第17話 神の実
「
―― 大丈夫。怖くない怖くない。
「どうぞ」
「
その声は
今夜
「遅くに申し訳ございません」
「いえ、まだ全然眠くなかったので。そういえば
少しお付き合いを、と
「
「そういえば、
つがれた酒に口を付けると、鼻から抜けるフルーティーな香りとのど越しの良さが懐かしく感じられる。
「実は、
言葉を選びながら
「
「そんな。お酒が飲めなくても家族ではありませんか」
「そうなのですが、それが
「今いただいているお酒の味を苦手に思われる方もいらっしゃると思うのです。でも、もっと甘いものがあれば、
「このお酒はお口にあいませんでしたか?」
「いえ! これはとても美味しいです。どこか懐かしい味がします」
それを聞いて
「よかった! これは、
「
「そんな…。私は酒造りに携わってはいないので」
「いえいえ。
「本当でしょうか…。
「えぇ、きっと」
そう言ってみたものの、あの
「そうだ!
「調理?」
「えぇ、調理」
「えっと、焼いたり、煮たり、揚げたり、他の食材とかけ合わせたり…。それはそれは美味しいものが出来上がるのですよ。お酒の
「ははは。素敵な顔をされていますね」
「えっ??」
ついつい興奮気味に話してしまった。素敵と言われて
「この国の食事は人間界から贈られる食材が主になるのです。いろいろな土地から少しずつ頂いているものなので、調理という概念が我々にはありません。でも
「えぇ。とっても。美味しいものは人を幸せにするのです。あ、これは私の母替わりの
「なので、私が調理をして
「えぇ、もちろんですよ。きっとお喜びになられると思いますよ」
「そう言えば、
「あ…」
「そうなのです。肝心なことを忘れておりました」
そう言うと
中にはキラキラ光るラズベリーの実の様なモノが入っていた。
「綺麗~!」
「
しばらくして、
「
「これから、少し真面目なお話をさせていただきます」
「
そうなのだ。人間である
「その小瓶の中にある木の実は、神の国の民となり神と同じ時間を過ごせるようになる神の実でございます」
「神の実…」
「さよう。その実を食せば我々と同じように何十年何千年も共に生きていくことができます。ですが…、人間界のみなさまの命の終わりを見届けることになります」
「
「酒を飲みながらでお話することをお詫び申し上げます」
「
「
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