような小さな光がふわふわ飛び、とても幻想的で美しい表情をみせている。
「うわぁ~綺麗…」
「この湖は、人間界と繋がってる」
「えっ?」
「おいで」
―― 人間界に繋がっている? 帰れるの? 私は…帰りたいの?
すると湖面に映った
「つ、
そう、湖面に映っているのは
―― えっ? 何で? えっ? なになに? あれ? ね、寝た?
湖面の
「
「あはは。相変わらずだな。すまぬ。ちと話がしたくてな」
―― えっ? えっ? 光がしゃべった?
さすがの
「
「いや~、
「えっ?
光の人型はコクっと頷く。人間界にいた
「なぜここにおる? 人間界の事は気にしてはならぬと言ったのに」
連れてこられただけであって、
「
「なんと! 悪趣味なお方だ。で? 何用じゃ?」
「
「ちょっと待ってください! 私は帰りたいと望んではおりません」
「そうじゃ。
「ちょっと待ってくれ。聞きたいことがある」
「なんじゃ?」
「そっちに、陶芸をたしなむ者がいるだろ?」
「
――
「それがどうした?」
光の
「
「あぁ~わかった。それだけか?」
「
「
――
「……
「人間は、限りある命の中で一生懸命輝きを求め歩き続ける生き物。俺たち神はお前が思っているような綺麗なモノばかりではない。これからは兄弟で
「そんなことを聞いているのではありません。私という人間をお側に置いておきたいのか否かをお聞きしているのです!」
そんな
「えっ? えっと……」
「
「
「ご、ごめんなさいっ…」
「すまない。俺は…お前が幸せであれば良いのだ。それが人間界で成せるのであれば、そうするのが正しいと思う。例え人間界にいようとも、俺はお前を全力で慈しむことを約束する。お前の愛するもの全てを守ろう」
「あのぉ~…。おっしゃっている意味が分かりません」
「あぁ~、くそっ。もぉ~っ面倒くせぇ~っ。」
「これなら分かるか? 俺はお前を……愛してる……。お前の笑顔が一番大事なんだ」
このまま時が止まってくれればいいのにとさえ思って。
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