第3話 若手俳優【A】

裏からこっそりとかけてる営業だから正直、ここまでの手応えあるとは思わなかった。

まぁそれだけ需要があるって事か……


今回の依頼はとある俳優。

あるドラマで気の弱い青年を演じて、急激に人気の出た若手俳優だ。


今回は初回という事で様子見も兼ねて、以前から使っていた手法に、新たなやり方を混ぜてみた。まぁハイブリッドって感じだな。



新たなやり方……それは……

人間って弱者にトコトン甘い生き物だよな。

男女平等を叫んでる女だって、転覆する船ではレディファーストって言うだろ?

つまりはそれを利用するって事。


前に声をかけてた女。金髪に派手なメイクだけど、頬の辺りにまだ幼さが残っている。

年齢は17歳らしい。ベストな年齢だ。



ターゲットの下調べはできている。

意外とギャル系が好きらしい。

酒が入ると気が大きくなって、警戒心もなく女をお持ち帰りしがち。

まだ若手ですれてない分、周りを信用してしまう。


まぁざっくり言ったらこんな感じか。


もちろん女の事もちゃんと調べてある。

年齢こそ17歳だが実際はシングルマザー。

子供を実家に押し付けて、夜な夜な繁華街で遊び歩いてる。

遊ぶ金欲しさでギャラ飲みに参加している。

口は軽いが自分に不利な事は言わない。



俺は以前聞いたLINEから、彼女にコンタクトを取ってみた。

『久しぶり〜元気?』

『たまにはおじさんの相手もしてくれよ🥹』


女からの『誰だっけ?』って返事に苦笑いしながらも、メッセージを送る。


『もうずいぶん前だからなぁ会ったの』

『以前、取材させてもらった大内だよ。ジャーナリストの』

『最近、1人で呑むのも飽きちゃってさ。良かったら✌️➕タクシー代で一緒に呑んでくれないか?』


それに対して『あ〜思い出した〜ꉂ🤣w‪𐤔』って嘘つけw

当時渡した名刺なんか捨てただろうと、適当な名前言ったら簡単に食いついてきた。


とりあえず、俺は彼女と待ち合わせる事になった。



女との呑み当日

正直、つまらない女だ。

ただ若いというだけで、自分に価値があると勘違いしてる。

女の話に適当に相槌を打ちながら、少しづつ本題へと話を進めた。


女に昔の俺が扱ったネタを振ってみる。

女って生き物は何歳だろうが、タレントのスキャンダルが大好きだ。


『以前扱ったネタだけどさ、あるアイドルがお持ち帰りした女にこっそり寝顔を撮られて、それを俺んとこに持ち込んだわけよ』


うんうんと女は食い気味に頷いた。


『それを俺は適当なラブストーリーつけて、週刊誌に50万で売って、相手に報酬の半分を払ったわけ』

『でも女の方が俺より強かなんだよなぁ…実際その女は、500万ぐらい手にしたんだよ』


金額を聞いて女が前のめりになる。

『え?なんで?』


その態度に腹の中でほくそ笑みながら『内緒だぞ』と勿体つけて話してやる。


『人には性癖ってあるだろ?実はそのアイドルはドMだったってワケ』

『きらびやかなアイドルが縛られてアンアン言ってたなんて…これ以上のイメージダウンはないだろ?』


女は口元を押さえ、笑った振りをしていたけど……

その目が光ったのを俺は見逃さなかった。

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