38.閑話休題(ドンドンジュの思ひ出)

 さて、前回、仁寺洞インサドンでチヂミを食べた際に、メニューにドンドンジュ(にごり酒)があったというお話をしました。


 そこで、今回は閑話休題として、ドンドンジュの思出話をさせてください。こうして、『思出』などと書くと、『セピア色の思出』などという、ムードのある言葉が頭に浮かんできますよね(笑)。そんな素敵な話ではありませんが、しばし、お付き合いをいただければ幸いです。


 さて、ボクは何度も書いていますように、以前、韓国の田舎街で3年間単身赴任をしていました。


 そこは『ヨス』という、人口が30万人ほどの小さな街でした。『ヨス』は漢字で『麗水』と書きます。


 ここで、今日の近況ノートをご覧ください。URLはこちらです。

 https://kakuyomu.jp/users/azuki-takuan/news/16817330664499047095


 ①番が韓国の地図です。左上の緑の丸が、明洞ミョンドン仁寺洞インサドンがあるソウルです。で、中央下に赤い丸がありますね。この赤丸が麗水ヨスです。


 地図をご覧いただくとお分かりになるように、韓国の南の端はギザギザの海岸線の、いわゆるリアス式海岸を形成しています。麗水ヨスはそんなリアス式海岸沿いにあり、海に面していて非常に風光明媚なところです。以前、麗水ヨスで『麗水ヨス万博』というのが開かれましたので、それでご存じの方もいらっしゃるかも分かりませんね。

 

 ボクの単身赴任期間中は、アホバカ妻が日本から麗水ヨスによく遊びに来ていました。日本から来るときは、いったんソウルで国際線を降りて、ソウルから麗水ヨスに移動することになります。ソウルから麗水ヨスまでは国内線の飛行機なら1時間、特急列車ならば4時間ぐらいです。


 さて、麗水ヨスのボクの住んでいたところから、歩いて30分ほどのところに、地元で有名なチヂミ屋さんがありました。アホバカ妻が日本から遊びに来たときは、ボクたちは一緒によくそのお店にチヂミを食べに行ったのです。


 そこは『太白テベク山脈サンメク』という名前のお店でした。太白テベク山脈サンメクというのは実際に韓国にある山脈で、また『太白テベク山脈サンメク』という有名な韓国語の小説もあるそうです。ボクは読んだことはありませんが・・・というか、ボクの韓国語力では読むことができませんが。。。


 で、近況ノートの写真は、ある年の3月の末(3月29日でした)に、アホバカ妻と二人で『太白テベク山脈サンメク』に行ったときのものです。


 ちょうど、外は桜が満開でした。今はどうか分かりませんが、ボクの住んでいた麗水ヨスには当時たくさんの桜の木があり、夜にはライトアップされているものもありました。


 さて、『太白テベク山脈サンメク』は韓国の古民家を改装したお店です。それで、お店に入るとすぐに、古い道具や家具などが展示してある部屋があります。②番の写真がその部屋ですね。


 お客は古民家の個室でチヂミを食べるようになっています。③番が、そのときボクたちが通された部屋です。④番と⑤番は、その部屋の中でアホバカ妻を撮ったものです。なんとも風情のあるお部屋ですよね。


 で・・・ジャ~ン!・・・本邦初公開!・・・⑥番の写真が、そんな風情のある、『太白テベク山脈サンメク』の個室でたたずむアホバカ妻です。この写真、ボク、大好きなので・・・今日は、ボカシなしで公開しますね~。


 では、⑥番の写真をご覧ください。アホバカ妻が物憂げに窓の外を眺めています。時刻は午後6時ごろですが、春ですので、窓の外はまだまだ明るいですね。窓のすぐ外は道路で、その向こうが海になっています。海にはヨットハーバーがあります。


 ⑥番の写真でも、窓の向こうに停泊しているヨットがぼんやりと映っているのですが・・・光の加減で、はっきりとは見えませんね。残念です💦(笑)。


 では、次の近況ノートをご覧ください。URLはこちらです。

 https://kakuyomu.jp/users/azuki-takuan/news/16817330664499057413


 ⑦番はチヂミを食べた後のお皿です。チヂミは、この大きなお皿一杯に入れて運ばれてきます。すごい量ですね。でも、おいしくて、いくらでも食べられますので、すぐにお皿が空っぽになってしまいます。


 ボクはこの店では、チヂミと一緒によくドンドンジュを飲みました。ドンドンジュは大きな木の器に入れられており、そこから、お玉のような木のさじですくって、日本の茶碗ぐらいの木の器に移し替えて飲むようになっています。


 ⑦番の写真の右端、黄色の矢印のところに、ドンドンジュが入った、大きな木の器が半分写っているのですが、暗くてよく分かりませんね。・・・どうも、すみません💦


 この写真を『太白テベク山脈サンメク』で撮った当時は、将来、カクヨムというサイトにこの写真をアップするとは夢にも思わなかったので・・・チヂミも、ドンドンジュも、肝心の写真は一切撮れてまっしぇ~ん(笑)。


 さて、ドンドンジュですが・・・アルコール度数は高くないので、決して、ぐでんぐでんに酔うことはないのですが・・・飲んでいるうちに、少しずつ朦朧もうろうとしてきて・・・だんだんと陶然とした気持ちになってくるのが特徴です。


 桜が満開の春の宵に、アホバカ妻と二人で、おいしいチヂミをお腹いっぱい食べて、ドンドンジュをたらふく飲んで・・・ボクの頭はだんだんと気持ち良くなっていきます。


 少し朦朧もうろうとしてきました・・・


 時刻は午後7時ごろ・・・


 外は日が暮れかかっています。で、そのとき、窓の外を見た写真が⑧番です。道路の向こうに海・・・その先には島々・・・こちらの岸にはヨットが並んでいるのが、かすかに見えています。


 この景色を見ながら・・・アホバカ妻がボクにポツリと言いました。


 「ヨットハーバーを歩いてみたい・・・」


 ボクは朦朧もうろうとしながら、アホバカ妻と『太白テベク山脈サンメク』を出て、道路の向こうのヨットハーバーに向かいました。


 日が落ちて、周囲はすっかり夜になっています。


 ⑨番が途中にあった、ライトアップされた満開の桜です。ちなみに、韓国には日本のようなお花見の習慣はありませんので、満開の夜桜の周りには誰もいませんでした。


 桜が満開の春の宵・・・場所はヨットハーバー・・・とくれば、日本だったら、カップルで押すな押すなになってしまうのですが(笑)、ヨットハーバーにはボクたちの他には地元の人たちらしいカップルが一組いただけでした。


 朦朧もうろうとしながら、ボクはアホバカ妻とヨットハーバーを歩きました・・・


 そして、ボクは写真を撮りました・・・


 ⑩番は、すっかり日が暮れたヨットハーバーから海岸線を撮ったものです。


 『海』と書かれた石碑がありましたので、その前でアホバカ妻をパチリ・・・これが⑪番です。




 桜が満開です・・・


 気持ちの良い春の宵です・・・


 ヨットハーバーをアホバカ妻と並んで歩きながら・・・


 ドンドンジュの朦朧もうろうがボクを包んできます・・・


 ボクはいま夢を見ているのかも分かりません・・・


 春の宵の幻のような時間がゆっくりと流れていきます・・・




 そんな春の宵の『思出』でした・・・

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