第15話 撤収…オリンピアン【E】
俺が手を引くにあたって、どんな風に逃げおおせたかを知りたいのかい?物好きだなぁ…
まぁ、ちょっとややこしいから、例え話でもいいかい?
今回、用意したターゲットという船に、刺客である女が今、足をかけてる。
今までの刺客の様に台本って名前の細かい運転技術をレクチャーしてる訳じゃない。
『エンジンかけてハンドル握って』ってレベルだけど、意外とコレで運転出来ると思っちまうんだよな〜
もちろん、刺客である女が船にかけた足を引っ込めて、安全な陸地に降り立つ事だって出来たわけだ。
それをしなかった刺客の自己責任って事で、俺は高みの見物と決め込んだ。
依頼されていたターゲットは、あるスポーツ選手だ。ちょうどオリンピックの選考会で、選手も周りもピリピリしている時期だ。
その競技ではレジェンドとされているその選手は、当然ながら選ばれることは確実視されていたからか、毎晩のように遊んでいた。
まぁ、ストイックにその競技に打ち込むほど遊びは派手になるって言うしな…
そんなある日、刺客として専任した女が逮捕された。その女の彼氏と共に……
事件は至って単純な話だ。
店で仲良くなった女と、ターゲットである男が一緒にホテルに行った。
行為の直前に彼氏登場。
『俺の女に何するんだ!バラされたくなきゃ金払え』って……オイオイwそれじゃただの美人局(つつもたせ)じゃねーか
女が先に警察に訴える事によって、この作戦は成功する。徹底的に弱者になりきる事が、成功の鍵なのに、ターゲットに先に『美人局の被害にあいました』って警察に駆け込まれてちゃ仕方ねーよな。
あ〜警察に泣きついてから、示談交渉として金を取れって部分をあえて伝えてなかったのは、俺だったなぁ……
とりあえず選考会がどうなるかは俺の知ったことじゃないが、少なからず影響はあるだろうから、無報酬で受けた割には良い仕事したと思うぜ。
特に家族なんてしがらみも無い俺だから、しばらくは稼いだ金を使って、のんびり過ごそうと思っていた。
そう…あの電話が来るまでは……
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