[Ep3] 猫さんと旅する幻想曲物語 - 猫と旅人マタタビが紡ぐのんびり配信日記

第21話：のんびり雑談、視聴者多め

　第21話：のんびり雑談、視聴者多め

「はぁ……ちゃんと戻ってきてくれて良かった」

「だからビッグルは心配しすぎなんだって」

「そう言われてもなぁ……っていうか、一匹増えてなかったか？」

「草原でテイムしてきたらしいぞ？　名前はたしか、おもちって言ってたな」

「仲間が増えたなら安心か」

「だから心配しすぎなんだって、大神官様が認める猫聖女様だぞ？　心配する方が逆に失礼ってもんだろ」

「……ウェッギ、お前も子供ができれば分かるよ」

「そういうもんかねぇ」

　はははと笑う同僚にため息を吐きながらも、その顔は安心感に満ちていた。

　この日から何度も見届けることになり、それが日常となっていく。

　そして、ウェッギが同じように過保護になる日も近い。

　☆－－☆－－☆

　・好感度

　　衛兵隊　ビッグル　大上昇

　　衛兵隊　ウェッギ　小上昇

　☆－－☆－－☆

　－－－－

　街に戻って来てから、まっすぐ噴水広場まで歩いてきた。

　さすがに噴水前はリスポーンポイントだからね、周りにあるベンチに座ったよ。

「はー、疲れたー」

『お疲れ様なのだ。　あれだけ叫んで走ってたらそりゃ疲れるのだ』

「んにゃー（おつかれなのー）」

「キュッ！（おつかれ！）」

「そういえばさ、称号にちょっと疑問があるんだけど……」

『称号なのだ？』

「うん、なになにの友っていうシリーズ？　なんだけど、説明と実際の内容が違くないかなって」

『ふむ、ちょっと待つのだ……』

　ナビさんが手をかざして撫でるように何かをすると、ウィンドウが出てきた。

　－－－－

　・角兎（ホーンラビット）の友

　　ホーンラビットの友人、フォールド上で襲われなくなる

　－－－－

「やっぱり……ほら、襲われなくなるって書いてあるのに、あたしたち襲われてるよ？　おもちくんも【はぐれ】がって言ってたし」

『そう言われてみればそうなのだ、おかしいのだ』

「だよね？　友好的な～とかあれば間違ってないんだろうけど」

　－－－－

　・角兎の友

　　ホーンラビットの友人、友好的なホーンラビットは襲ってこなくなる

　－－－－

「あ」

『あ』

「にゃ（あ）」

「キュッ（あ）」

　－－－－

　：サイレント修正入りましたーｗｗｗ

　：しれっと修正されたｗｗｗ

　：目の前でスッと変わったぞｗｗｗ

　：運営！　見ているな！

　：こんなぬるっと修正入ることあるんだなｗｗｗ

　：あっ情報サイトも修正しなきゃじゃん！

　：どっちも作業お疲れ様です

　－－－－

「ま、まあ、ほら、ね、正しい内容になったってことでいいんじゃない……かな？」

『そ、そうなのだ、何も問題ないのだ！』

「…………そういえば、もうすぐでログアウト時間だね」

『であるな。　まさか半日以内に草原を支配するとは思わなかったのだ』

　ナビさんが半眼でこちらを見てくる。

　ちなみにユキさんは膝の上で、おもちくんはあたまの上でくつろいでいる。

「支配なんてしてないよ！　人聞きの悪いこと言わないでよね！」

『似たようなものなのだ……エリアボスも戦わずに仲間にしてしまったのだ』

「そんなこと言われても……仲間になりたいって言われたらさ」

『はぁ……我はべつに怒ってるわけじゃないのだ。　色々と濃密な半日だったなと思っただけなのだ』

「……そうだね、濃密だったよ」

　－－－－

　：こんなプレイスタイルは誰も真似できない

　：真似したところでまったく同じ結果になるかは分からんしな

　：敵を回復するプレイヤーは増えそうだけどな

　：クアッドアームベアに試してデスポした私が通りますよっと

　：もう居るんかいｗｗｗ

　：よりにもよってエリアボスｗｗｗ

　：あの４本のモフモフにハグされたかったのよ！

　：初心者はこういう無謀なことはしちゃダメよん？

　：はい！

　：わかりました！

　：ここは学校だったのかな？

　：優秀な反面教師が揃った素晴らしい学校です

　－－－－

「あはは、視聴者さんも気をつけてプレイしてくださいね？」

『デスペナルティはお金半分持っていかれるのだ、無謀な特攻はオススメしないのだ』

「デスペナルティって？」

『敵に倒されて復活すると不利なことがありますよというシステムなのだ。　この世界ではお金を半分落としてしまうのだ。　当然回収はできなから本当に注意が必要なのだ』

「半分は痛いね……必要な分以外はギルドの銀行に預けておくようにしないとだ」

『そうなのだ、それが一番安全なのだ』

「ところで、なんでお金なの？」

『なんでも、死後の世界にある【スリーズリバー】という川を引き返す時に船頭に要求されるらしいのだ』

「へ、へぇ。　お金持ってなかったらどうなるの？」

『どうもならないのだ、可哀想な目で見られながらソッと引き返されるだけなのだ』

「船頭さん……」

　－－－－

　：そんな設定だったのかｗ

　：ちゃんと理由付けされてたのかｗｗｗ

　：スリーズリバーってｗｗ

　：貰える奴から貰ってるからいいってか？ｗ

　：船頭は義賊かなんかなのかｗｗ

　：その内学割とか始めるんじゃね？ｗｗｗ

　：船頭さんに哀れに思われたい……

　：船頭さん！　こっちにも視線ください！

　：船頭さん人気高くて嫉妬するわｗｗｗ

　－－－－

「しばらくは草原で素材集めたりになるのかな」

『そうであるな、その後はプロロギア森林に入るのもありだと思うのだ。　草原のギルド依頼をこなしてお金を貯めて、森林に入る流れで良いと思うのだ』

「回復アイテムとかも持っておかないとだし、やっぱりお金が必要かー」

『ウサギの皮からうさ耳パーカーが作れるのだ。　オシャレ装備枠に付けられるから狙ってみるのもありなのだ』

「オシャレ装備ってなに？」

『オシャレ装備は見た目だけその装備に変更するものなのだ。　今の装備性能のまま、見た目だけ変える機能だと思って大丈夫なのだ。　弱い装備だけど見た目は好きっていう時に使うといいのだ』

「猫聖女の衣の能力のまま、うさ耳パーカーの見た目にできるってこと？　うーん、オシャレ装備を狙うのもありかもなー」

『猫聖女がうさ耳ってのも変な感じはするのだ』

「まぁそこは目をつぶってもらって……可愛いは正義だから……」

　－－－－

　：猫聖女がうさ耳……ありがとうございます

　：猫がうさぎでうさぎが猫で

　：おもちくんとお揃いとか尊すぎる！

　：あーこころがぴょんぴょんするんじゃー

　：ご注文はおもちですか？　こちら番茶です　つ旦

　：おもちちゃん装備着てみたいわーん♪

　：いやあなたは……

　：それ以上はいけない

　－－－－

「明日は料理でもしようかな？　外で食べられる物用意しとくのも良さそうだし」

『なら草原は明後日からなのだ』

「だね、せっかくのスキルだし使わないと損だしね。　お外でみんなでご飯も食べてみたいしさ♪」

「にゃー？（ごはんなのー？）」

「キュッ？（ごはん？）」

「あ、ごめんね？　ご飯じゃないんだ」

「んにゃ（なんだなの）」

「キュ（そうか）」

「あははは」

　二人の頭をなでなでしながらログアウト時間まで視聴者さんと会話を楽しむ。

　今日はいろんなことがあったけど、充実してたから楽しかったな。

　明日はもーっと楽しくなるよね？　ね、ナビ太郎。

『ナビ太郎って誰なのだ』