第3話

タクミは、古びた街並みが続くこの町で、いつも一人だった。母の姿をどこかに見つけ出そうと、毎日同じ道を歩き続けている。そんなある日、いつものように街を歩いていると、見知らぬ男に声をかけられた。男はにこやかにタクミに近づき、甘い言葉を囁き、そのまま連れて行ってしまう。


一方、ピコは、この街の影でひっそりと生きている少女だった。どこから来たのか、誰にも分からない。ある日、いつも通り街を彷徨っていると、聞き覚えのある声が聞こえた。それは、タクミの声だった。男の家へと忍び込んだピコは、薄暗い部屋の中で、縛り上げられたタクミを見つける。


ピコは、男が隙を見せた瞬間、素早くナイフを突き立て、タクミを助け出す。しかし、男の反撃にあい、ピコ自身も深い傷を負ってしまう。必死にタクミを背負い、街の外へと走り出す。


二人は、森の中の一軒家にたどり着いた。そこは、ピコが秘密基地として使っていた場所だった。傷ついたピコをベッドに寝かせ、タクミは必死に水を探しに行く。その間、ピコは、タクミに自分のことを話した。どこから来たのか、なぜこの街にいるのか。そして、タクミに、母を探し続けることをやめないでほしいと願った。


タクミは、ピコの話を聞きながら、初めて心から安らぎを感じた。そして、ピコのために、何かしてあげたいと思った。


次の日、タクミは、街に戻り、男を探し始めた。そして、男のアジトを見つけ出し、警察に通報する。男は逮捕され、タクミは、ようやく自由になった。


それから、タクミとピコは、一緒に暮らすようになった。寂れた一軒家は、二人の笑い声で満たされた。タクミは、母を探し続けることを諦めず、ピコは、そんなタクミを陰ながら支えた。


この街は、決して華やかではない。しかし、タクミとピコにとっては、かけがえのない場所となった。

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