かくして異世界に適応した

「ヒサミー!」

「はい!アリア隊長何でしょうか!!」

「剣の訓練だ!表出ろ!」

「ばっちこいです!」


 弥々はあれから気に入られたのか、しょっちゅうアリアに剣の訓練をつけてもらっていた。アリアの得物は大剣だが、魔物を倒し強くなるまでは剣を使っていたのである程度までは教えてあげられるのだ。


「返事は了解しました、だぁ!」

「ぶぼらッ!?」


 ……気に入られているというより、目をつけられてると弥々は思っている。


 また他方では、玲香がミーティアに魔法を教えてもらっていた。


「レイカちゃん。魔術の勉強しますよ」

「はい。よろしくお願いします」

「ふふ。レイカちゃんは飲み込みが早いから教え甲斐があるわぁ」


 持ち前の頭脳を発揮して、一度言われたことは完璧に覚えそれを実行するため魔法使いのお姉様方に結構気にいられていた。一部からは生意気だとも言われているが。



「槍はこう使うのよ」

「こう、ですか?」

「違う違う。先輩じゃなくて私が教えて、あ、げ、る。ここなら穂先は下げるんだよー」


 リディアはというと、素直な性格と裏表のない対応で絶大な人気を獲得。もはやアイドルである。


「は?ぶりっ子は下がってなさい」

「は?玲香ちゃんのパチモンは黙ってなよ」

「え、えっと……ヒサミさん助けてください!」


 ただ、本人を置き去りにしてバトルが勃発することがあるのが玉に瑕か。ある意味トラブルメーカーである。







 突然現れた魔法陣によって異世界に転移してからおよそ三ヶ月。


 二ヶ月で言語及び、文明の遅れたこの世界での半サバイバル技術を習得。


 その後、盗賊団に入ることでこの世界における“命の軽さ”と“死の意味”を知り、一人の少女を保護した。


 最後に都市という文明に加わり、軍人という生活基盤を手に入れた。


 かくして二人は異世界に適応した。


 そしてここから始まるは三人の物語である。


 fin


―――――――――――――――――――――――――――――――――

……ではないです。幕間挟んで第二章突入します。

まだ弥々が抱える問題解決してませんし、実は玲香も問題抱えていますし、なんならリディアだってまだ終わってませんから。

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