第2話原爆忌たゆたう影に祖先あり

 原爆忌たゆたう影に祖先あり




夏の季語:原爆忌


高校の修学旅行では行先が九州でした。

本当なら北海道にはずでしたのに、

私たちの代は九州に決まりました。


修学旅行に北海道と張り切っていたのに、

残念だった記憶があります。


ですが、友達とあちこち歩くの楽しく、

九州も良いものだとすぐに思い直しました。


修学旅行では学生で行き先を自由に決められますが、

すべてが自由ではありません。


全員で同じ場所へ行く日もあります。


そのひとつが長崎原爆資料館でした。

食事をした後、体調を悪くした子もいたと、

事前に先輩から聞かされていました。


重苦しく辛い気持ちになるだろうかと、

覚悟して足を踏み入れましたが、

意外にも淡々とまわっていけました。


時が止まったかのように静か。

それなのに、展示物のひとつ一つに大きな存在感があります。

静かにどしりと体の奥へ沈み込むような感覚でした。


印象に残ったのは、11時2分で針を止めた被ばく時計。

熱線により焼きつけられた影。

原子爆弾によって、人やはしごなどの影が残ったんですね。

実際に、写真を見て静かに衝撃を受けました。


原爆を考えるとき、影が思い浮かびます。

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