第155話 欲望と純愛。

今は包帯で見えないけど、きっとその下には首を絞められた跡が残ってるはず。

包帯の上からそっと首に触れると、細い首は少しだけ汗ばんでた。


「あの……えーと……。大和さん、この状況はちょっと……なんと言うか……」


「俺が今……何考えてるか分かる?」


指先で包帯をなぞりながら聞くと、生唾を飲み込んだらしい愛莉ちゃんの喉がゴクリと動く。


雰囲気に気圧されてるのか、それとも雰囲気に飲まれてるのか、相変わらず逃げようとしない。


「……傷の……心配、とかですか?」


「うん、………それと………」


そこまで言うと、俺は愛莉ちゃんに体重をかけて押し倒し、その上に馬乗りになってやった。


「愛莉ちゃんの事、抱きたいな」


……ヤりたいとか、ヤらせて?とか、軽い言い方じゃなくて、丁寧に「抱きたい」なんて言ったの初めてだよ。


「………ふぁッ!?」


驚きすぎたのか、緊張しすぎたのか、真っ赤な顔で変な声をあげる愛莉ちゃんに、つい吹き出しそうになる。


「じょ……冗談ですよね?」


「さぁ?どっちだと思う?」


アワアワしてる愛莉ちゃんも可愛いな。

それに……。


(身体に力が入ってない、……逃げようとはしてない)


さて…これはどう捉えるべきかなぁ。

俺を信用してるから?

冗談だと思ってるから?


それとも……抱かれても良いと思ってるから?


(まぁ、正解がどれにせよ、逃げないなら好都合なんだけどね)


押し倒したまま、着ているシャツの中に手を入れる。


「……!!やま……」


さすがに逃げようと身体を捩るけど、下半身は俺が両膝で固定してるし、愛莉ちゃんは上半身を横にするくらいしか出来ない。


(でも本気で逃げようとしてない、ような……?)


愛莉ちゃんの本音が読めない。

このまま強引に抱いてしまっていいのか、それとも引き返すべきなのか。


(……ここは愛莉ちゃんに委ねてみるか)


少し意地悪かな?とも思うけど、俺は片腕で自分の身体を支えながら、服の中に入れた手を背中側に回して、迷う事なくブラのホックを外す。

小気味良い感覚と同時に、外れたブラが浮いた。


「大和さん!これはさすがに冗談じゃすまないですよ!!」


「そうだね、……ホントに嫌なら逃げて?乱暴な事はしたくないから。愛莉ちゃんなら逃げられるんじゃない?……だって颯斗より強いんでしょ?」


言いながら愛莉ちゃんの胸に手のひらで触れる。

……俺の手のひらにスッポリと収まるくらいの胸。


(俺ほんとはおっきい子が好きなんだけど…)


何故か今はこの小さな胸が愛おしい。

人差し指で乳首に触れると、冷たい俺の指先のせいなのか、それとも身体が素直に反応したのか、乳首は充血して弾力を帯びた。


ちらりと愛莉ちゃんを見下ろすと、真っ赤になった顔を隠そうと両手で顔を覆ってた。


(参ったな。その態度……、煽るだけなんだけど)


処女かな、やっぱり。


優しくしてあげなきゃ、いつもの性欲を処理するだけの女の子と違うんだから。

そう思うのに、メチャクチャにしたい衝動も同時にあるんだよね。


シャツと外したブラを捲り上げると、キレーなピンク色の乳首が、俺が触れた方だけ、何かを期待するみたいにツンとしてる。


(……絶対処女、こんな綺麗な乳首の色、最後に見たのいつ??)


下半身が反応する。

このキレーなピンク、どれだけ貪れば、他の女みたいな色になるんだろ?


(舐めて、しゃぶって、噛みついて……、いつの間にか小豆みたいな色になっちゃうんだよねぇ……。………あ、俺もか)


自分の身体の色を思い出して笑っちゃう。


首筋の包帯を巻いてない部分をゆっくり舐めると、くすぐったいのか愛莉ちゃんの身体がピクッと動く。


指先で乳首をこねて遊びながら、首筋から胸元へキスを下ろしていくと、肌の色が途中で変わる。

……日焼けのあと、だ。

つまりここから先は、誰も見た事がない、見せた事がない場所。

……颯斗も見た事ない、俺だけが……。


まだ触れてない方の乳首に軽くキスすると、もう片方と同じで、あっという間に固くなる。

さて口に含んで、存分に舐め回してやろうと思った瞬間、鼻をすする音が聞こえた。


「……?」


つい愛莉ちゃんの身体の綺麗さに夢中になってたみたい。

慌てて身体を起こして愛莉ちゃんを見ると、小さな身体は震えてて………。


「愛莉ちゃん……」


泣いてた。


(ヤバ……ッ!やりすぎ……!!)


愛莉ちゃんが拒否るかどうか、様子を見ながら少しずつ進めるつもりだったのに……!

声を殺して泣く姿に、盛ってた気持ちが落ち着いてく。


そうだよね、怖いよね。

嫌なら逃げろって言ったって、この強姦みたいな状況で逃げられる女の子はそうそういないよね。


「………ごめん。………ごめんね」


捲り上げてたシャツを下ろして、愛莉ちゃんの上からどくと、愛莉ちゃんはゆっくりと身体を起こした。


「……ごめんなさい」


「……え?」


謝るのは俺の方だよね?

何で愛莉ちゃんが謝るのかと思ってると、愛莉ちゃんは顔をクシャクシャにして泣き出した。


「ごめんなさい……!!」


「え?……え?え!?」


何で俺が謝られてるの!?


「私……分かってたのに、本当は……大和さんが好きだって言ってくれてるの……冗談じゃないって……」


「愛莉ちゃん……?」


「嬉しかった、……でも……颯斗が諦められなくて…、大和さんの本気に気付かないフリしてました……。でも今日、真面目に告白してくれて……、私もちゃんと考えなきゃって……」


嘘でしょ、ガチで脈アリだったって事?

……?それなら何で泣くの?

泣くのはダメだよね?だって泣いたら……。


「でも……泣いちゃったって事は……、俺じゃダメだったって事……だよね?」


覚悟を決めて聞くと、愛莉ちゃんは黙って首を振る。


「分かりません、……分からないの……」


「愛莉ちゃん…あの、……」


「ごめんなさい、嫌な女で……。はっきりしなくてごめんなさい……」


そう愛莉ちゃんは謝るけど、俺としては救われた気持ちだった。

だって分からないって事は……。


「ひとつ聞いて良い?」


こくんと小さく頷く愛莉ちゃんを確認してから続ける。


「自分の気持ちがハッキリしない……、分からないって事は……まだ俺……期待してても良いのかな」


俺が……選ばれる可能性が残ってるって。

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