第6話

俺は茶封筒を恐る恐る開けてみると、中にはじゃばら折りにされた紙が入っていた。

紙をひろげてみるとたくさんの字が書かれていた。

誰からかを見ても書いていないのが少し怖いがとりあえず読んでいく。

内容を簡潔に言うと、俺の冤罪だったのに対応が厳しすぎたことと今日の放課後にカウンセリング室に来てほしいということ。

正直に言って今更、謝罪されたところでなんにもならないので行く意味もあまりない気もするが、行っておいた方が後々面倒事にならなくなるので行くことにする。

その手紙を茶封筒に直して机に置く。

そして周りを見てみると、やはりこちらを見てみんな気まづそうにしている。

だが、気まづそうにされたところで何も変わらないことは身を持って知ってしまったので周りを無視して席で本を読む。

物語のような経験をしてしまった俺はこんな煌びやかな生活を送っている人がいるのではと考えてしまう。

そんな余計なことを考えていたからか、人が近くに来ていることに気づかなかった。


「りょ、良太。」


その声に気づいて振り返ってみると、さっき振り切ったはずの幼馴染がいた。

さすがにこれ以上は関わりたくないがもう既に予想以上の力で腕を掴まれているので動くことができない。


「本当にごめんなさい。前みたいに仲良くしたいから、その1歩目として今日一緒に帰ってくれない……?」


「……は?」


俺は信じられなかった。

自分から俺を切り捨ててきたのに………

俺は怒りで奏を押してしまった。

その時に彼女の拘束からは逃れられたので、そのまま教室から逃げ出した。











予鈴のチャイムがなって戻り、自分の席にもどる。

やっぱり皆は自分の席に座っているが、横目でこちらをちらちら見ているのが分かる。

学校生活が少し楽になるのかなと思っていたが、朝からの出来事で考えると違う意味でとても苦労しそうだ……。

そうこう思っているうちに、朝のSHRが始まる。

内容はいつもと同じような感じではあるものの、先生の話し方にもぎこちなさを感じる。

そんな先生の話が終わり、休み時間に入る。

そして授業を受けて、昼休みになった。










side 新山 奏

私はやっぱり良太とよりを戻したくて、良太のクラスまで来た。

顔だけを開いた扉から出して覗いてみると、彼は本を読んでいた。

私は少しだけ邪魔をすることに申し訳なく感じるも、そのまま良太に近づく。


「りょ、良太。」


私は良太が逃げてしまうのではないかと思い、声をかけるのと同時に彼の腕を掴んでいた。

良太はその場から動かないので、そのまま言いたいことを伝える。


「本当にごめんなさい。前みたいに仲良くしたいから、その1歩目として今日一緒に帰ってくれない……?」


「は……?」


良太はそう言って私を押し倒した。

そして良太は教室から逃げ出すように出ていった。


(やっぱり……)


私は少しだけ落胆して、そのまま教室から出て自教室に戻った。

でも……、優しくされたことを思い出してしまう。


「ほんとに……、なんであんなことしてしまったんだろうな……。」


私はそう小さく独りごちた。

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