第15話 愛音現る!
「
「蘭丸さま! 私も今来たところです。今日はよろしくお願いいたします」
蘭丸も歩きやすい服装に着替えていた。横に並ぶと頭1つ分ほど背が高い。近くで見ても奇麗で優しい顔をしている。肌などはどんなお手入れをしているのだろう? と思うくらい美しかった。
「蘭丸とお呼びください。私は
「それでは、私のことも
いえいえいえ、滅相もない! と蘭丸は恐縮しまくって話が進まないので、
「
二人は城門を出て、
「このダルモアという国は自然が豊かな国で、神である
「蘭丸さんは神の民とおっしゃっていましたよね?」
「そうです。私は上級試験なども受けておりませんし、
蘭丸は苦笑いのような笑みを
「
「えぇ、
「そ、そんなに!?」
「あ、
「えっ?」
「あ、いえ」
まぁ~、あの
「蘭丸さんには、耳や尻尾がないのですか?」
「えぇ、私は…」
蘭丸の話によると、蘭丸は人間の母を持つらしい。らしいというのは気付いた時には育ての父と母がいて、自分と兄妹との違いに気付いたということだった。
力の証として耳と尻尾がある者が上級試験を受ける資格があり、蘭丸の様に耳なしの民は城に仕えることも本来はできないのだ。
「ごめんなさい。変なことを聞いてしまって…」
「いえ、別に気にしてはおりませんし、
蘭丸は遠い目をしながらそう呟いた。
いつのまにか噴水が近づいている。婚礼の日とは違って、出店などはなく穏やかな憩いの場になっていた。噴水のまわりにある椅子には歳を重ねた者たちが座り、立ち話をしている女性たちや噴水の周りを走り回っている子どもたちがいる。
「ここは神の民の憩いの場所で、周りの建物は図書館や学校、役所など公共施設を中心にいろいろな物が集まっております。もちろん遠くから祈りを捧げにくる者のために宿も」
「書籍など興味ございますか? 図書館にはこの国の歴史の書もあり、とても面白いのです。
蘭丸は苦笑いをしている。きっと蘭丸は本に囲まれているのが好きなのだろう。
それに、あの
図書館に向かおうと歩みを進めたその時だった。女性の叫び声が聞こえた。
「誰か~~~~っ。その方を捕まえて~~~~っ!!」
その声のする方に振り向くと、小さな男の子が全力でこちらに向かって走ってくるのが目にはいった。
「どいてーーーっ」
「待ってくださいっ!!! 止まって!! 危ないっ!」
どこからか大きな鳥が上空から男の子めがけて急降下しているのが見えた。
「あ、危ない! 喰われるぞ!!」
一斉に街に出ている民が、逃げ惑う。
「
「
とっさに
するとどこからともなく
ギギギギ…。 シュッ!
一瞬だった。
フギャーーーーーっ!
見事矢は鳥の羽に刺さり、鳥は踵を返す様に大空へ飛び去っていった。その
「
そこへ半泣き状態でオロオロしながら蘭丸が駆けつけた。それを制するように
瞬時に
「
「えぇ。私は大丈夫です。ありがとう。あの少年は?」
鳥の血を浴びた小さな男の子は茫然としている。そこに追いついた女官らしき女性がその子をしっかりと抱きしめていた。無事だったのだ。
「
男の子は泣くこともなく、
女官らしき女性が慌てて
「も、申し訳ございません。助かりましたっ。みなさまお怪我はございませんでしたでしょうか?」
「あちらは、
そう言ったのは
「あ、はい。あの…ちょっと目を離してしまい…。申し訳ございません」
「
「ご、ごめんなさい。僕…僕…」
「
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