Day30『握手』

 退屈で平穏な日々から抜け出したくて、置いてきた〈朝焼け〉に縋った。だから一人で迎える最期に後悔はないけれど、見える景色は〈冬の海〉が良かったな。

 分かってる。本能に身を委ね、〈彼〉と手を繋いだまま、寂れた扉を潜ればよかっただけのこと。捨てた〈日常〉よりも、一夜の答えが悔いなんて——

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