第3話 選ばれし者
その夜、
「
二人の祖父にあたる
しわくちゃな顔に薄くなった白髪をきっちり後ろで束ね、白地の着物を身に纏った姿はいかにも当主に相応しい貫禄を放っていた。
「戻りました。お爺さま」
「うん。そこに座りなさい」
言われるがまま、二人は
「早速で悪いが、何故呼ばれたのか…わかるな?」
「あの…。私が選ばれたって…お爺さま?」
「うむ。
二人の叔父にあたる
その盆の上には、破魔矢のような立派な矢がおかれていた。心なしか光を放っているように見える。
「何これ?」
ゴ、ゴホンっ。
慌てて
「
そう切り出したのは、村で神の声を聞くという長老巫女の
が…、次の瞬間! スース―という寝息を立てて眠り込んでしまった。
こうなってしまっては、次の言葉がいつ発せられるのか誰も知る者はいない。
「またか…。仕方ないのぉ。わしから話をするとしよう。
居眠りを始めた
「古来より我が
「はい」
「予てより、100年に一度…。我々は神の嫁に相応しい娘を選び、五穀豊穣を神に祈願してきた」
「今年がその100年目にあたる。ここにいる誰もが迷信だと思っていたが、今回は神の方から
皆の視線が破魔矢と
「神は我々の生活を守ってくださる。我々の酒の味が決まるのも神のお力あってこそだ」
さっきまで大人しく話を聞いていた
「神様って目に見えるモノなのかしら? それに…嫁と言ってますけど、
「
「うーん…。見えませぬ。ここにいらっしゃらないのかもしれませんが。もしその話が本当なら、
「おい、
たまらず
「わしも辛い。だがこれは人が生きていくために、神の恩恵を受けるためにも必要なことなんじゃ。わかってくれ」
特に
毎日がとても充実していて楽しかった。
その
酒の魅力に目覚めたのも、
なによりも、兄の
裏山でかくれんぼをしていた時、
あたりが暗くなり心細くなってきたころ、
――
「
「お兄さま。大丈夫です」
「お爺さま…かしこまりました」
「
「お爺さま!
声を荒げたのは
「
「くっ…」
「お兄さま。私は大丈夫。私はもう子どもではありません。それに…神さまってお強くて高貴で素敵な方に違いありません。何があっても、私は大丈夫です。なんといってもお兄さまの妹ですし、お爺さまや
最後の大丈夫は
「
「かしこまりました」
「
気付くと、
――
一歩、歩みを進めようとした時、草むらから勢いよく飛び出してきた物体が
「きゃっ!」
そこに現れたのは、モフモフの真っ白い毛におおわれた狐の様な犬のような生き物。ふさふさの尻尾は3つに分かれており気持ちよさそうにフリフリしている。
その生き物はジーっと
その生き物は
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