第4話 全容

「アン!こっちよ?」やにわに手首を掴まれ誘導されるが侭に走った!振り返ると数人から分裂して十数人になり更に分裂して数十人に為っていた!

「あの人数じゃあ戦えないわ。」

一人でに口をついて出た言葉に反応した。

「ウチらのメンバーを集めようか?ざっと60人には為るよ?」

 六車深雪が、乱れた呼吸を整えながら、提案をしたが、「ダメ!頭数だけ増やしても犠牲者が増えるだけだわ深雪!」

 「ああ、」屋上のフェンスに腕組み凭れて返事をしたが、短かった。

  全てを掌握しているようだった。アンにはそう思えたが・・・。

 アン・ソーシャルのソーシャル家は

 江戸時代から所謂、仕事人稼業を営み先代の中村主水(なかむらもんど)を初め代々殺人(コロヒト)を請け負って来た。

 しかし先代の中村主水が全盛期の時に不意打ちを喰らい殉職した為、婿養子を迎え入れ家系の安定を図った。

 婿養子の名前はレイ・ソーシャルだ。

彼は列記とした日本人で、素四阿瑠麗(そしあるれい)と呼ぶが敗戦後の昭和時代が転換期を迎えたため改名してレイ。ソーシャルとした。

 しかし時代が令和に移ろい仕事の頼み人が

未来へと移行した為、ITに強いアンが抜擢されていた。

 未来の的は日本人や世界各国の人間を的にして来たが、宇宙開発時代になり、エイリアンとの交流が盛んに為って恋愛したり家族を形成したりとっ地球的には有り得ない血縁とは呼べない者まで出て来た。

 それが、社会不適合と為り、未来の犯罪を犯す事と為って仕事人がタイムワープをして、未来へ出向く事もあった。

 未来の的は地球人と呼べない血の交流の集大成で、AIアンドロイドだったが、以後と人を逆恨みする余り過去へ飛んでコロヒトを始末するアンドロイドが出てくる次第となっていた。

「アレを観てみなよアン!」

緑のショートを掻き揚げ溜息交じりの言葉を吐いた深雪はミサンガでメンバーと交信していた。

「アンタ古いんだよアン・ソーシャル」

言うが早いか、空中へフワリと浮き上がり迎えに来たシップに乗り込んだ!

 今は黄泉3年。

令和が30年間続いた後、元号が変わり黄泉元年から始まった時代。

 アンは呆気に取られ「コレなら勝てるわ」

屋上フェンス越しに地上の校門前に見遣ると妖獣が数百人単位にまで膨れ上がっていた。

「あちゃー、手に負えないわ。」

ミユキーッ! 精一杯叫んでみたが、反応は無い。

 心配になって地上を垣間見たが、数機のシップが未来へと強制送還させていた。

「遣るわね!」ホッと、胸を撫で下したアン・ソーシャルであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る