第7話
精液検査が終わりベッドの上で一休みしている。
既に3人とも病室からはいなくなっているが、僕自身の興奮は落ち着くことを知らない状態であった。
というよりも、冨浦さんにアレコレやってもらっている間に発情してしまった僕は加奈子さんにぶつけるという手を使った。
その結果加奈子さんは疲れ果ててしまったわけである。
ちなみにその加奈子さんはとうに病室から出て言っており、既に別室で休んでいるとのことだ。
検査や行為を終えて改めて思う。
やはりこの世界は僕が生きてきた世界とは価値観が根底から異なりすぎている。
そう考えている僕自身・・・というか、この世界の僕本来の意識も、おそらくそういう思考だったのだろう。
『自身が貴重な男性であり、法に触れなければ何をしても許される』・・と・・・
とはいえ、今の僕の意識も、前に居た世界であれば最早完全に変態だし、下手をすれば犯罪者レベルだ。
しかし同時にワクワクもしていた。
前の世界であれば男女問わず忌み嫌われていた僕だが、この世界ならば女性からはウケが良くなるかもしれない。
とはいえ、あまりにも不誠実な関係性は今後のトラブルを避けるためにも極力避けるべきであろうと思う。
少なくともこの世界の価値観ですらタブーはダメだ。
そうなると・・・
・ハーレムはOK。
・行為に及ぶ際は必ず合意の下で。
・基本的に受け入れる女性も、ハーレムを容認している女性に限る。
そのうえで、国の方針に大まかに従うのであれば、
・容認した女性の中で妊娠を望む者がいれば積極的に行為に及んだ方が良い。
こんなところだろうか・・・
幸いにも今の僕は少し若返っており、中学3年生だ。
既に高校まで卒業しているとかそういう状態であればいろいろと難しい問題があっただろうが、高校生の期間があれば同世代の女性達との出会いもあるだろうと思う。
そんなことを考えているとノックして看護師さんが入ってくる。
先ほど精液検査に協力してくれた冨浦さんだ。
「瀬田様、今後のご予定に関して伺いたいことがありますがよろしいでしょうか?」
「それはいいんですけど、やっぱり『様』はやめていただけないでしょうか?」
「・・・・難しいかと・・」
「それならせめて、冨浦さん、阿久津さん、重村先生しかいないところでは『さん』付けでお願いできませんか?」
「・・・・・・・頑張ってみます・・・」
なぜそこで顔を赤らめる?
「それで用件の方はどんな内容なんですか?」
「瀬田さ・・・さん、の今後のご予定についてです。
検査の結果特に問題はない様子なので、リハビリ等を行っていただき、日常生活を送るうえでの運動機能に問題が無ければ、本来は自宅に帰宅する、という流れになるのですが・・・
その、瀬田・・さんは、人格は違うと言えど、あのご家族様との関係が・・・・・」
ああ、そうか。
家に帰るってことは僕が恐れてしまっている母や姉、妹たちのところに帰るという事だ。
正直言えば今の僕にはそこまでの勇気は未だ無い。
でも今のままでも良いというわけでは無い・・・
どうしようかと考えていると提案があった。
「これはあくまでも案なのですが、男性専用区域の住まわれてはいかがですか?」
「男性専用区域?」
「簡単に言うと原則として男性しか立ち入ることができないようになされた区域です。一部の女性も入ることはありますが、それは男性護衛官であったり、その区画の管理・維持を任されている人物に限定されます」
「それ以外の女性は入れないという事ですか?」
「厳密に言えば、それ以外の女性も入れないことは無いですが、事前に手続きなどを行う必要があります。
男性専用区域は出入り口にゲートがあるため、許可のないものはゲートを通ることができません。
そのためご家族であってもあらかじめ手続きをしておき、決められた期間のみ有効となるIDカードを発行します。
そのIDカードでゲートを通ることができるようになりますから・・・」
おおぅ・・・家族でも女性となると通行許可が必要になるのか。
しかしここでふと疑問に感じた。
男性護衛官という言葉だ。
それほどに男性が希少ならば、たとえこの世界の僕がクズであったとしても男性護衛官がついていたのでは?
そう思って冨浦さんに質問してみることにした。彼女ならば僕の事情も把握しているので問題ないだろう。
「質問なのですが、この世界の寛治君には男性護衛官はいなかったのですか?」
「いえ・・・いたとの報告がありましたよ?」
「それで追いかけられるのですか?」
「あー・・・その、『卒業式の日くらい一人で帰りたい』との要望があったとのことで。最初は護衛官も危険なためと食い下がっていたのですが、それで寛治様の機嫌が悪くなってしまったらしく・・・」
つまりこの馬鹿寛治は我儘を押し通した結果、危険な思想をもった女性に追われたってことか・・・
あまりの馬鹿らしさに絶句してしまう。
「それで、その護衛官の人は?できれば会って謝りたいのですけど・・・」
「えーと・・・」
「もしかして何か不味い事態に?」
「クビになったと伺っています・・・」
「クビ!?なんで!?」
「護衛官である以上、護衛対象を守れたかどうかの結果が大事なので、結果を出せないどころか最悪の事態を招いた護衛官ということでクビになったそうです」
「そんな・・・・何とかなりませんか?」
「私の力ではどうにもなりません。ただ、寛治様がご家族の方にお願いをすれば、何とかなるかもしれません。」
「というと?」
「簡単に言えば男性護衛官も民間の企業が行っていますから、費用の上限はあれど、その上限までは国が負担してくれることにもなっています。
そしてご家族の方が護衛会社に依頼する形となっていますので、ご家族の方を説得できれば可能性があるかもしれません・・・」
家族を説得か・・・
そこで僕は一つの手を思いついた。
しかしあまりにも卑怯なやり方だ・・・
気は引けるが、その護衛官の人には何も罪は無い。
この世界の僕がやったこととはいえ、軽率な考えが引き起こしたのだ。
ならば僕が責任を取るべきだろう。
そう思った僕は返ってもらった家族を再度呼び出すように依頼した。
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