第2話 朝食

「あーお腹いっぱい。人間界の食べ物ってこんなに美味しいのね?有難う奏♪」


「お口に合って良かったです。」


ロボットがお皿を片付けている。


「奏と葵は姉妹なの?顔がそっくり!」


「俺達は男だ。」

コーヒーを片手に葵が言う。それに続いて奏も。

「僕達双子なんだ!」


「えー、双子?男?本当に?だって葵なんて凄く髪長くて可愛いのに」


「髪はね、ずっと引きこもってたから。気づいたら、ね。」


「引きこもってた?」


「色々あってね。」


「ふーん。」


葵の表情を察してラウルは口を閉じた。


「そろそろ時間だね、葵、行こうか?ラウル、さんはどうするの?」


「あ、私も出るわ、お世話になったはね!奏、葵、あと、あんた。」


「執事の春凪です。葵様奏様、お車の準備が出来ましたのでどうぞ!」


「有難う!奏、行こっか?奏?....奏!!!」

「奏様!!!」

「どうしたの奏??」


奏が頭を抱えてうずくまっていた。

息が荒い。何かに怯えているようだ。


「奏?」

「ごめん、やっぱり行けない。」

「奏様。やはり行けそうにありませんか?」

奏がうつむき頷く。


葵と春凪が顔を見合わせた。


「奏、大丈夫だよ。奏のタイミングで行けばいい。今日は家にいよ?無理しなくていいんだ。奏が嫌ならそれでいい。だから落ち着いて。」


葵は奏の背中を優しく摩った。


「さぁさぁ奏様、お部屋に戻りましょう!今日も私と2人きりで楽しいお勉強をしましょう!」


「奏に変なことするなよ春凪。」


「しませんよ!あはははは。では、葵様、車には庭野(にわの)がおります。気をつけて行ってらっしゃいませ。さぁ行きましょう奏様。」


庭野かぁ、あの人ちょっと苦手なんだよなぁ。


「うん、行ってくるよ。奏を頼んだよ。ラウルさん外まで一緒に行きますよ!」


「あ、うん。」


二人は屋敷を後にした。

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