神の国の生活:獅童と二人
第22話 二人だけの晩酌
「これはなんだ?」
「
「ふむ」
「読まれないのですか?」
「何か良からぬ気を感じる」
「
「かしこまりました」
やれやれ、世話が焼けますのぉ~。と
『親愛なる
本日夕刻、
「なんだ? これは…恋文なのか?」
「
「な、この文章から色恋を想像せよと言うのか?」
「はい! まさにでございます。
「何だ?」
「世継を…と言うことではないかと」
「!!」
そんな
※ ※ ※
ここは
初めての二人だけの晩酌。横にならんで月を見ながらお酒を酌み交わす。ただそれだけで穏やかな時間が流れているように見える。が、当事者はそわそわしていて話が進まない。やっぱり
「
「えっ?」
まさか
「その~、なんだ。お前が俺の元に来てくれてから、この城の空気が変わった」
「それは…」
「お前は不思議だな。周りの者を幸せにする力がある。悔しいが、
「それに、あいつもなんだか楽しそうだからな」
「あいつって、蘭丸さんのことですか?」
「あぁ」
「あいつがここに来てから、笑ったところを見たことがなかった。ずっと俺のことを憎んでるんだって思ってた」
「そんな…」
「まぁ~、俺たちの間は複雑なんだよ」
「
「うん?」
「蘭丸さんから差し入れして頂いた水ナスです。人間界ではぬか漬けにして食べたりするのですよ」
食べてみて。と
優しさと愛に包まれて、その器は美しく輝いていた。作り手の想いを感じる器で、その器に盛りつけられたナスはこの上なく旨かった。
「う、旨い」
「嬉しい! 気に入っていただけたのなら、
「これは、
「わかったぞ
「ふふ。そうでしたか。何だか嬉しいです! 私はこのダルモアの国に元来存在している食材もいろいろ調理して、みなさんに召し上がっていただきたいと思っているのです」
「面白そうだな」
今度は
「母上も、よく人間界の物を食べさせてくれたなぁ~」
「お義母さまが?」
それ以上
たわいもないおしゃべりが続き、楽しい時間はすぎていく。
ふと気づくとテーブルの上に、
「
「えぇ。
「これを作った人物は、心の優しい人間なんだな」
「人間も捨てたもんじゃないな」
「
「少し外を歩かないか? 月が奇麗だ」
とくんっ。
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