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あるところに王と女王がいらっしゃいました。王はダイヤモンドのDiamante、女王はアメシストのGlicineと言いました。
王は目が元々ない先天性の試練を背負っておりましたが、王女が目となり、常に手を取り困難に立ち向かいました。
そんな二人は、ルビーとサファイヤの双子を授かりました。可愛いかわいい赤ん坊は城中で喜ばれ、可愛がられました。
ある日の内乱で、王と王女は亡くなりました。双子の弟はその時行方不明になり、そのうち亡くなった事になりました。たった一人、ルビーの王子だけが生き残りました。
王子は泣きました。ただただずっと一人で泣きました。涙が枯れても嗚咽が響きました。食事も取れず眠れもせず、誰も信じれなくなりました。
彼のもとに新しい召使いがやってきました。白髪の、顔がそっくりな、青い瞳の同い年の男でした。
王子はもう笑わなくなっていました。時には男に当たり散らし、部屋から追い出すこともしました。それでも男は王子に寄り添い、心の傷を少しずつ介抱してくれました。そのうち彼は唯一、後ろをついてきてもいいと男を心から許したのでした。
また内乱が起きました。王子は王になり辿々しくも仕事をこなしておりましたが、それでも内乱までは治められませんでした。城は燃え上がり、家臣が何人も真っ黒になりました。
男は王をある部屋に引き込み、自分の服を脱ぎ始めました。
「こ こんな時に何を……!」
「私と服を交換しましょう 大丈夫です サイズは一緒ですから」
「なぜそんなことをする必要があるんだ」
王は問いただしました、熱風に汗が乾いてゆきます。
「私が囮になりますから 遠くに見える森まで逃げてください」
「だめだ一緒に」
そこまで言った時、男は王の口に「しー」と指を立てました。
「あなたが生きていれば なんとかなりますから わたしの言うとおりになさってくださいな」
男は優しく笑いました。その顔は弟にそっくりでした……。
「私は……僕は あなたの弟です兄様」
後ろにひとつ結びしていた男は、牢屋の前で座り込んだ王に優しく笑いかけながら結を解いた。白髪の束の中から証の黒髪が垂れ下がった。
「……知ってたと言うか だろうなって」
「え 気がついていたんですか!?」
「とはいえ別れ際に思い立っただけだから今まで確証はなかったけど」
「なんだぁ……」
男は背をへろへろと丸めた。
「どう伝えようかたくさん考えていたのに……」
「それで その剣は?」
膝の上に乗せていたそれを指さした。
「これは 昔倉庫の奥底で発見しました」
それは父親の剣と色違いの薔薇の装飾がされており、刃は折れそうなほど細長い。一人一本ずつ、瞳と同じ色で揃っている。
「そうか ずっと前にもう作ってたんだな」
「後ろ下がっていてくださいな」
男が剣を一本渡すと、すっと立ち上がり引き抜いた。一振りすると、牢屋の柵が崩れた。
「……わぁ……すごい切れ味……」
「ちゃんと手入れしていたかいがありました……」
瓦礫の中を宝石の欠片が砕け散る。
左胸を貫かれた男は吐血し、剣を落とした。
「ど どこから……」
「実は王族しか知らない隠し通路がたくさんあるんですよ〜」
二人は真っ黒な服に宝石の翼を広げて、最も盛り上がった瓦礫の上に背中合わせで立っていた。
「Night王国 国王 Rubbino klinod」
「同じく Zaffiro Klinodです」
「「国を取り戻しに来た!!」」
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