第8話 旅たち
森に囲まれた場所に、朱い鳥居がある。その奥に神の池と呼ばれる池がひっそりと存在していた。昔から村人は神への捧げものや神楽の舞を奉納してきた由緒ある場所だ。
今そこに
「もうすじゃ。もうすぐ満月が神の池の真上にくる」
そう
「始まるぞぃ」
その声と同時に満月が池の真上に到着し、月の光が桜の花びらを照らす。
すると…月の光が池の水に反射し、物凄く強い光が池の中央から湧き上がる。そして水しぶきを上げる様に、キラキラと光りだした。
「綺麗…」
誰もがその光に目を奪われていると、その光の束が徐々に形をつくり階段が創り出される。そして池に映った月の光が小さな粒となり上空へ浮かび上り、やがてそれらは大きな光の束に形を変え、ふんわりと扉を模り始めた。
「「「おぉ~」」」
その場にいた誰もが、光のショーを目の当たりにし、感嘆の声をあげた。
しばらくすると、光の扉の奥から優しく穏やかな女性の声が聞こえてきた。
「お迎えにあがりました」
そう言うと扉が厳かに開き、中から数名の人物が現れ階段の脇にゆっくりと整列した。
彼らはみな同じ格好をし、狐の面を被っていた。そしてそれぞれの頭には、狐のような犬のような耳がついており、さらに彼らはふさふさの尻尾を携えていた。
「
「
―― なんて奇麗なお顔をされているのかしら?
さぁ、こちらへ。と
不思議と
そして、一番上まで到着した時
「
「えっ?」
村人の後ろの方から、懐かしい声が聞こえてきた。その声の主は、村人をかき分け最前列に向かってくる。
「
「
「あ、いえ…」
はぁはぁ…、と息をきらしながら
「
「すまない。や、やっと…。はぁはぁ…。やっと焼きあがったから。
「
「
「
「えっ?」
『
「ありがとう。
そう言うと、
「
「
「今まで本当にありがとうございました。
「
「これは?」
「
「まぁ。よろしいのですか?」
あどけない顔で
「どうしても、君に渡したかったんだ。遅くなってごめん」
「い、いいえ。とても嬉しい」
大きく深呼吸して
「
そう言うと
「「「
「「「
村人たちの声を背中に、ゆっくりと扉がしまった。いつしか扉は光の粒と化し、ここにいるみなの頭上へ優しい雨のように降り注いでいく。
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