第4話

 待ち合わせよりも圧倒的に早く来ていたヒカリ。


 待ち合わせの十分前に来た俺。


 そして、待ち合わせの十五分後に来た先輩。


 この時点で、大体誰がどういう性格なのかわかるだろう。


「愛さんが来る時間を想定していたから、私達の待ち合わせは安藤くんとの待ち合わせの三十分前にしたんだ」


 先輩が遅れること前提で集合時間を決めないで欲しい。


 そしてその先輩と同じ電車だったのか、また改札から一人出てきた。


 ヒカリとの待ち合わせ時間の十五分前、そんな生真面目な時間に来たのは安藤雅彦、その人だった。


 少し幼さが残っている顔立ちに少し長めの短髪。白のTシャツの上に薄い水色のシャツという、ヒカリと被った色合いなあたり、相性がいいのか、それとも水族館という印象に引っ張られたのだろうか。


「えーっと、あの……」


 このリアクション、ヒカリは雅彦へ事前に伝えていなかったのか……。


 そりゃ、勇気出してデートに誘って待ち合わせ場所に来たら、何故かおまけが二人も付いてたら戸惑うわな……。


「えっと……。安藤くんごめんね……。私こうやって誰かとお出かけするのは初めてで……。それでどうしても勇気が出なかったから、部活でお世話になってる愛さんとハルくんに付いててきてもらいたくて……」


 ヒカリが説明をしているが、雅彦はまだ固まっている。


「呼ばれたから仕方なく付いてきたが、別に俺はお前達の邪魔をするつもりはないし、お前達が歩いていく後ろについていくくらいのことしかしないから安心しろ」


 流石に雅彦が気の毒だったから、少しだけフォローは入れておいた。


 俺だって初めてのデートに誰かが付いてきたら、気持ちはわかるが困惑するだろうしな。


「いやー、アタシもヒカリちゃんから連絡貰った時はびっくりしたけどさぁ。彼氏が出来た上にデートに誘われて、一緒に付いてきてってさぁ」


 最初の印象からして無神経な人かと思ったけど、流石に感性まではおかしくないようだ。


「お邪魔じゃないかなぁーなんて思ったけど、でも皆で行った方が楽しいしかなぁーって思ってねぇ」


 前言撤回だ。やっぱり変な人だこの人。

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