第11話 教師の反応
クロウが受験している一方でアメノも実は学園で受験生の様子を見ていた。周りにはこの学園の教師陣が座っており、受験の様子を見ている。別の場所を移す魔道具を使用することで受験生の様子を見ながら合格者を選ぶのだ。
もちろんこの場だけでなく、試験官の感想も後で聞き、参考にする。
「まさか王立戦闘部隊第三部隊隊長であるあなたが見学なされるとは。」
王立戦闘部隊というのは全部で10の部隊がある。実はアメノはその部隊の第三部隊の隊長という地位についていた。その地位はこの国の中でも相当な強者でないとつけない。
「私の弟子が参加しているので様子を見たく。」
「奇遇だなぁ、アメノ。俺も娘が出るからよぉ。退屈そうだが見に来てやったぜ。」
そうして話しかけてきたのは第四部隊の隊長であるグレンだった。髪が燃え上がっているかのように見える赤い短髪に一部黒味がかっている。顔には稲妻のようなあざが右目の上から首にかけてある。見た目通り炎の魔法が得意な熱い男だ。
「で、アメノの弟子ってのは?」
「クロウです。」
この場にいる者の手元には受験者の名前と顔が記載されている紙が配布されている。そしてちょうどクロウが体術試験を受けるようだった。
「相手のカセ君、彼は受験生の中では一番の年長者、まだ11歳の彼では勝てないのでは」
そんなことを誰かが言う。周りも同じような反応だ。
「年齢が全てではありません。クロウはこの中じゃ一番強いですよ。」
少し怒りを露わにしながら言う。暗にクロウが負けると言われているようで嫌な気分がしたからだ。表に出さないだけで相変わらず弟子想いのアメノに周りは意外だなという顔をする。
普段接している様子から想像できない反応だったからだ。
「よっぽど弟子が可愛いらしいな。」
「事実です。現に体長2mほどの成体の鱗猿を討伐しています。」
その言葉に一同驚愕する。魔物にはある程度強さのランクというものがある。SS、S、A、B、C、D、E、Fという順に強さが決まっている。鱗猿の幼体は硬質化が完全ではなく、体長も1mほどなのでランクはFランク。ただ成体でかつ2mとなるとそのランクは恐らくCとなる。
11歳の子供が倒せるような魔物ではない。ちなみにトーサスネークはDランクの魔物である。魔法を使用すれば苦戦することは無いが使用できなければ良い武器と高い身体能力が無ければ勝てない。
周りはざわついている。信じられない事実をそれも嘘をつくような人物ではない者に聞かされて。
(もっとも、本人は覚えてないらしいのですがね)
そんなことを思いながら試験の様子を見守る。試験が終わった時、アメノの言葉を疑うものはもういなかった。
クロウは優秀な生徒、つまり特待生として家庭への支援も受けながら学園に通うことに決まったのだった。
余談
クロウの成績/満点
魔術:140/150
体術:45/50
筆記:44/100
合格者平均/満点
魔術:60/150
体術:20/50
筆記:64/100
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