第2話 クリスタルの英雄と抗えぬ魅力
「美しい………なんて美しいのだ………」
人には三大欲求がある。
小人は生まれながらにして己に負けており、権力にしがみついて己の欲を満たす。
日本の大正、明治、昭和のゴミ共は真面目に働いてくれるものをこき使い、気に入らなければ暴力を振るって懲罰、体が壊れてしまえばボロ雑巾のように捨てていた。
やがて、真面目な人間が居なくなれば海外の貧困者を騙すようになり、奴隷雇用、小人は徳が無く、最終的には財産も失い孤独となる。
孤独となった小人はやはりゴミであり、寂しくなって猫や犬を飼うも懐かない。
小人は己のゴミも理解できず、ペットを殺処分、妻にも離婚を要求され、殺した。
しかし、人間の三大欲求にまさるものが存在する。
そう、それは『魅力』である。
小人が欲を満たせば、やがて『美』を求める。
美とは、『美徳』、しかし、小人の美とは美徳から程遠いものだ。
「なんて、美しいのでしょう!!」
男女問わず魅了される。
そんな女王が居たとするのなら、当然、その美を悪用して『ホルス』を狙うだろう。
「ふふふ、私は美しい………しかし、小人はゴミ、己の欲望に勝てる者ほど本当に美しい………」
女王は小人から美を使って金を多いに騙し取り、全てを奪った。
その、余りにも美しい美貌に全てを差し出す。
そのことに『快楽』を覚える。
快楽と感じれば小人が抗えるはずもなく、全てを捧げた。
そして、何もなくなった小人は即座に殺されたのである。
しかし、この国では、民が皆、女王に感謝している。
女王だけが『悪人』、しかし、女王は女性であり、男も好めば女も好んだ。
そして、『圧倒的な魅力』は欲を抑えようとする男女も最終的には屈してしまう。
「ほ、本当は女王様のことが好きでした!! ………あッ!!?」
女王は己の魅力に一度でも長く逆らうものを寵愛した。
己の欲望に打ち勝つ者たちを好んだ。
故に、この国の人間は少数だが、精鋭、その『抗えぬ魅力』に国を裏切る者も居ない。
そう、この国に法律など存在しない。
『女王』こそが『法律』なのだ。
ただ、一つだけ法律があるとするなら、人を殺す時、女王の許可なく殺した場合は例え、女王の愛人でも死刑にした。
この女王の行いで忠義の者たちはますます女王を慕ったという。
「ふふ、ホルスちゃん………体洗ってあげる………♡」
まどかがホルスを優しく捕まえて入浴に誘い込む。
「や、やめて………ひ、一人で洗えますから………んッ!!?」
王都を消滅させたホルスはまどかに良いようにされていた。
「ふふ、ホルスちゃんって絶対危険人物だよね?………はむッ♡」
まどかは危険人物との接触に興奮してスリルを味わっているご様子、ホルスは無抵抗でその身を差し出してしまう。
「それじゃあ、ホルスちゃん………おやすみ♡」
まどかがホルスを開放すればホルスは他人の温もりを久々に知った気がした。
気がつけばホルスはまどかに甘えて隣に入る許可を取ろうとしている。
二人は一緒に眠ってしまう。
夜明け前のこと、まどかはホルスを抱きまくらにして爆睡する中、ホルスはまどかの温もりにドキドキしていた。
よく見るとまどかは女性なのに逞しく、顔も可愛くてかっこよくもあった。
ホルスはまどかの容姿に憧れてしまった。
「よし、ここだな………」
物音がすればホルスは自分が狙われていることに気が付く。
「召喚………」
ホルスはバステトを召喚した。
エジプト神話の召喚は祖父からよく教わった。
バステト神は猫に变化して周囲を探る。
敵が現れれば半獣人の姿となり敵を切り裂いた。
「く、クソ!! バレたか!!」
刺客が雪崩込んできたためにホルスはちょっと驚いた。
まどかのせいで気が緩んでしまったのだろうか、飛び起きれば多数の神々を召喚する。
しかし、爆睡するまどかを人質に取られたためにホルスは己を犠牲にすることを選ぶ。
「ふにゃ………ふぁ~~~あ、よく寝た。ホルスちゃん、おはよう………」
しかし、そこにホルスは居なかった。
残っていたのは猫に化けたバステトだけである。
「目覚めましたか、私はバステト神………我が主、ホルスがあなたに伝えたい事があるため、私は残されました………」
まどかはそれを聞いて驚いた。
「ホルスちゃんに何かあったの!!?」
バステトは首を縦に振り伝言を伝える。
「ホルスは幼い頃に祖父を失いました。おじいちゃんを大切に………そして、短い間でしたが、楽しかったと………」
それを聞いたまどかは血相を変えて飛び出していった。
「ま、まどか様!!? どちらに!!?」
バステトはまどかの後を追いかける。
「決まってるでしょ!! ホルスちゃんを助けに行くのよ!!」
バステトも本心では主を助けて欲しいと思っていた。
「まどか様、ホルス様はそう簡単にやられるようなお方ではありません………ご自身の安全を優先してくだ………」
まどかが遮る。
「うるさい!! ホルスちゃんを助けるのに保身なんて図れるわけ無いでしょ!!」
バステトはまどかの言葉に黙り込んだ後で微笑んで言う。
「まどか様、我が主はこちらに居ます………」
まどかはバステトの言葉に微笑んで返答する。
「ok♡」
ホルスは刺客らによって拘束されていた。
「しかし、本当にあんなので大丈夫なのですかね?」
刺客の一人が言う。
「大丈夫だ。封印石の中でも強力なもので縛り上げておいた。召喚はできない。」
ホルスは召喚士でもあるが、封印士でもあった。
したがって、封印石の障害はなんともない。
「それならホルスちゃんが暴れても大丈夫ね………♡」
その声に刺客のリーダーが答える。
「あぁ、危険人物もこうなるとただの少女だな………って、なんだお前は!!? しかも、ホルスが居ねぇ!!!?」
まどかの方を見れば拘束されていたホルスが消えていた。
「詰まり、ホルスちゃんは今、召喚できないんだ♡ なにしても私には逆らえないってことね♡」
そう言うと、いつの間にかまどかの腕の中にホルスが居た。
ホルスは顔を真赤にして呟く。
「まどかさんなら別に何しても抵抗しませんけど………」
二人が百合百合していると刺客のリーダーが召喚獣を喚び出す。
「影の暗殺者、シャドーアサシン召喚………安心しろ、殺したりはしない………我らは『女王』のために!!」
影の悪魔は一瞬で1万の分身を作り、全方向から攻撃を仕掛けてくる。
しかし、まどかはそれらを全て回避した。
いや、シャドーアサシンには、まどかを捉えることができなかったと言うべきだろう。
「はっはっはっは、このまどか様とやるには20年早いみたいね!! 私は召喚士としてはまだまだだけど、『憑依士』としては二流じゃないわよ!! クリスタルの英雄、『上杉 芯』を憑依してるのだけど、ホルスと戦った時はあくまでも召喚士としてよ!! 私の本気、見せてあげるわ!!」
上杉 芯とは、人の身でありながら超人達を相手に命懸けで戦った英雄である(詳しくは、クリスタルバスケ参照)。
刺客のリーダーが振り返れば、まどかはいつの間にか背後に立っていた。
「ば、馬鹿な!!? この俺が見失うなど!!?」
気がつけばまた姿を消していた。
「『零』………それが、上杉の得意技よ………」
零とは、我々の認識を零にしてしまう能力で、例え、目の前でゆっくり歩いていても相手は歩いていることさえ認識できない究極の技である。
「急所、さらけ出してるね………♡」
ーーードスッ!!
まどかは相手の懐に入り込めば無防備な相手の急所に思いっきり肘を入れた。
気がつけば皆が悶え苦しんでいる中で、まどかはホルスを解放した。
「勝手に一人で出歩いたらだめだぞッ♡」
ホルスは胸をきゅん♡きゅん♡させながらまどかの手を取って言う。
「ごめんなさい………おいたが過ぎたわ♡」
二人が喜び合っている所に一人の女性が歩み寄ってくる。
「美しい………なんて美しいのでしょう………」
ホルスとまどかはその女性を見ただけで頭が『くらッ』とした。
「な、なにこの人………き、綺麗すぎる………うッ!! ち、近寄らないで!!」
まどかは相手の異常な魅力に脳が支配され、憑依が解除されそうになった。
まどかはどちらかというと脳筋タイプ、『ゾーン』とかに入り込むことに価値観を持っている馬鹿な人間でもある。
「ま、まどかさん………余り見ないほうが良いですよ………この人、すごく美しい………素敵………♡」
ホルスは直視してしまう。
この状況に危機感を覚えた上杉はまどかに問いかける。
『まどか、この俺を召喚しろ………手遅れになるぞ………』
上杉がまどかに忠告する。
「くッ………もう、だめ!! お姉さまッ♡」
まどかは最後の力を振り絞って『上杉 芯』を召喚した。
そして、力尽きたかのようにして相手の魅力に骨抜きにされてしまい。
魅了されたまどかは子猫のようにして、その女性に歩み寄った。
「ま、まどかしゃん………ずるいでしゅ………ホルしゅも甘えたい………♡♡♡」
ホルスはもう呂律が回っていない。
しかし、その圧倒的な魅力のせいでエクゾディアの封印が一部解除される。
エクゾディアの封印が解ければ片翼の天使のようにして背中からエクゾディアの右腕が飛び出てきた。
女性はその右腕を見ただけで強い支配力に侵されてしまう。
「な、なんなの!!? この感覚は!!?」
だが、その圧倒的な魅力も、この世界を支配する『エクゾディア』の前には抗えない。
女性はエクゾディアの支配から逃れるようにして自身の城へと逃れた。
完全でない『エクゾディア』の支配から逃れれば、冷静になり、その正体を考察する。
「あの右腕は一体………」
女性の体にしがみついていた『まどか』、しかし、忠義の賢者が女王に進言する。
「恐らく、消滅した『王都』を調べれば何か明らかになるかと? 女王の『魅力』を使って、王都の権力者をお招きして洗いざらい吐かせてはいかがでしょう? それで、審議を明らかにし、ホルスを殺すか懐に加えてはいかがでしょう?」
女王の軍師はあまりにも尖すぎた。
この国の才ある者たちは皆、国のため、女王のために才を振るいたがっている。
嫉妬して争うような小人でもなく、嫉妬しても次の計、次の計と計略を競い合った。
いつしか、この国は嫉妬を乗り越え、国のために己よりも才を持った者を推薦するようになっていた。
日本の老害や自尊心の高いゴミ共とは正反対である。
「ふっふっふ、流石は私の軍師達、お前たちの知恵は限りがない。早速、私の写真と使者を派遣してこの国に連れて来て、ついでに、国のために献上品も持ってこさせておいてね? あなた達を養うためにね♡」
女王の腹心達は皆感謝して女王に従った。
「女王様、新しいバイオテクノロジーできゅうりを品種改良し、メロンを作りました。女王様にぴったりかと存じます。」
女王は甘いものにも目がなかった。
「なんておいしいのでしょう!! やっぱり、あなた達は天才だわ♡ 小人のゴミどもと違って私利私欲で破滅を招かず、国の発展に貢献してくれる♡ この国の電力も私達が呼吸するだけで得られるなんて、どうかしてるわ♡」
そう、この国は美の国、国を納めるには『人』が必要である。
女王だけが悪人だが、女王は金、性欲、それらよりも『才』を重視した。
この国の文明はどの国の文明よりも優秀であり、国境を超えた天才は女王の策略によって全ての才能を捧げた後、悪人と分かれば即座に殺したという。
「全国の皆さん!! こんにちわ!! 昨日はハッキングされたけど、ハッカーさんがこの国に来てくれてハッキング技術を提供してくれました。あゆみ、とっても嬉しい♡」
女王は配信者でもあり、偽名を使ってはたくさんのアカウントを作り、そこら中の金持ちから金品を巻き上げて、天才にはデートまで許したという。
因みに、この国の女王は税金を取るどころか逆に金をばら撒いたという。
女王の稼ぎは1分で100兆、小人は金にしがみつき貯金して投資しない。
しかし、女王はそういうゴミどもから金を奪い取り、この国の天才に金を回した。
金の使い方もそこらのゴミどもとはレベルが違ったのである。
「ふふ、今日もバカ共がいっぱい金を落としていったわ………本当に小人ってゴミよね♡」
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