第4話 side 新山 奏
良太が人の体操着を、しかも女子のを盗んだと聞いた。
その噂をクラスのみんなに聞いてみると、A組の人が女子生徒の体操着を盗んだことは確実らしい。
良太がそんなことをするとは思わないので、違うだれかだろうと気にしなかった。
その日は、会えず話すことができなかったが、次の日の朝、良太の家の前で待って一応聞いてみることにした。
「良太、おはよう。」
「お、おはよう…。」
良太が出てきたので日課である挨拶をする。
良太の返事がおかしいと思い、しっかり顔を見ると、目の下に大きな隈ができていて、頬もこけている。
「良太、聞きたいことあるんだけど……、女子の体操着盗んだのって本当なの?」
「ッ、そんなのしてないよ!、知らない間に鞄の中入ってたんだよ!」
私が気になっていた事を聞いてみたら、良太は顔を真っ青にして少しだけ早口で言ってきた。
「良太って、そんなことするやつだったんだ…。そんな奴と関わってたら私らが恥ずかしいから二度と関わらないで…。」
私は良太が女子の体操着を盗んだことと、もう優しかった良太がいなくなってしまったことにショック
を受けてしまった。
それと同時に良太に対する拒絶が出てきて、思ったことがスっと言葉で出てしまった。
「まっ、待ってくれ…。」
私は良太…、いや橋本を置いてそのまま学校へ登校した。
半年後
私はいつも通り、親友とLineでメッセージでやり取りをしていると急にこんな話が上がってきた。
愛莉:
話変わるんだけど、2年A組に橋本ってやついるじゃん、あいつの窃盗って冤罪だったらしいよ。
21:05
(え…、窃盗って嘘だったの…)
私は動揺を隠せなかった。
愛菜:
それってマジ?それが嘘なんじゃないの?
21:06
私は気になることがたくさんあったが、ひとつひとつ聞いていくことにした。
奏:
それってどういうこと?知ってるところまででいいから教えて。
21:06
愛莉:
えっとね〜、情報では教室で橋本の窃盗を言い張った奴がいて、そいつが橋本のカバンに仕込んだんだって。確か…、生徒会副会長の荒山だったっけ…、そいつが成績不振や部活の不満とかを、相手を貶めることの快感で満たしてたらしい。
私はそのメッセージを読んで、私は絶望した。
荒山が良太にしたこと、それ以上に冤罪であるのに良太に対して言ってはいけないことを言ってしまったことに憎悪や後悔、自責などの感情が湧いて溢れ出てきた。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」
私はスマホを投げて、泣きながら叫んだ。
(本当に…、本当に…ごめんなさい…)
結局、その夜は寝ることもできずそのまま朝になった。
顔色の悪さにママが心配してくれたけど、私は誤魔化して学校に登校した。
でもなぜだか知らないが私はそのまま学校から少し逸れた方向へ歩いてしまっていた。
周りを見渡すと、知っている男子がいた。
冤罪のせいで周りからの信頼を失ってしまった、私の幼馴染の良太だ。
あんなことを言ってしまったことに申し訳なく感じるところもあるが、私はすぐ良太のもとに走った。
「良太、本当にごめんなさい。」
「ウッ」
良太は私の言葉を聞いて、少し嘔吐く。
私は心配で良太のもとに駆け寄ったが、彼は私から避けるように学校へ走っていった。
私はそのとき、本当に取り返しのつかないことをしてしまっていたことに気づいた。
私はそのまま泣き崩れてしまった。
「本当に、本当にごめんなさい…。」
でも、あの頃くらい仲が戻ることを祈ってしまう私は最低なやつなのかな……
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