第138話 後宮

「そういえば、リイズはなんでダンカン使ってないんだ?」


「そもそもダンカンのその存在を知っているのは、王と極一部の者と私達姉妹くらいです。そして王とそれを知る高官は全て亡くなっていますから……」


「知ってるやつそのものがもういないから、提案すらされなかったのか」


「このまま姫様が独身を続けるようでしたら、私達から提案するつもりでしたよ? とはいっても私達は血を重視している訳ではありませんから、私達に認められる養子をとるのでしたらそれで問題はありませんでしたが」


「そうする前に俺が来ちゃったというわけか」


「一晩であれだけできるのなら、姫様もあっという間に孕むでしょう。勇者様と姫様の子ですから、王家は安泰ですね」


 その言葉にリイズは顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 

「しっかり初体験は録画しておいたよ!!」


「録画?」


「ポチっと」


『あっあっお兄様!! お兄様!! あああっ!!』


「?……!? きゃあああああああああああ!!」


 百合がスマホをポチっと操作すると、そこにはリイズが武藤に貫かれて喘いでいる姿が映し出されていた。最初は全く自分と分からなかったリイズだが、喘いでいる言葉をよく聞いて、それが自分だとわかった瞬間、リイズは思わず叫んでしまった。

 

「な、なんなのそれは!?」


「何って、リイズちゃんが武に貫かれて喜んでるところ?」


「そういう意味じゃなーい!!」 

 

「映像を記録する道具ですね。勇者様の故郷は文明が随分と発達しているようです」


「この世界にもあるのか?」


「3000年くらい前にはあった気がします」


 ディケの言葉に全員が言葉を詰まらせた。


「さっ!? つまりそれって……」


「文明が滅びているってことだろうねえ」


 驚いている百合の言葉を香苗が補足した。

 

「ただ、動力は違うようです。それからは魔力を感じませんから」


 つまり過去には魔道具の延長のような形で、電機ではない動力で科学とは違う文明が発達していたということである。

 

「いやあ、太古の異世界文明か……心が躍るねえ」


「ちなみにここの宝物庫にも、太古の魔道具、アーティファクトと呼ばれる過去の文明の遺物がありますよ」 

  

「アーティファクト!? なんだいその心躍る単語は!? どれだい? どれなんだい!?」


 何故か香苗がハイテンションになっていた。


「香苗落ち着いて」


「人類とは違う文明の結晶だよ!? これが落ち着いていられるかっ!!」


「いいから落ち着け」


「あんっ!!」


 武藤は香苗の背後から服の中に手を入れて胸を揉みしだいた。

 

「ちょっ!? 武君そこはっ!?」


 武藤は香苗の感じるポイントは正確に攻め立てた。感度を何倍にも上げながら。

 

「あっ駄目っわかったっ落ち着くからっ!! だからっちょっとまっああああっ!!」


 ビクンビクンと大きく体を痙攣させ、必死に武藤を止めようとしたのもむなしく、香苗は胸を触られるだけで絶頂して崩れ落ちてしまった。 


「はあ、はあ、酷いんじゃないかねえ、待ってっていったのに……」


「落ち着かない香苗が悪い」


 息も絶え絶えながら武藤に文句をつける香苗だったが、百合に一刀両断にされて何も言えなくなった。

 

「とりあえず移動しようか」


「ごめん、立てない」


「……仕方ないな」


 腰が砕けて立てなくなった香苗を武藤はお姫様抱っこで持ち上げた。

 

「香苗だけずるい!!」


「また今度してあげるから」


「ならよし」


 嫉妬する百合をなだめて一向はそのまま場所を移した。 





 


「ここから先が後宮ね。私も入ったことないわ」


 一向は最後に後宮へと足を運んでいた。手入れを支持してはいるが、そもそもここはリイズには縁がない場所なのでリイズも入ったことはない。

 

「わあ!! すっごいおっきいベッド!!」


 後宮奥の中央の大きな部屋には、何故かキングサイズの数倍はあるベッドがど真ん中に置かれた部屋があった。ちなみにここは御多分に漏れず複数人プレイをする部屋であるが、ここ何代かは使われていない。かなり昔にいた超絶倫王の時に作られて以来、使われたことがないのである。 

 

「どう考えても武君の部屋だねえ」


「なんで!?」


「なんでもなにも……ねえ?」


 香苗の言葉に武藤は即突っ込みを入れたが、全員が香苗の言葉に頷いていた。ちなみに王家に伝わる超絶倫王と呼ばれた王は、一晩で5人を同時に相手したとして伝説となっている。武藤はといえば1晩で8人を同時に2周以上した挙句に全員気絶させていたりする。

 

「すぐに夕食があるわ。この部屋はその後で使うことになるわね」


「ここはすぐ隣にかなり大きな浴室もありますから、好き放題できますよ?」


「……」


 リイズとディケの言葉に武藤は言葉を紡ぐことができなかった。

 

「わ、私達もついにここで初めてを迎えるのですね」


「少し怖いけど綺羅里ちゃんと真凛が一緒なら………」


「おいい!? 君達何さらっと混じろうとしてるの!?」


 普通に加わろうと会話をしている皇と松井に武藤は思わず突っ込んだ。

 

「こんなにいるのですから、1人や2人や3人増えたところでいいではありませんか!!」


「1人と3人じゃ3倍違うだろうが!! っていうか1人でも駄目だろ!!」


「ちっ手ごわいですわね」


「ここまで頑なに拒まれるとショックだね」


「やっぱり貧乳は駄目なのか……」


 なし崩しに手を出させようとした皇グループだが、頑なに武藤に拒まれた。

 

「武君」


「何?、香苗」


「今この3人だけを向こうに帰すとなると、イチャイチャカップル2組の中にこの3人を帰すことになる。さすがに居たたまれないんじゃないかな?」


「確かにそれはあるかもしれないな。手は出さないけど、こっちに泊まれるようにしてもらおう」


 まるで新婚のように熱々な2組の出来立てカップルが盛っているところに、恋人もいない者を帰すのはさすがに可愛そうだと武藤も思ったのだ。そこで香苗がにやりとした笑みを皇達に視線を送り、同じように皇達3人も武藤に気づかれないようににやりとほほ笑んで頷いたのを武藤は気が付かなかった。

 

 

 

 その日の夜。恋人5人と皇グループ3人。そしてリイズと侍従姉妹2人の計11人が昼に訪れた高級の巨大ベッドの部屋、通称やり部屋に集まっていた。

 

「やっぱりここはこの城の主であるリイズちゃんからよね」


「え?」


「異議はないねえ」


 百合の言葉に文句の一つもあろうはずがなく、気が付けばリイズは武藤に押し倒されていた。ちなみにこの部屋は貴重な魔道具による明かりがある為、他の部屋に比べて非常に明るかったりする。

 

「す、すごいですわ。これが男女の営み……」


「み、みんなこんなことを……」


「気持ち良さそう」


 行為をはっきりと見るのは初めての皇達3人は非常に興奮していた。

 

 

 深夜を回ったころ、皇達3人以外は既に1周している。2周目に入ろうかという所で香苗が武藤に声をかける。

 

「最後までしなくていいから、皇達も気持ちよくさせてあげたらどうかねえ」


「恋人でもない相手にそんなことはしないよ」


「こんなになってるのに?」


「!?」


 そういって香苗は加賀美の後ろから抱き着き、両足を広げて見せた。そこはしっとりどころではなく大洪水となっていた。

 

「これだけやって見せつけるだけで生殺しはひどくないかい? なに、最後までしなければ問題ないさ。寧ろ自慰の手伝いをしていると思えば」


 そういって香苗は恥ずかしがる加賀美の大事な場所を武藤へと見せつける。加賀美は顔を真っ赤にしつつ、両手で顔を隠しながらもそこを武藤に隠すことはしなかった。

 

「……」


 既に8人とやってるにも関わらず全く賢者モードにならない性の獣、武藤は未だに興奮冷めやらない状態である。その状態でクラスの美少女の淫靡な恰好を見せつけられているのだ。興奮しない訳がない。 


「あっ」


 気が付けば武藤は加賀美にキスしていた。そしてメンバーの中では決して大きくない胸を揉みしだく。

 

「あっ駄目っああっ!!」


 初めて男に触られて加賀美も驚くが、それ以上に襲い来る快感の波に艶のある声が漏れ出る。

 

「真凛だけずるいですわ!!」


 そうして皇と松井も加わってくる。気が付けば皇達3人は最後までされないまでも、武藤の指と舌で体中を蹂躙されることとなった。

 

 気が付けば朝になり、巨大なベッドの上はまさに死屍累々といった感じで美少女達が色々な液体に塗れて倒れこんでいた。結局皇達以外全員が2周する程武藤に襲われている。

 



「皆様にお聞きしたいのですが、普通の男性は皆ああなのですか?」


 全員の起床後、隣接している大浴場に女性陣だけ全員入っていると、皇がポツリと呟いた。

 

「ああとは?」


「その……とどまることなくずっとその……」


「私が調べた限りでは、武君だけだねえ」


「その……世の男性が全てああだと、どう考えても妻が1人では体が持たないと思うのですが」


「確かに」


「武はアレを毎晩続けられるからね」


「「「毎晩!?」」」


 百合のその言葉に皇達3人は絶句した。確かに5人を相手にしていたが、まさかそれ以上の人数を相手に毎日続けられるとは想像していなかったのだ。

 

「それでお姉さま達はどうするの? ここに住む?」


「考えたんだけど、夜だけこっちにこようかなって」


「ああ、あのカップル達の邪魔をしたくないからねえ」


「わかったわ。じゃあ夜だけ後宮に泊まるってことで。ディケ」


「畏まりました」


 そうして武藤の知らない所で陰キャグループ以外のメンバーは日中は拠点で過ごし、寝る時だけは後宮に来るということになった。その結果、武藤は後宮で使っていない部屋に転移陣を刻みなおすこととなるのであった。


気が付けば武藤は恋人達と一緒に拠点と後宮を往復する毎日が始まるのだった。

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