第3話

目が覚めて、ベッドから体を起こす。

窓の方を見てみるとカーテンの隙間から朝日が差し込んでいる。

俺は家に着いてから、昨日のことで疲れてそのまま寝ていたらしい。


「俺、これからどうすればいいんだよ…。」


無意識のうちに呟いていた。











今日も学校があるので、いつもと同じ道を使って行く。

俺はあの冤罪で退学処分を喰らいそうになったが、成績が学年で上位であったことと、部活動を真面目に取り組んでいたこと、ボランティア活動もたまにではあるが参加していた点から、1ヶ月の停学処分になった。

停学処分から解放されてからは、虐められ、信頼を置いていた親友や幼馴染には見放されたり、人と関わると冤罪なのに言われてきた罵詈雑言が思い出されて常に吐きそうな状態で生活しなければならないので、学校には行きたくなかったが、行かなければ親から貰っていた最低限の生活費だって送られなくなるので行くしかなかった。

今日だって本当は登校したくない。

そんないつも抱えている不安や恐怖を感じながら、道を進んでいると、見知った女子が居た。

その女子はこちらを見ると、申し訳なさそうな顔をしながらこちらに向かってきた。


「良太、本当にごめんなさい。」


会っていきなり謝ってきたのは、幼稚園の時から関わりを持つ、俺の好きだった幼馴染の新山 奏で濡れ衣を着せられる前までは学校でもよく話していた。

そんな彼女をよく見てみると、目の下には隈ができていて、いつも整えられていた髪の毛はところどころはねていたりしていた。


『良太って、そんなことするやつだったんだ…。そんな奴と関わってたら私らが恥ずかしいから二度と関わらないで…。』


「ウッ…。」


ふとあの時の発言を思い出し、吐きそうになる。


「良太!」


奏はすぐに俺に駆け寄ってきた。

だが、俺は今彼女に助けられるとそのまま許してしまいそうなので、彼女の助けを避けて走って学校に向かった。


「本当に、本当にごめんなさい…。」


彼女がその場で呟き、泣き崩れたのは足早に去っていた良太は気づかなかった。










奏から逃げて、学校の近くまで来た。

この辺りまで来ると、学校の生徒がちらほら見える。

若干居心地悪く感じながら歩いていると、ふとこんな話し声が聞こえてきた。


「ねぇ、知ってる?、2年A組の橋本の窃盗あれ冤罪だったらしいよ。」


俺の冤罪はどうやらもう周りに広まっているらしい。

今更広まったところであまり嬉しくはないが、これまでよりかは少し過ごしやすくなるだろうから、その点だけは良かったと思う。

そう考えているうちに、学校の門が見えてきて、1人見知った女子生徒がいた。

よく見てみると、学級委員長の佐川 美希がいた。

彼女は正義感が強く、そういう人には当たりが強い。

彼女は俺の濡れ衣に良く当たってきた。

なのでいつも通り彼女に嫌悪感を抱きながら彼女を見ると、誰かを探しているようだった。

だが見つかるのは嫌なので、気づかれないように校門をくぐる。


「橋本くん!」


そんな彼女に見つかってしまった…。

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