第19話 プテラの襲来
「
「えぇ。この国の果実を集めたいのです。それに…ここでしかない木の実もあるのでしょ?」
「うーん」
難しい顔をして蘭丸が唸っている。結局
もちろん、
「ほら! 蘭丸さん。行きますよ!」
「あ、待ってくださいっ!」
蘭丸はほぼ全部の実について熟知していたので、
ダルモアの城から東に向かう山は、
「すごく素敵なところですね」
「お気に召されましたか? この辺りは特に自然が豊かで
「お義母さま?」
「はい。それはそれはお優しくて綺麗なお方でした」
蘭丸は少し寂しそうに微笑んで見せる。
「あの…
「止まってくださいっ!!!」
「えっ?
振り向くと
「何でこんなところまで?」
蘭丸も
「
がさがさっ。
「「!?」」
木陰から耳も尻尾も持たない女の子がこっちに向かっているのが見えた。花が一杯入った籠を抱えている。
どうやら、まだプテラに気付いていないようだ。
「危ないっ!」
一瞬だった。プテラが少女めがけて急降下する。
あの時と同じだ!
「
プテラが少女に爪をたてる直前、
目標を失ったプテラは急上昇し体制を整え、今度は蘭丸と
「
『いいかい、
「っ!」
その時
そこへ容赦なくプテラが突っ込んで来た。このままでは確実にやられる。
蘭丸の顔は
「凛っ! 伏せろっ!」
誰もが諦めたその時、大きい白い物体がどこからともなく現れ、猛スピードで
間一髪でプテラの鋭い爪から逃れ、プテラは再び空へ急上昇する。
それを見逃さなかった
「ぎゃーーーーーーーーーっ」
プテラの最期の声が響いた。
「バカかっ! 死にたいのか!?」
その声は
なので
「
そう言うと
どこをどのように駆け降りたのか、かなりの時間走り続けていたように感じる。しばらくして城から流れ出る清らかな水の畔にでたところで、やっと足が止まった。
走っている間、
「はぁはぁ…。
白い獣は大きなふさふさの尻尾を持っていた。
「
「お怪我はありませんか?」
「えぇ。私は…。
よく見ると、
「
「ったく、ウルさいな…」
「
あの時、
「お怪我を…」
―― どうしよう、私が我儘を言ったばっかりに…。
「
「心配するな。何故泣く? こんなの擦り傷だ」
「
「っつっっ…。クソっ。痛てぇ」
「
「
すると先ほどまで苦痛な顔をしていた
「
「これは、私の叔父が教えてくれた塗り薬です。とてもよく効くのですよ」
「ありがとう。痛みが和らぐ」
「
「何度も言わせるな。お前が無事でよかった」
「それに、俺は神だからな。この程度の傷、明日にでも治る!」
「
そして自慢の尻尾はゆらゆら揺れているのであった。
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