第17話 マッサージ

「武藤くん。その……私にもそのマッサージをしてもらえないだろうか?」


「香苗?」


「香苗先輩!?」


 香苗の突然の提案に親友である二人が驚く。


「実は私は冷え性でね。特にこの季節、クーラーのある部屋だと寒くて仕方がないんだ」


「……それとマッサージとなんの関係が?」


「君のマッサージなら血行を促進してくれそうじゃないか。だからお願いだ」

 

 武藤としては別に問題ないのだが、一応お伺いを立てる為、百合の顔を見る。


「別にいいんじゃないかな?」


「あっじゃあ私もお願いします!!」


 そういって聖子も手をあげる。


 百合の許可が下りた以上仕方がない。百合が目を覚ました松井をシャワーに連れて行っている間にマッサージの準備をはじめる。


「……何故脱いでいるのかな」


「おや? マッサージをするなら脱ぐのが普通ではないかな?」


 香苗は既に服を脱ぎ、ベッドに横たわっている。そこまではいい。だが――。


「何故下着・・まで脱いでいるのかな?」


  そう。香苗は全裸であった。まごうことなきすっぽんぽん。フルフロンタルである。


「邪魔なものがない方がやりやすいだろう? さあ、初めてくれたまえ!!」


 香苗は何故か急に偉そうな口調でいいだした。着やせするタイプなのか、脱いだ香苗は百合よりも成熟な体形をしていた。ただ胸は大きいが腰は細身でお尻もやや大きめで、まさに出るとこは出ている理想体型である。


 うつぶせに寝るとその豊満な胸が押しつぶされて、さしもの百合一筋である武藤でさえ、興奮を覚えてしまうほどであった。こう見ても肉体的にはまだ中学生男子なのである。


「んっんっこれは……確かに声が出てしまうね」


 武藤は先ほどのように性感帯ではなく、明確に血行の悪い部分を治していく。だがそれも存外気持ちいらしく、香苗は艶やかな声が漏れていた。


「あっあっあっなんだっなんっあああっ!!」


 傍から見ればどうみてもえっちなことをしている光景だが、ただのマッサージである。普通と違うのは魔法を併用している為、通常何日もかけて改善されていく肉体が、リアルタイムに改善されていくのである。これはリアルタイムで肉体が改造されているのと同じであり、その急激な変化と痛み止めに使用している魔法的な快楽が合わさり、信じられない快楽をもたらすのだ。


 太ももを揉まれているだけなのに、全身を痙攣させてひと際大きな声を上げ香苗は絶頂してしまった。しかしそれに気づかず武藤はマッサージを続ける。ちなみにあそこは丸見えである。


「だめっちょっだめっああああ!!」


 イっても尚続けられる快楽堕ちマッサージに逆らうこともできず、香苗は何度も繰り返す絶頂に、ついには気絶してしまった。ちなみに既に冷え性は治っている。


「はあ、はあ、香苗……」


 武藤が横を見ればいつの間にか帰ってきていた愛しの恋人が大興奮していた。NTR。なんと業の深い性癖だろうか。


「つ、次は私の番ですよね」


 さすがに気絶した香苗をシャワーには連れていけない為、気が付くまでラグの上に今までベッドに敷いていたタオルを敷いて寝かせた。ちなみに色々な液体でぐっしょりしているが、本人のものなので別に問題ないだろうとの判断だ。


 ベッドのシーツの上に新しくバスタオルを敷くと既に下着姿になった聖子がベッドに寝ころぶ。聖子は細身である百合よりもさらに細身で、小学生よりは成長しているが、まだ未成熟な蕾といった感じの完全なロリッ子体形である。体の上に乗ったらつぶれてしまいそうなので、体重をかけないように慎重に武藤はマッサージを施していく。


「んっんっなんか、くすぐったいけど……不思議な感じ」


 まだ性感帯等開発されていない聖子では、香苗のように感じるようなこともなく、ただ純粋に気持ちいいと感じていた。だがこれは普通のマッサージではない。その恐ろしさを聖子は思い知ることになる。


「あっ」


 不意に今までとは違う声が漏れた。


「あっあっあっ」


 そこからは少女らしい声が段々を艶やかな声になりはじめ――。


「あっああっああああ!!」


 ついには絶叫へと至った。ピンとはった足はぴくぴくと痙攣しており、聖子の初めての性的な絶頂を表していた。


 はあはあと息を乱す未成熟な蕾はいつの間にか女の顔をしていた。


 「せ、聖子……」


 そんな後輩の姿を見ても愛しい恋人は残念なままだった。


「つ、次は私よね」


 そういって百合は何のためらいもなく全裸になった。


「百合? さすがに恋人のそんな恰好を見たら俺も我慢できないんだけど?」


「その……我慢、しなくていいよ?」


 可愛く首を傾げる恋人に武藤は一瞬で暴走し、百合を押し倒した。何人も見ているのにも関わらず武藤は容赦なく百合を襲い、さすがにこのままでは帰れなくなると判断した香苗が止めなければ、再び朝までコースになっているところだった。






「すごかったね」


「うん。あれが本物のセックスってやつなのね」


 夕方。身支度を終えた百合達は、自宅への道を先ほどの光景を思い出しながら歩いている。まだ明るいとはいえ中学生の女子である。もちろん武藤は送る為についてきている。


「本物を見れたのはすごく参考になったわ」


「あ、あんなに激しいとは思わなかったけど」


 その言葉に武藤を除く全員が顔を赤らめた。


「その……山本さんは大丈夫? 避妊してなかったけど……」


「大丈夫よ。ピル飲んでるから」


 百合の言葉に松井は安心する。


「そっか。良かった。ちょっと心配してたんだ。武藤くんも山本さんも今日はありがとう」


「私は何もやってないよ。全部武でしょ」


「でも頼んでくれたのは山本さんだから」


「そうそう。私だったら彼氏にそんなこと頼むの嫌だし。マジ感謝だよ」


 二人はそういって百合の手をとり感謝の言葉を告げる。


「松井さん、相良さん」


「由美ってよんでよ。お互いあんな姿見せあった仲でしょ」


「あっ由美ずるい。私のことも映見ってよんで」


「わかった。由美、映見ね。私のことも百合ってよんでね」


「私のことも香苗と呼んでくれたまえ!!」


「香苗なんでそんな口調なの?」


「私は元々こんな口調なんだよ。普段は一般的な女子中学生を演じているのさ。ただあれほどの痴態を見せてしまったのなら、もう恥ずかしいことなどないからバレてもいいと思ってね」


「そうなんだ。たまに変な口調になるとは思ってたけど、そっちが素なんだね」


「香苗も相談に乗ってくれてありがとうね」


 そういって相良の視線が武藤へと移る。


「あの……武藤くんありがとう。あんな風になったのは初めてよ。あれがイクってことなのね。これで少しは私も自信がついたかも……」


 そういって相良の嬉しそうな顔に一筋の涙がこぼれた。不安が払しょくされた為の安堵の涙だ。


「どういたしまして。ただしっかり開発しないと、まだ最初はくすぐったいままかもしれないんで、そこは彼氏に頑張ってもらって」


「わかった。色々とありがとう。また困ったら相談していい?」


「いいけど、ちゃんと百合を通してね」


「わかってるわ」


 そこは武藤の引けない部分なのである。武藤としてはあくまで百合の友達だから手を貸しただけなのだ。


「私もよ、武藤くん。なんでマッサージで治るのかは未だに疑問が残るし、不安も残ってるけど、でも大丈夫っていってくれたから、がんばってみるね」


「少なくとも百合と同じ感じにはなってるはずだから、破瓜の痛みは同じくらいのはず。百合はその痛みに耐えたってことだから、きっと松井さんも耐えれるはずだ。がんばって」


「わかったわ。あんなに乱れた山本さんを見たら、逆の意味で不安になるけど、がんばってみる」


 そういって二人は笑顔で手を振りながら去っていった。どうにも大変な問題だったが、最終的には解決したようで武藤は胸をなでおろした。


「武藤くん。実は私はそれほど彼氏という存在に興味を持っていない」


「え?」

 

 相談者二人と別れた後、唐突に香苗が語りだした。


「ただ、男性の体には非常に興味がある」


「なんかやばいこといいだしたぞこの子」


「結婚というものにも興味がない。だが男の体と子供には興味がある。つまりっ!! ……百合と君が結婚して、私がその愛人に収まるのが一番だとは思わないか?」


「思わねえよっ!!」


「それはいいかも……」


「なんで!?」


 香苗の暴走に何故か百合が賛同して、武藤は思わず混乱して叫んだ。


「そうすれば、常に香苗と武のセックスするところが見られるし……香苗なら安心だし……」


「お前は何をいっているのだ……」


 恋人の思わぬ性癖暴走にさしもの武藤も素で突っ込んでしまった。


「私だって彼氏に興味がないとはいえ、男は選びたい。ただの肉体だけの関係とはいえ、やはり体を許すのなら信頼した相手がいい。その点、君は百合一筋で誠実だし、なによりも……私の好みだ!!」


「あ、ありがとうといっていいのかなそれは……」


「よく考えてみたまえ。私は好みの男性である君と肉体関係が持てる。百合は親友である私と君との関係で、身近で安全な寝取られ相手がいることで、常日頃から興奮することができる。そして君は美少女二人を好きにできる。まさにWIn-WInな関係だとは思わないか?」


「俺は別に百合だけでいいんだけど……」


 武藤は心底そう思っている。先ほどのはあくまで百合の友人の治療であり、邪な考えは全くなかったのだ。あれば二人とも最後までやっていただろう。


「えっとね武。香苗が居れば私は武のどっぷり沼に落ちて、戻れなくなるなんてことはないと思うの。それにその……寝取られとかじゃなくて……私一人だと体が持たないというか……」


「!?」


「そういえば君は絶倫だったね。私は経験がないが、すべて受けとめて見せようじゃないか!!」


 百合を愛するあまり求めすぎてしまうことを指摘され武藤は硬直する。確かに求めすぎたかもしれない。初体験で朝まではさすがに自身もやりすぎたと反省している。だがそれで百合の親友にまで手を出すのは、さすがにどうかと武藤の良心という名のゴーストが囁いている。


「だが、ただ愛人になったのでは百合の性癖を満たすのは難しいかもしれない」


「え?」


「さっき聞いた寝取られという性癖は、恐らくだが自身も認めた相手と、ただやっただけでは真に満たされないのではないのか?」


「!?」


「私は彼氏という存在には興味ないが、武藤くんという存在には非常に興味がある。つまり、百合を排除するようなことはしないが、私が常に武藤くんの正妻ポジションを狙うというのはどうだろう?」


「なっ!?」


「私が武藤くんを本気で狙えば、それにより常に武藤くんを奪われるのでは? という恐怖心が芽生えて百合はより一層興奮するのでは?」


「!? 香苗……さすがね」


「さすがじゃねえよ!!」


 さすがの武藤も二人の暴走に突っ込んだ。


「さて、それでは私はここで。百合、今度武藤くんの家に泊まるときは教えてくれ。私も一緒に泊まるから」


「香苗!? う、噂のさ、さんぴ―というやつね。わかったわ」


「わかったわじゃないよ。何言ってんの百合さん? どこでそんな噂流れてんの?」


 武藤の恋人は相も変わらず暴走中だった。


「えっと、私もその……一緒にお泊りして見学させていただきたいです」


「あるえ!? 中尾さん!?」


 唯一まともだと思っていた後輩は爛れたプレイを見学したいと言い出していた。


「聖子。見るだけといっても朝までやるんだぞ? お前にそれを見届ける根性があるのか?」


「!? が、がんばって全てを見届けてみせます!! あわよくば混ざります!!」


「混ざんな!!」


 さらっととんでもない本音が漏れていた。


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