あなたが落としたのは悪魔ですか?
@kabocya_syousetu
第1話 出会い
町に一際目立つ大豪邸である赤崎家。そこに主人公の少年はいた。
「眠れませんか?夜風は身体に触りますよ。」
燕尾服の男がランプを片手に部屋に入って来た。
葵は窓を閉め、後ろに振り返った。
「春凪(はるなぎ)。明日は始業式だろ?奏(かなで)の事が心配で。」
「奏様はぐっすり眠られておりました。明日に備えての準備も万全でしたし大丈夫です。さぁ、葵様(あおいさま)もお休みになって下さい。」
春凪が葵をベッドまでエスコートする。
「さぁさぁ。」
「有難う、はるな.....ぎって、何で春凪もベッドに潜るんだよ!」
「私、温めて差し上げようと。さぁ、さぁさぁ。」
「いい、けっこうだ!」
「遠慮なさらず!さぁ、どうぞ、心配なさらず。私の身体はもう温まって...」
「出て行けー!!!」
「おぅふ!」
葵が春凪をベッドから蹴り飛ばした。
「あいたたたたた。あー、前は春凪にぃちゃんって、にいちゃんって抱きついて寝てくれてたのに〜。」
腰を摩りながらチラリと葵に目を向ける。
葵はその目を睨み返した。
「ひぃ。わかりました、わかりましたよ。では葵様おやすみなさいませ。明日また起こしに参ります。」
春凪は立ち上がりランプを拾ってそのまま廊下へと消えて行った。
葵はため息をつきベッドに入ると
明日の心配事も忘れ直ぐに眠りに着いた。
朝の光が差し込んで来た。春凪の声がする。
なんだか体が重い。誰かに抱きつかれているようだ。
ん...また春凪のやつ
「葵様!!誰ですかそのふ、ふ、ふしだらな格好の女は!!!」
「ふしだら?何を....ん?うわぁ!!」
葵は思わずベッドから落ちた。
大きな音にスヤスヤ眠っていた少女が目を覚ました。少女は起き上がると目をこすり欠伸している。
「な、誰ですか?」
「早く葵様のベッドから降りなさい!!あー、人肌が恋しいなら私が一緒に寝て差し上げようと言ったではありませんか!なのに、なのに
、なぜ、よりによって女なのですか??」
春凪が吠え散らかしているが葵は全く聞いておらず、後ろを見て窓が空いている事に気づいた。
どうやら昨日。鍵をかけ忘れたのだろう。
と言ってもここは3階....
「聞いているのですか、そこの女!!」
伸びをし終わった少女が春凪を見て口を開いた。
「何をそんなに怒っているのかわからないけど、大丈夫よ。私、人ではないから。」
「人じゃない?」
春凪がキョトンとした。
「私、悪魔だもの。」
「あくあく悪魔ですと?」
「ええ、そうよ。」
少女が身なりを整えてベッドを降りた。
春凪は慌てて葵の前に立ち塞がる。
「あ、悪魔が葵様に何の用である!」
「用はないわ。ただ、落ちて来た近くに素敵な屋敷を見つけて鍵が開いていたから入らせてもらっただけよ。その子に用なんてないわ。」
「はぁ。良かった。」
春凪が崩れ落ちるように座り込んだ。
「って、そんな話し信じれるか!さては貴様葵様のストーカーだな?」
「にぃ様、春凪?何騒いでるの、大丈夫??」
廊下から葵に似た髪の長い綺麗な人が近づいて来た。
「奏。」
「奏様。起こしに行くのが遅れてしまい申し訳ございません。」
奏が少女に気づく。
「この方はどなたですか?」
「私の名前はラウル=メフィスト。悪魔族メフィスト家の次女。ちょっとしくじっちゃって、人間界に落ちて来たのだけど。大きな屋敷を見つけて一休みさせてもらってたの!」
「なるほど、そうだったのですね!大変でしたね。ゆっくりされて行って下さい。」
「待て待て弟よ。何故納得する?」
「へぇ?」
何が?と言う表情に葵は言葉を失った。
「あー、そんなことより葵様奏様、学校ですよ学校!お二人ともお着替えなさって急いで朝食を。」
ぐーーーーーー。
お腹が鳴る音がした。
ラウルが顔を赤くしてお腹を抑えている。
「ラウルさんも朝食一緒にいかがですか?」
「奏様!」
「異国に落ちて来てお困りの方を放ってはおけません。さぁ春凪、案内を。」
「は、はぁ。こちらへどうぞ。」
ラウルは歩き始めると奏の前で「有難う」と笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます