第7話

朝から色々あったが、今日の授業が終わって放課後になった。

俺は一応新山さんを警戒してすぐに荷物を片付けて教室を出る。

教室を出て近くにある柱から後ろを覗くと、案の定新山さんが教室に入っていく姿が見えた。

俺はホッとしてそのままカウンセリング室に向かった。










カウンセリング室に着き、俺は扉をノックする。


「……失礼します。」


俺はそう言って扉を開ける。

するとそこには、母親と校長先生、担任の教師がいた。

正直、担任はあまりあの事件に関わりがなく、それに皆の虐めを止めようとしていたのでまだ安心できるが、家族と校長に関しては結構トラウマを植え付けられたので、少し嘔吐きそうになる。

それを我慢してひとつだけ空いていた椅子に座る。

俺が席に座ると校長先生が話し始める。


「今日はわざわざ足をお運びいただきありがとうございます。この度は息子さんに多大な迷惑をおかけしてしまったこと深く謝罪します。冤罪で停学してしまったことは学校側の責任です。…………」


「……。」


母親は校長先生の話を真剣に聞いていて、何も喋らなかった。


「それで橋本くんに提案があるんだが、聞いてくれるかな?」


校長先生は話は終わり今度は俺に話しかけてきた。

正直に言ってあんまり信用できないけど、一応聞いてみようと俺は首を縦に振る。


「私立高校になってしまうのだが、私の知り合いが理事を務めている高校に編入してみないか?」


「……。」


俺は校長先生の提案に黙ることしかできなかった。


「あ、いや、あのね、別に無理にとは言わないが、私たちのせいでもあって君の立場は学校でも不安定なものになってしまった…。そのお詫びというわけではないが提案してみたんだ。あちら側の学校には話をつけているし、学校の設備や授業などもこの学校よりもいい。私のせいで壊してしまった学校生活を取り戻してほしい。」


先生は信用したくないが、流石にこれ以上裏はないだろうと思い、編入することにした。


(もう…あいつに悩まされなくて済む……)









その後も色々話をした。

編入は1ヶ月後らしい。

話が終わったあと、俺は母親に家に戻ってくるようせがまれたが、拒否して1人で帰路を歩く。

これからどうなっていくのかという不安を少し抱えながらも、少し楽しみにもしているというのが現状。


(楽しみにしていたりしてたら、また同じようなことが起こりそう……)


正直、その不安だけは拭えなかった。









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