第14話 未知の大陸

「おかしいわね」


 しばらく歩いていると魔子さんは神妙な面持ちで言った。


「おかしいって何が?」


「魔物が少なすぎるのよ」


「言われてみれば」


 あたりを見渡すが魔物の姿や気配はない。


「いないに越したことはないのだけれど、妙なのよね」


「さっき倒したのがここのヌシだったのかな?」


 灯りに向かって歩いていると、寂れた雰囲気の村が見えてきた。


「情報を集めましょう」


 村の入り口には鎧と槍で武装した男が立っていた。顎髭を生やした男は屈強で強そうに見える。


「お前達、どこから来た?」


 あご髭を生やした屈強な男が槍を構えて言った。


「あっちの方角から来ました」


 そう言って来た道を指差すと、


「そっちはユニークのスライムが出る危険地帯だぞ。もう一度聞く。どうやって来たんだ?」


 屈強な男は訝しげな顔をして尋ねた。


「あ、それなら倒してきました」


「何!? 倒してきただと? そんな馬鹿な事があるか」


「あーっもう。私が呪文で倒したの。それで彼は勇者の末裔で。私が魔法使い。この勇者の剣、見える? わかったら村に入れてくれる?」


「勇者の剣……これは、大変な無礼を働いた」


 屈強な男ははそういうと、村の入口を開けた。


「物分りが良くて助かるわ」


 俺たちが村の中へと足を踏み入れると、


「この村はウーズ村じゃ。廃れた村じゃがゆっくりしてってくれ」


 入り口に立っていた初老の男が口を開いた。


「あ、はい」


 村の入口に立って村の説明する初老の男、どこの村にもいるのかな。大変だな。


「この村……なんか不思議な雰囲気ね」


 魔子さんはそう言って、続けて


「…あれも……これも…違う……」


 と呟いた。


「違うって?」


 俺は深刻そうな表情でつぶやく魔子さんに訪ねた。


「全部違うのよ。植物、動物、ここは私達の知ってる大陸じゃないわ」


「確かに言われてみれば」


 あたりを見渡すと、民家の庭にはユーシア大陸では見かけた事のない不気味な七色の植物が生え、鶏は黒い色をしていた。


「一体、ここはどこなんだ?」

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