第6話
看護師さんたちは容器を取りにいったようだ。
戻ってきた看護師さんたちは大きな容器の他に、試験管のように思えるものも持ってきている。
「それでは改めて精液検査についてご説明させていただきます。
精液検査は先ほど申し上げた通り、男性のものの持続時間や、ものの大きさなどを調べるほか、射精量はどれくらいか、精液の中にどれだけの精子があるのか、出された精液が女性の子宮に酷似した環境でどれだけ生きていられるかというのを調べるものです」
「例えば持続時間が長ければそれだけ行為に及んでられる時間が長くなります。
大きさ・・・と申し上げましたが具体的には長さですね。
長ければ子宮に到達してくれる可能性が高まります。
射精量や精子の量が多ければ受精する可能性が高まりますし、
精子の存続時間が長ければ排卵迄の期間が長くてもいい分、行為に及ぶ日を選ばなくてもよくなったりしますから」
なるほど・・・
確かに理にかなっている。
「それでは物を拝見させていただけますか?」
「わ・・・わかりました」
恥ずかしい気持ちを抑えながら僕は下着を脱いだ。
どっちみち見られたことがあるだろうし、今更だろう。
「「「!?」」」
何かに驚いているようだ。
「あ・・・あの?何か変ですか?」
「い、いえ。変というわけではなく・・・
その・・とても大きいなあと思いましてですね・・」
言われて改めて見たが、僕のサイズはこれくらいだったはずだ。
というのも僕はものの大きさにだけは自信があったのだ。
「以前、清拭した際にはここまで大きくなかったはずだったので・・・」
「そうなんですか?僕にとってみればこれくらいだったはずですけど・・
もしかしたら魂?が乗り移ると同時に肉体にも変化があったのかもしれませんね」
「「「!?」」」
しばしの無言の後に冨浦さんが聞いてくる。
「それでいかがいたしましょうか?」
「というと・・・???」
「その・・我々で刺激したほうがいいのか、ご自身で扱われるかを選んでいただけると」
「選べるんですか!?」
「え、ええ・・・といっても多くの男性は女性に積極的に近寄ろうとか触ろうとか考えたりしないので、殆ど・・というか私が今まで見てきた男性は全員自分で扱い射精していましたので」
そうなのか・・・もったいない気がする。
僕はあくまでも前の世界における性欲が基準になっている。
この世界の男性は女性を忌避する傾向があるのだろう。
だからこそ重村先生はそのことに関する質問をしてきたのだろうから。
「そ・・・その、看護師さんで扱っていただけますか?」
「「「!?」」」
「よろしいのですか?」
「この世界の男性がどういう感じなのかは聞いていて大体の想像は着きましたが、僕のいた世界の男性は少なくとも半分くらいは女性に対して何らかの性欲がある存在ですから。
僕も例に漏れず、性欲がある方の男性です。それに・・・」
「それに・・?」
「皆さんみたいな美人の人に扱ってもらえるならその方が興奮しますので・・」
「「「!?」」」
なにをそんなに驚いているのだろう。
まさかこちらの世界の男性はそこまで違うものなのか?
「もしかしてこっちの世界の男性って女性の扱いがそこまで酷いんですか?」
「酷い・・・のでしょうか?」
「私たちはいわばあまりものですから、いてもいなくても変わらないものとして扱われることは多いのが普通ですから」
「選ぶのは男性で、平均すれば100人の女性から選びたい放題ですからね・・・
それに・・・」
「それに?」
「以前の寛治様がいらっしゃった世界がどうなのかは存じ上げませんが、この世界では一夫多妻がどの国家も常識です。
そうしなければとてもでは無いですが国家を存続させるだけの子供を残すことは不可能ですから。
ですが、1人の男性が必ず100人選ぶとは限らないのですよ」
ああ、そうか。
場合によっては1人も選ばない可能性すらあるんだろう。
話を聞く限り、積極的に女性と関わろうとしているわけでは無いのだろうし。
「我が国の制度としては男性は直接婚姻により必ず10人以上の子供を産むようにとの法律が定められてはいます。
そのほか男性からの冷凍精子の提供などで人工授精により女性が子供産むことによってなんとか人口の維持ができているということです」
流石に男性側にも制約はあったか。
積極性が無いとなると割合的には希少な男性が誰も選ばなくなれば国家の存亡にもかかわってくる。
国があって民があるんじゃない。
民があって国がある。
民のいない場所を国と認めてくれるはずがない。
「つまり、ここで採取した精液も単に検査の為だけに採取するのではなく、冷凍されて人工的にでも妊娠を望む女性たちへと提供されることにもなります。
もちろん人工的に妊娠するのと、自然な妊娠とでは後者の方が安全性が高いものではあるんですがね・・・」
なるほど・・・
「そうだったんですね・・・
あの・・・僕のいた世界での妄想上のやり方みたいなのをお願いしてもいいですか?」
「どんなやり方なんですか?」
若干警戒心が混ざり始めた。当然と言えば当然だろうな。
「その・・・胸をはだけさせて、手や口で扱っていただけると・・・」
「えっと?そんなことでよろしいのですか?」
「えーと、それほどのことと思うんですけど・・・」
この世界の女性にとっては『そんなこと』なのか・・・
「かしこまりました。そういう事でしたらお任せください」
そう言って今回は冨浦さんが手伝ってくれることになった。
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