第4話
古びた地図を片手に、ピコとタクミは「影の森」と呼ばれる場所へと足を踏み入れた。地図に記された場所まで辿り着く道のりは長く、険しかった。しかし、二人は母親を探すという共通の目的を持ち、互いを励まし合いながら進んで来た。
森の中は、想像をはるかに超える薄暗さだった。まるで夜が永遠に訪れたかのような、深い闇が二人を包み込む。木々は異様な形に捻じ曲がり、まるで生きているかのようにこちらを見ているようだった。
「ピコ、ちょっと怖い…」
タクミが、震える声で呟いた。ピコは、タクミの手を握りしめ、優しく微笑んだ。
「大丈夫だよ、タクミ。私たちには、この地図がある。それに、二人一緒なら怖くない。」
ピコの声は、暗闇の中で光のように輝いていた。タクミは、ピコの言葉に少しだけ勇気づけられた。
二人は、地図を頼りに森の中を進む。道中には、奇妙な植物や、見たことのない動物の姿もあった。しかし、それよりも二人を不安にしたのは、森全体を覆う重苦しい空気だった。
「この森、何かおかしい…」
ピコが、そう呟くと、タクミも頷いた。
「昔、この森では禁忌の魔法が使われたって聞いたことがある。もしかして、その影響が残ってるのかな?」
タクミの言葉に、ピコは背筋を凍らせた。
「もしそうだったら、私たち、無事にここから出られるのかな…」
二人は、不安を抱えながらも、一歩ずつ足を進める。そして、ようやく地図に記された場所に到着した。
そこには、大きな古木が立っていた。その木の根元には、小さな洞窟が開いていた。
「ここが、目的地かな?」
タクミが、洞窟の中を覗き込む。洞窟の中は、真っ暗で何も見えなかった。
「ちょっと待って。暗くて見えないから危ないよ。」
ピコは、そう言うと、懐から小さな光る石を取り出した。それは、ピコがいつも身につけているお守りだった。
光る石の光を頼りに、二人は洞窟の中へと足を踏み入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます