第3話ひまわりや最後いっぽん折られけり

 ひまわりや最後いっぽん折られけり


 夏の季語:ひまわり



夏の暑い時期、元気に咲くひまわり。

どこまでも続くひまわり畑は圧巻ですね。

小さいころは、元気なひまわりが好きで、

自分より背の高い花を見上げていました。


元気なひまわり。

元気をくれるひまわり。

心和むひまわり。

このひまわりが折られてしまうのは嫌ですね。

自然災害で倒れてしまうならまだしも、

誰かによって折られてしまうのは悲しいことです。


『お母さんの木』という作品はご存じでしょうか。

戦争を題材にした文学作品ですが、学校の教科書にも載りました。

実写版の映画では、2015年に放映されています。


アニメ版もありますが、私は小学生のときに見ました。


七人の息子と一緒に住むお母さんは、お国のために、

息子たちを戦争に送り出します。

最初のころはお国のため、手柄を立てるよう願っていたお母さん。

長男の遺骨が手元に戻ってきたことで、手柄を立てるより、

無事に帰ってきてほしいと願いはじめます。


息子たちが戦地へ赴くたびに植えた桐の木。

息子だと思って木に向かって語り続けます。


息子はひとりも帰ってきませんが、それでも無事を祈り続けるお母さん。


行方不明の五郎が帰ってくるのですが、お母さんは息絶えてしまいます。

五郎と名付けた桐の木にもたれたまま。



花の盛りが終わるころ、ひまわりはゆっくり顔を地に向け始めます。

黄色の花びらはなくなり、緑の葉っぱも元気をなくします。


そして、たくさんの種を地上にこぼし始めます。

そんな風に穏やかに人生を迎えられたら良いですね。




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