第157話 それぞれ
「それでどうだったの?」
「ど、どうって?」
朝遅くに起床し、広場にでるなりにクラスメイト達に詰め寄られ長谷川瑠美は困惑する。
「昨日の夜聞こえてたよ」
「!?」
その一言で長谷川も察する。要するにアレの声である。そもそも武藤がつくった各部屋には窒息しないようにと窓穴が開いている。つまり閑静なこの拠点では夜は特に声がものすごく通るのだ。
「赤ちゃんできちゃうとか――」
「きゃあああああ!! い、いわないで!!」
自分が言ったことを思い出し、長谷川は思わず叫んで、その場にうずくまり顔を両手で覆う。
「で、どうだったの? 痛かった? 気持ちよかった?」
「声を聞く限りじゃ気持ちよさそうにしか聞こえなかったけど」
周りを囲まれ脱出不能になっている長谷川は観念したように渋々と語りだした。
「えっとその……すごく気持ち良かった」
「!? い、痛くなかったの? どんな感じ? そこのところ詳しく!!」
「詳しくと言われても……!? し、東海林さん!!」
長谷川は問い詰められた中、ふと昨晩同じ経験をした東海林が目に入り思わず呼んでしまう。
「わ、私!?」
「そういえば東海林さんもだったわね。で、どうだったの?」
「どうってその……すごく大っきかったわ」
「!? おっきい!? ど、どれくらい!?」
「他の男の人のを見たことがないからわからないけど、あんなにおっきくなるんだって思った」
その言葉に周りの女子生徒たちが思わず生唾を飲み込んだ。
「あと、すっごく硬いのに柔らかくてあったかいの。本当に不思議。あんなのがついててじゃまにならないのかしら?」
「そ、それで?」
「武藤くんてすっごく上手なの。触り方がものすごく上手で、すごくえっちな触り方に見えるのにものすごく相手を気遣ってて、自分がされてる分には全然いやらしく感じないのね」
「ほうほう」
「それで全身を撫で回されてるだけで何度も達しちゃうくらいには上手だったわ」
「それで――」
「はいはいそこまで」
佳境に入ってきた東海林を止めたのは香苗であった。
「話すのはいいがまずは仕事をしようねえ。仕事をしながらなら話してもいいから」
香苗の言葉に女子生徒たちは渋々と「はーい」という返事をする。武藤の彼女である香苗には誰も逆らえないのだ。
「瑠美も結愛も嬉しいのは分かるが仕事はしようねえ」
「「はーい」」
浮かれていた2人だったが、恋人の先輩である香苗の言葉に冷静さを取り戻し、仕事に行くのだった。ちなみに武藤の恋人たちも発電やら薪拾いやら仕事をしている。仕事は時間ではなくノルマ制なので朝は遅くなっても問題ないのだ。あまり遅いと朝食がなくなるだけである。
元いた拠点と違いこの拠点では仕事が多い。風呂掃除や水汲み、洗濯に発電、洗濯板の作成や薪拾いに料理と仕事は多岐にわたる。故に作業量を決めずに労働した場合、余る時間などないのである。その為、各作業にわかりやすいノルマを設けて、それを達成すればその日の仕事は終わりということになったのだ。ちなみに風呂掃除と調理はそれだけでその日の作業は終了である。
仕事が終わればスマホをずっといじっていてもいいし、昼寝をしていてもいい自由時間である。傍から見ればスーパーフレックスどころではない作業形態はかなりのホワイト企業のようであった。ちなみにこれは香苗の提案である。
「あー俺一生ここにいてもいいかも」
武藤から提供された竿に同じく提供されたルアーをつけて川釣りに勤しむ吉田がつぶやく。
「女だらけの園にいて、しかも恋人と毎晩イチャコラできるって天国だよなあ」
そのつぶやきに光瀬も同樣に竿を振りながら同意する。この2人は現在超可愛い彼女持ちなのである。しかもまだ付き合い始めであるにもかかわらず夜は寝室で2人っきりなのだ。それで高校生の男女が盛らないわけがない。
「しかし毎晩10人てあいつはすげえなあ」
「ほんと、マジ尊敬するわ」
2人とてまだ精力もお盛んな高校生なりたてである。それはもう連日猿ように盛っているのだが、それでも頑張って3回できるかという感じである。それが連日ともなれば回数は次第に減っていく。それを毎日10人以上しているともなれば2人が武藤に尊敬の念を抱くのも無理はないだろう。
「おまえ気絶させたことある?」
「あるわけねえだろ」
話を聞くに武藤は全員を毎回気絶させているというのである。それは異世界にいた頃の武藤のテクニックもあるがそれより魔法やオーラの力が大きい。何せ常に最適解を選択できるのである。しかも女性側本人が知らないことすらも含めてだ。
そんな武藤を童貞を卒業したばかりの高校生に真似しろと言っても不可能である。というかどうやっても現在の地球の人類には不可能だ。しかし、吉田と光瀬からすれば武藤は一番身近な女性関連のお手本である。いくら元勇者とはいえ、あっちの方面は人と変わらないはず。2人はそう思っていた。
「今度色々と教えてもらおうぜ」
「ああ」
そんな会話をしながら陰キャグループの2人組はのんびりと時間を過ごすのだった。
「糞っどこにもいねえ!!」
「先生!! あっちにもいません!!」
その日、男子生徒グループは焦っていた。朝起きたら女子生徒たちが1人もいなかったのである。飢えに耐えられず、全員で食料を探しにいったのかとも思ったが、食料提供を受けていたことを思い出し、すぐさまこれは違うと高橋は男子生徒に命じて女子を探させた。その結果、1日探したにもかかわらずその痕跡すら見当たらなかったのだ。
「30人だぞ? それが全員なんの痕跡も残らずに同時にいなくなるなんてあり得るか?」
高橋の呟きに男子生徒は誰も口を挟めなかった。
(もう少しであの長谷川を……あいつら全員をおもちゃにできたってのに……糞っ!!)
現在の1年生にはまだ手を出せていないが、高橋は各学年に最低3人以上はおもちゃにしている女子生徒がいた。無理矢理襲い、動画を撮影して脅し、その友人や後輩を連れてこさせて友釣りのようにどんどん獲物を増やしていた。
(じっくり慎重にいこうとしたのが仇になった!!)
高橋はこれまで女神と呼ばれていた生徒には手をだせていなかった。小鳥遊は交友関係が狭く、友人に手を出させて友釣りという手段ができず、しかも部活動もしておらず帰るのが早い為、全く関わることができなかった。美紀達に至っては猪瀬の力が強すぎて近寄ることすらできていない。脅そうが何しようが必ず報復されることがわかっているからだ。
それ故に1年の女神と呼ばれた生徒が5人もいるクラスの担任になるという奇跡に高橋は生まれて初めて神に感謝したほどである。しかし、百合達もクリスの関係からか猪瀬の影響力があることがわかり、全く手を出せずにいた。故に高橋はそれに影響されていないであろう長谷川を第1ターゲットにしたのである。
(あの巨乳がもうすこしで俺のものになったっていうのに!!)
先日、高橋は長谷川に焦らされながら服の上からなら揉んでいいと言われ、長谷川の胸を思う存分揉みしだいたのである。今まで襲った生徒の中で一番の美貌とスタイルであった為、それだけで我慢できたのが奇跡であった。
(焦らずじっくりと楽しもうとしたせいで!!)
無理をすればその場で押し倒せただろう。だがそれをした場合、合法とは言えなくなってしまう。相手の同意があったといえば、中林でも強く反発はできないだろう。そう思いそこで我慢したのだ。結果、全女子生徒を逃がすということにつながってしまったのである。
「探せ!! 女子高生の足じゃそんなに遠くには行けないはずだ!!」
逃がした巨にゅ――魚はでかい。高橋は必死にそれを追い求めるのだった。
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