狂った男が異世界転生して勇者になる話

野分空蝉

プロローグ


 知ってるかい? 狂った笑顔の男の話を。

 男は家族に暴力を振るわれ、友達からは異常者扱いされていたらしいよ。

 ずっと真顔で無口だからつまらない男だと全員から言われていた。

 でも男は雨が大好きだった。雨は猫と会えるから。

 でもある日ね。

 男は見てしまったんだよ。

 学年はわからないけど、猫をそう、想像している通り。酷いことをして猫はずたぼろになった。

 学生達は笑いながら写真を撮っていた。男は立ち竦んで、大学で使っていた彫刻刀を使って、男達の背後に立っていた。


 目玉を抉り、ぐちゃぐちゃにした。鉄の臭いと染みついた血。男は初めて心の底から笑えた。

 猫と一緒にいる時はとても笑えたが、それを遥かに上回るように男は癖になってしまった。


 それから十年、30歳になるまでずっと殺しては逃げ続けてきた人生だった。

 だけど警察に捕まって終わりを告げた。

 男はね大声でゲラゲラ笑っていたよ。

 悲しむどころが笑っていた。

 精神鑑定もしてもちろん認定された。だけど男は言ったんだ。

「俺はやり直す気もなければ、脱走もするぞ」

 と、それを踏まえて考えた結果死刑にすることにした。


 三年経ち死刑執行がされる日男はこう言って死んだ。

「もし自分が不幸だと思うならそれは間違いだ。誰が不幸とか比較するなんて馬鹿げてる。それだから殺されるんだ」

 そう言って死刑執行された。


 男の物語はここで終わった。

 はずだった。

 おっと!

 ここから先は、次の本の話で言おう。

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狂った男が異世界転生して勇者になる話 野分空蝉 @mireku1118

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