第139話 侍女

「お兄様。前も言ったけど私付きの侍女にはバンバン手を出しちゃっていいからね」


 恋人達を拠点に送った後、森を調べに行こうと1度城に戻った武藤にたいしてリイズがそんなことを告げる。


「これ以上どうしろと……」



 武藤としては既に8人も相手にしているのである。皇達を入れれば11人である。さすがにこれ以上は……と思っていたのだ。主に精神的な面で。ちなみに体力的、精力的に考えるなら後100人いても大丈夫である。


「姫様付きの侍女は私達姉妹を除き、基本的にあのぼんく――ごほんっ糞――ごほんっ前勇者の被害者なのです」


「王城に居る侍女って基本的に貴族の娘なの。で、貴族ってのは結婚するまでは非常に貞操観念が厳しくてね。お手付きになった者は傷物としてまず正妻にはなれないの。良くて妾ね」


「無理矢理襲われたのに?」


「そんなの関係ないわ。寧ろ襲われていなくても・・・・・・・・・関係ないのよ。そういう噂があるだけでもうまともな縁談は来ないわね」


 酷いものだと武藤はため息をつく。


「そんな娘達からしたらお兄様は唯一の希望なの。子供ができれば次期王族の乳母になれるし、なにより乳兄弟を作れればその子が王族の側近になれる可能性もあるからね。見捨てられた実家にも面子が立つし、そこらの貴族の妾になるよりよっぽど幸せになれるわ。何せ真の勇者であるお兄様の妻の1人になれるのだから」


 リイズがそれはもう武藤を真の勇者として広めているのである。自分達の唯一の主にして大恩ある女王が夫にしようとしている人物。それが自分達の夫にもなるかもしれないとなれば、侍女達が狙わないわけがない・・・・・・・・・


「特に20過ぎて独身なんて貴族なら完全に行き遅れだからね。さらに傷物扱いとなれば、もうまともな貴族子女としての未来はないわ。だから私が引き取ったんだし」


 以前、武藤が言った恩を売って忠誠を得ることで忠臣を得るという方法である。その効果はすさまじかったらしく、リイズに仕える侍女達は己の命を捨ててでも尽くそうとするらしい。忠誠を通り越してもはや狂信であった。武藤はそんな教祖様がたたえる人物である。つまりそれは彼女達からすれば神にも等しい存在であった。


「試しに今日はお城を散歩してみたら?」


「いや、今日はあの飛竜が飛んできた森を調べないと……」


「エドはまだ帰ってきてないんだし、待ってからでもいいでしょ」


 リイズの言葉に渋々と納得し、武藤は1人、城を散歩することにした。

 







「勇者様、どうされたのですか?」


 廊下を歩いていると、声をかけてきたのは、最初に武藤がリイズの寝室で出会った侍女であった。もはや否定するのも面倒で武藤は勇者呼びを受け入れていた。

 

「今日は一人でお城見学なんだ」


「そうですか。よろしければ私がご案内しますよ?」


「仕事は?」


「陛下には勇者様を何より優先するように仰せつかってます」


 武藤は内心それでいいのか? と疑問に思うがリイズがいいといっている以上、とやかく考えないことにした。

 

 

「こちらゲストルームです。夜会等で酔われた方が休憩するお部屋です」


 そうして案内されたのはゲストルームと呼ばれるところであった。正直武藤としてもこんな部屋を案内されたところで何の意味があるのだろうと頭に疑問符を浮かべていた。

 

「勇者様」


「俺は勇者じゃないって」


「いえ、勇者様は勇者様です。以前のクズと違い本物の」


 間違いなく百合の幼馴染の方の吉田のことだろう。

 

「陛下から既にお聞きしているかもしれませんが、私達陛下付きの侍女は全員クズ勇者に手籠めにされています」


「自分の意思じゃないんだろう? なら魔物に噛まれたのと変わらないんじゃないか?」


「そういってくれるのは勇者様くらいです。傷物である私達には誰も見向きもしません。それこそ娼婦と同じような扱いです。実家からも見捨てられているものも多いです」


「そこを支えるのが家族じゃないのか?」


「貴族にはそんなきれいごとは通じないことが多いのです」


「世知辛いなあ」


「汚れた私達に出来ることは陛下に尽くすことくらいです」


「汚れてなんかいないだろ」


 武藤がそういうと侍女はそっと武藤の胸の中に飛び込んだ。

 

「なら抱いてくださいまし」


「え?」


「あの薄汚い偽物勇者に抱かれたおぞましい記憶を上書きしてください」


 そういって侍女は服をはだけながら上目づかいで武藤を見つめる。

 

「いや、そういうのはむっ!?」


 気が付けば侍女の唇が武藤の唇と重なっていた。

 

「勇者様……私……」







「はっ!?」


 武藤が気が付いた時には既に2人共裸でベッドの上だった。傍らには裸ですやすやと眠る侍女の姿が。ちなみにだがこのゲストルームとは本来は夜会等で貴族がご休憩に使う部屋である。つまり……そういうことであった。

 

「ん?」


 放心していた武藤だが、部屋がノックされる音に反応する。

 

「失礼します。勇者様、メリッサ――」


 恐らくここで寝ている侍女がメリッサなのだろう。彼女を探しに来た侍女はベッドの惨状を見て言葉を失った。

 

「……」


 そして黙ったままそっと扉を閉めて侍女は去っていった。

 

「どうしよう」


 武藤は一人途方にくれた。

 

 





「失礼します」


 しばらくすると先ほどの侍女が仲間を連れて帰ってきた。

 

「お部屋をお掃除させていただきます。勇者様は後宮の湯殿で汗をお流しください。メリッサは私どもが運びますので」


「あ、ありがとう」


 そういって武藤は侍女の一人に連れられ昨日の後宮の浴場へと連れてこられた。

 

「……なんでいるのかな?」


「お背中をお流しします」


 気が付けば武藤は裸の侍女に囲まれていた。

 

「別に自分で「是非私たちにお任せください!!」……お願いします」


 あまりに熱心に頼み込む姿に武藤は気圧されて観念したかのようにお願いした。

 

「あの……」


「なんふぇふょう」


「口に含んだまましゃべっ!?」


 気が付けば侍女たちは自分達の体に泡をまとわせて直接武藤の体を洗っていた。そして武藤を案内してきた侍女は既に武藤の武藤を口に含んでいる。

 

「勇者様、お情けを……」


 裸で抱き着く侍女に耳元でそう呟かれ、武藤はプチンと切れた。そして気が付けば浴場で侍女6人が気絶していた。

 

 本来であれば武藤はここまで見境がなくはない。武藤は気が付いていないが、リイズが夕食へと連れてきた時から夕食には、女性なら妊娠しやくなり、男性なら精力が高まる効果のある食事が出されている。これは効果が約1日続くとされている。1日である。そう、つまり個人差はあれ、翌日の夕食まで・・・・・・・効果が続くのである。

 

 普通はそこまで効果が出ないのだが、元々性の獣と呼ばれている武藤がそんなものを摂取してしまえば……そうなるのである。ちなみに一般人男性なら無差別にそこらじゅうの女性を襲うレベルで効果があるが、そこまで連続してできる者は存在しなかった為、そこまで問題視はされていなかった。だがそれが可能な武藤である。内面非常に興奮しているのだが、鋼の精神を持つ武藤はそれを抑えていた。ただし、現在女神の呪いの反動も合わさって武藤は非常に誘惑に弱い状態なのだ。そして料理を作った者も文献を残したものも誰も知らないのだが、この料理は性癖を増幅させる効果がある。武藤の性癖。それは衣装に弱いというものである。特にメイド服に弱い。真由との行為が非常に多いのはその効果もあるのだ。

 

 それはつまり何を意味するかといえば……メイド服の侍女たちは武藤に対する特攻装備を備えているということである。




「ああっ」


「大丈夫か?」


 浴室での惨事後、後から来た侍女達が後処理を任せてほしいと武藤を浴室から追い出された為、武藤は散歩を続けていた。

 

 すると、目の前で立ち眩みを起こしたかのように侍女が一人ふらついた為に武藤はそれを咄嗟に抱き留めた。

 

「だ、大丈夫です。そこのお部屋で少し休ませてください」


 そういわれ、武藤は再び先ほどとは違うゲストルームへ侍女を運んだ。

 

「はあ、はあ、胸がが苦しいのでボタンを開けてください」


 言われるがままに武藤は侍女の服の前のボタンを開ける。

 

「こ、これは……」


 松井を超えるすさまじい物が、ボタンをはじけさせんばかりに飛び出した。

  

「お腹をさすってもらえませんか?」


「わかった」


 武藤はさらに言われるがままに侍女のおなかをさする。

 

「もっと……下を」


 そういわれ武藤は下腹部をさする。 

  

「もっと」


「……」


 言われるがままに武藤はさらに下へと手が伸びていく。

 

「直接」


「……」


 スカートの中に手を入れて触ると、クチュックチュっと水音が響いた。

 

「濡れてる……」


「漏れてしまいますので、勇者様ので栓をしてくださいまし」  

  

 そういって濡れた瞳で見つめられた武藤は抗うこともなく、侍女に覆いかぶさった。

 


 そんな単純な手管でも現在の武藤はメイド服を着ていれば簡単に落とせた。結果、リイズについていた十人の侍従はその日のうちに全員武藤のお手付きとなった。

 

 ちなみに昨晩の侍従の食事もリイズ達と同じ素材が使われていた。そして今朝早くにリイズから侍女たち全員に積極的に抱かれに行けという指示があった。全ての要因ががかみ合った結果、リイズの思惑通りに事が進んだのであった。

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