第10話 協会と境界
扉を開けると、地面には赤い絨毯。協会の内部には木の椅子が等間隔に置かれていた。
「おお。輝。待っておったぞ」
協会に足を踏み入れると、白髭をはやした白髪の老人がしわがれた声で言った。
「爺さん。連れてきたよ。彼らが勇者の末裔だ」
そう言うと、老人の顔つきが変わった。
「ほう、そなたらが……照。彼らを導きなさい」
白髪の老人がそう言うと、照道は頷いて
「着いてきてくれ。こっちだ」
と言って、教会の奥にある木製の扉を開いた。そこには、本棚のある書斎のような部屋が広がっていた。
「実はこの本棚の裏に隠し扉があってね」
そう言うと、照道は本棚の縁を三回ノックした。すると、本棚が横に平行移動し、鉄製の扉が現れた。
「この扉の先に何があるんだ?」
俺が照道に尋ねると、照道は扉に手をかけて
「これは僕の先祖が残したものでね」
と告げると扉を開けた。すると、
「なんだか嫌な予感がするわ」
と魔子さんが呟いた。
その瞬間――
「君たちの旅に幸あらんことを」
とても強い力を背中に感じ、俺は扉の先へ身を投げた。
「なっ」
「ちょっと」
その瞬間、ガシャンと鈍い音がした。
「僕の役目はここまでだ」
扉が閉まるその瞬間、照道はそう呟いた。
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