Day29『名残』

 何時だったか〈神〉の声を聴いた。鎖だ冬だ夏だと言って与えられた道。俺は〈夏〉と答えて当時の生活を守ったはずだったのに。

 毎夜見るのは〈一人で迎えた冷えた朝焼け〉と〈冬の海で泣く女〉だった。

 何と愚かな幸福。捨てたはずの〈熱〉が再び〈鎖〉となって、去る現し世と俺を縛ることになろうとは。

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