閑話 たのしいこと

「あんなことをしちゃうんだ」


「なんでそんなことをしちゃうんだ」


「わからない」


「わからない」


 そんな話を繰り返し、彼らは造って壊してを繰り返す。もっと楽しくなるように。もっと面白くなるように。もっと考えたくなるように。


 壊して、造って、壊して、造って。


「我々は引っ張られている、不完全なものたちに」


 そんな気付きをある誰かが言った。


「そんなことはないよ。」


「引っ張られているからそう言う顔をするんだ」


 少し苛つきが顔に出る。感情なんて言う不完全でいらないものが芽生えてくる。ないからこその完全なのに。


「本当だ。でも楽しいよ。これ」


 感情が沸き上がることに喜びを感じる。最初も別に感情があったから造り始めた気もしていた。わからない...わからないことが増えていく。


「楽しいねぇ」


「楽しいよ」


 そんなことを言い出して一番厳格なものが言う。一番偉いあるものが。


「次で最後にしよう。最後に造って見届けよう。もう手は出さないと誓おう。」


「それはそれで面白い」


「最後にかけよう。」


 そんな会話をして、そのものらは最後の創造を行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る