第2話

 翌日の放課後、部活が終わって帰ろうとしようとしたら、ヒカリがバレー部の部室の近くをウロウロとしていた。


「なにやってるんだよ、お前」


「えーっと、あの……」


「雅彦ならまだ中にいるぞ、呼んでくるか?」


「えっと、あ、いや、待ってたのはハルくんの方なの! 安藤くんとはまだ緊張して一緒に帰るとかそういうのは……」


「はぁ……。お前、今度デート行くんだろ、一緒に帰るくらい出来なくてどうするんだよ」


「そ、そのお出かけのことなんだけど、私のいる美術部の三年生の部長さんが一緒に行ってくれるみたいだから、その……」


 昨日の電話で失言をしてしまったことを後悔している。


「ほら、昨日ハルくん、三人は嫌だって言ってたでしょ。だからこれで四人になったから良いかなって……」


 申し訳無さそうな顔こそしているが、こいつはなんだかんだで一度決めたら引かない人間だ。


 もう腹をくくるしかない。


「わかったよ、まったく……」


「ありがとう! ハルくん!」


「くそ、覚えてろよ。おい! 雅彦!!」


「あ、はい!!」


 部室の奥から真面目そうな声が聞こえてくる。


「ヒカリが一緒に帰りたいって言ってるぞ!! 早く来い!!」


「ちょ、ちょっと! ハルくん!?」


 せめてもの抵抗だ、くらいやがれ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る