第5話 新たなターゲット
女にプロモーターの連絡先を教えて、そのあと俺がやった事は…俺の痕跡を消すことだ。
つまり…電話番号・LINE・メアドなど端末を全て初期化した上で、スマホごと処分する。元々が裏のルートから買ったものだから、足なんかつかない。
まぁ足がついたところで『だから何?』って話だけどな。
あの女からしたら、男との情事を匂わす写真だけ撮って、あとは俺にヤラせるつもりかも知れないが……
金を掴むなら自分で動かなきゃな!
案の定、女は【A】と自分が一緒に酒を飲んでいる写真を雑誌社に売り込んだ。
写真週刊誌は大々的に、新進気鋭の若手俳優と未成年との飲酒パーティーを取り上げた。
当然、焦ったのは【A】とその事務所だ。
コンプライアンスが叫ばれて久しい今の芸能界だから、女を口止めするのに必死だった。
飲酒もさることながら、それに未成年との淫行まで加わっては大変なことになる。
まぁ、それも含めてかなりの金を握らせたらしいけど、金を手にした女は結局、ベッドでの写真までも週刊誌に売って姿をくらませたらしい。なかなかやるな。
CM契約はもちろん、新たな仕事に関する賠償のみならず、過去作品の映像作品の売り上げにも関わって来るため、賠償額は億単位になったらしい。
ケジメとして、事務所は【A】を解雇するしか方法が無かった。
ここまで聞いて『アレ?』って思ったんじゃないか?
俺はどこから収入を得たのかと…
答えは簡単!【A】のライバル俳優の所属事務所だよ。
昔と違って〚この役はこの俳優しかできん!〛なんて頑固な監督がいる訳じゃねーからさ。
人形の首をすげ替えるだけで、ドラマは成立するって訳だ。
今回哀れにも抹殺された【A】の代わりに、俺に依頼した事務所はウハウハだろうな。
気前よく2000万をポーンとキャッシュで払ってくれたぜ。
しかも次の仕事も紹介して貰ったよ。
次のターゲットは2代目タレントの【B】だ。
演技派俳優の息子だが、現代風の爽やかなルックスをしている。だからと言ってお高く止まっている訳じゃなく、天然キャラで少々エッチな発言が、逆に気さくな兄ちゃんって感じでお茶の間のウケもいい。
【綺麗な道だけを歩いてきました】って奴を見ると、更にやる気が出るってもんだ。
まずはこの俳優の下調べを開始する。
うーむ……意外に年上のキレイめな、お姉さんタイプが好きなんだな……
じゃあ早速、俺が考え出した取っておきの殺し方を披露してみるか。
そうして俺は【B】というターゲットに食わせるための毒餌を探しに夜の街に赴いた。
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